サービス産業の生産性を測る「顧客満足」の2020年度のスコアが発表された。今年普及を見せた「キャッシュレス決済」は顧客満足スコアを伸ばしていることが判明した。内訳を見てみると昨年TOP2だったサービスがともに大きくスコアを落とす中、躍進を遂げたあるサービスの存在が明らかになった。
今回はシェアとは違い、満足度という観点からキャッシュレス決済の現状に迫る。実は勢力図が一新される土壌がいま着実に作られ始めている。
実は今「d払い」が一番信頼されている
サービス産業生産性協議会の発表した2020年度の日本版顧客満足度指数調査の結果によると、キャッシュレス決済の顧客満足スコアが総合的に上昇したことが分かった。多くのサービスがシェア獲得のために行ってきた企業努力が結果として業界全体の消費者全体の満足度を上げることにつながっているようだ。
内容を詳しく見てみると、1位が「d払い」で71.7%。2位に「楽天ペイ」で70.7%。3位には、「PayPay」で69.7%と続いた。昨年の結果から比べると、d払いは大きくスコアを伸ばしているが、楽天ペイ、PayPayはスコアを落としている。右肩下がりの2社に比べて、1社だけが順調にスコアを伸ばす明暗がはっきりと分かれるグラフが見て取れる。
昨年は、楽天ペイとPayPayが白熱した首位争いを繰り広げ、d払いは大きく差を開けられており「もはやこの2サービスを追随できるサービスはない」という模様だったが、この逆転劇は驚きを隠せない。
スコアの内訳を見てみても、評価6項目の内、「顧客期待」、「知覚価値」、「顧客満足」、「ロイヤルティ」の4部門で首位を獲得。残りの「知覚品質」、「推奨意向」においても2位につけており、まさに圧勝といえるだろう。
今年のd払いは特に、高還元率の還元キャンペーンや豊富な広告を連発して、新規ユーザーを多数獲得。既存ユーザーに対しても豊富な連携サービスによる「ポイント戦略」による囲い込みを実施するなど、積極的に攻めの姿勢を見せてきた。そもそもの母体がキャリア最大手の「ドコモ」ということを考えたら潜在的なユーザー候補は多いはずだ。そこに来て満足度という面で高いスコアを叩きだしたとなれば、更なる躍進の雰囲気を感じさせる。日本最大手の企業が「ちょっと本気を出せば」勢力図は容易く一新されるかも。
PayPay・楽天ペイにシェアではまだ届いていない状況だが、これからの動き次第で一気に逆転の可能性はある。2021年のd払いから目が離せない。
参照元:JCSI日本版顧客満足度指数 第3回調査 詳細資料【公益財団法人日本生産性本部】