「○○pay」は大丈夫? QRコード決済で生き残るサービスに求められる条件は「おトク」より「便利」?

現在、数々のサービスが乱立し各社ともあの手この手でシェアの拡大を図っているQRコード決済業界。そんなQRコード決済の“戦国時代”とも呼べる現状から今後、いったいどのサービスが抜け出し勝ち抜いていくのだろうか。
今回は、覇権を握るサービスに求められる要素をふまえながら、生き残るサービス・没落していくサービスについて考察していきたい。

還元キャンペーンでシェアを急拡大

驚異的な大盤振る舞いも後で回収を見込んだ先行投資だ

 メジャーなQRコード決済を見ると、「PayPay」、「au PAY」、「d払い」、「楽天ペイ」といった大手携帯事業者に紐づいたサービスが多いことがわかる。これは楽天グループのサービス全体が「楽天ポイント」でつながり同一の“経済圏”を構築しているように、各社とも自分の経済圏の人間を1人でも多く増やすため、大々的な還元キャンペーンを打ち続けたことに起因するだろう。かつてPayPayが「100億円あげちゃうキャンペーン」と題して大盤振る舞いを行ったのも、「100億円を投資してでも、市場のシェアを獲得したい」という強い意志の表れだったと言える。

 さらにこの還元キャンペーンは、「ファミペイ」をはじめとしたコンビニなど流通系事業者の決済サービスに対抗するための秘策という側面もあった。QRコード決済のサービス開始時は、コンビニ・スーパーなど自前の店舗を抱え多数の取扱店舗が存在する状態でスタートできる流通系に対して、通信系の4社はほぼ1から取扱店舗の開拓をすすめる必要があった。その差を埋めて実績をあげるためにも、シェアの獲得は必須だったのだ。
 そうした採算度外視とも言える還元キャンペーンなどの努力の甲斐もあって、通信・ITサービスの調査機関「MMD研究所」が7月に発表した「2020年7月スマートフォン決済(QRコード)利用動向調査」によれば、QRコード決済の利用率はPayPayが48.7%でトップを独走。2位以降も、楽天ペイ、d払い、au PAYと続き、通信系4社がトップ4を独占した。

(Image:slyellow / Shutterstock.com)

今や5個以上のQRコード決済サービスが使える場所も少なくない

 だがこれまでは利用者に「おトクだ」と思われることでシェアを伸ばしてきた4サービスだが、いつまでも身を削ってキャンペーンを続けているわけにもいかないはずだ。
 そうなってくると次は、「おトク」から「便利」に付加価値の重心を移したサービスへの変貌が始まるのではないだろうか。決済アプリに自前の携帯サービスに付随した便利な機能などを盛り込んでいき、次なるステージに進んだシェア争いでしのぎを削っていくことになるだろう。つまり利用者の求める便利さを提供できなかったサービスから、シェア争いに敗れて姿を消していく未来が待っているはずだ。それは上記のトップ4にとっても例外ではなく、王者・PayPayなどもすでに様々なサービスとの提携を始め、利用シーンの拡大に努めている。
 また、昨年セキュリティの不備が露呈しサービスを終了してしまった「セブンペイ」のように、信頼性を失うことも厳禁だ。スピーディな変化に柔軟に対応しながらも、セキュリティの質は担保することも、QRコード決済の覇者には求められていくだろう。

 この淘汰の波は、ここ数年のうちに訪れると見られている。自分の使うサービスが生き残ることができるか否か。しっかりと各サービスの動向を注視して、QRコード決済サービスの行く先を見極めていただきたい。

参照元:どの決済サービスが生き残るのか?国内モバイル決済市場の見方を教えます【ダイヤモンド・リテイルメディア】

オトナライフ編集部
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