現在、官民をあげて普及に取り組んでいるキャッシュレス決済。2019年頃から爆発的に存在感を増したQRコード決済をはじめ、着実に浸透が進んでいる状況である。しかしそんなQRコード決済の台頭により、「Suica」をはじめとしたICカード決済が鳴りを潜めているのが現状だ。しかしここにきて、交通系ICカードの主力でもあるSuicaが負けじと新たなポイント還元サービスをスタートさせるとのことだ。
今回は、Suicaの新たなサービスの紹介と課題に迫りたい。
Suicaの新サービスって?
Suicaの鉄道利用に伴う新たなポイント還元サービスは2021年春からのスタートになる。サービスは、大きく2つある。
1つ目は、通勤定期券で通勤ラッシュがピークとなる特定の時間帯を避けて乗車するとポイントが付与されるサービスだ。ピーク前の乗車は15ポイント、ピーク後なら20ポイントが付与され、ピーク後に乗ったほうが5ポイントおトクになるという。
2つ目は、同一運賃区間を乗車し続けることによるポイント還元サービス。同一運賃区間で月に10回利用すると運賃1回分のポイントが、11回以降は毎回運賃1回分の10%がポイントとして還元される。
どちらもデメリットがなく、日々通勤しているだけでポイントが貯まっていくシステムのため利用者に優しいサービスだと言えるだろう。
Suicaの新たなポイント還元サービスは、Suicaの利用を促進することにつながるだろう。しかし、ICカードはQRコード決済に比べるとやや難点も……。
たとえば、ICカードで決済を行える店舗などが限られてしまう。コンビニやスーパーなどで利用できるところも増えてはいるが、やはりQRコード決済に比べればまだまだ利用できる機会が少ないのが現状だろう。さらに、交通系ICカードをはじめとした地域独自のICカードは他のエリアでは利用できない、個人間送金や割り勘機能がない、あらかじめチャージされた電子マネーは原則として払い戻しができない、チャージの上限額が全般的に低いなどなど、改良すべき点が多々ある。
白熱するQRコード決済の戦いの中にICカードが割り込むには、まだ少し時間がかかるかもしれない。このポイント還元サービスをきっかけに、利用者の使い勝手が向上してくれるとありがたいのだが…。
参照元:Suica「IC回数券」化のメリットは? 複数回乗車でポイント付与、ICOCAとの違いを比較【J-CASTニュース】
※サムネイル画像(Image:Sofihia Yusop / Shutterstock.com)