スマートフォンやタブレットの利用者の増加と共に急激な普及を遂げた、ネットオークションやフリーマーケットアプリなどのCtoCサービス。特に若年層には、アプリを通して手軽に売買ができるという面から「メルカリ」が多くの支持を集めている。
しかし、同社子会社が手掛けるQRコード決済サービス「メルペイ」は現在、他社のサービスに押されて苦戦を強いられているようだ。
フリマアプリがネットオークションの牙城を崩す
株式会社ジャストシステムが発表した、「Eコマース&アプリコマース月次定点調査(2020年8月度)」によると、現在利用中のCtoCサービスの1位は「メルカリ」(51.8%)、次いで「ヤフオク!」(43.7%)、「ラクマ」(29.2%)となった。昨年度の同調査に比べて、「メルカリ」は11.2ポイント、「ラクマ」は9.5ポイント利用率が上昇。その一方で、「ヤフオク!」は2.6ポイント減少。ネットオークションサイトよりも、フリーマーケットアプリのニーズが高まっていることが読み取れる。
フリーマーケットアプリでの売上金を現金化することなく、買い物に使用することができるという利点を謳い、2019年3月からサービスを開始した「メルペイ」。CtoCサービスの最大手であり多くの会員を有するメルカリと連携を取れれば、QRコード決済サービス界においても覇権を握るポテンシャルも秘めていることは間違いなかった。しかし現状は大規模な還元イベントにより好スタートを切った「PayPay」や、LINEの普及率を武器に戦う「LINE Pay」に押される形で苦戦を強いられている。
どのQRコード決済サービスを使うかの選択で利用者が重視ことは、何より“おトク感”ではないだろうか、すべてのサービスが、登録さえ済ませればスマホ一つで決済を行なえるという利便性については、どのサービスも大差はないと言っていいだろう。そのうえで敢えて「このサービスを使いたい!」と思わせるには、いかに利用者にとってメリットがあるかがカギとなってくる。
ヤフー系列のPayPayや、今や日本有数のSNS系の大企業へと成長を遂げたLINE社は母体の資本力やコネクションを武器に、大規模な還元イベントや、豊富な提携先のクーポンなどを配信している。急成長を遂げているとはいえ、メルカリの資本力では還元面での太刀打ちが難しいのかもしれない。もちろんメルペイとしても、NTTドコモの手掛ける「d払い」との連携を開始したり、キャッシュレス事業の老舗である「Origami」の買収を発表するなど、様々な対策を講じているが、どれも打開策にはなっているとは言い難く、現状では迷走を続けていると言わざるを得ない。
メインサービスであるメルカリには、多くのユーザーを抱えるだけに、メルペイの持つ潜在的なニーズは大きい。CtoCサービス1位の市場シェアを存分に生かすことができれば、まだまだ逆転のチャンスは十分あるはずだ。これからどのような逆転の一手を狙ってくるのか、メルペイの動向に注目だ。
参照元:Eコマース&アプリコマース月次定点調査 (2020年8月度)【マーケティング リサーチ キャンプ】
※サムネイル画像(Image:mercari.com/jp・merpay.com)