近年急速に普及が進むキャッシュレス決済サービス。そのサービスが世の中に浸透していくにあたって、様々なサービスが雨後の筍のごとく誕生したことは読者のみなさんもご存じのことだろう。2019年頃からは巨大な後ろ盾を持つサービスが豊富な資金力を武器に存在感を増し続けているのが現状だが、では、ベンチャー企業などが提供し“独立系”と呼ばれるサービスは現在どのような状況にあるのだろうか。
今回は様々な差別化で生き残りを図っている決済サービスについてご紹介していきたい。
キャッシュレスは弱肉強食の競争社会
2019年10月に「キャッシュレス・消費者還元事業」が始まるなど、キャッシュレス決済は国をあげて普及が図られている分野だ。2018年の後半からはQRコード決済が台頭。「100億円あげちゃうキャンペーン」で一気に注目を集めた「PayPay」をはじめ、巨大な楽天経済圏の一角である「楽天ペイ」、さらには「d払い」「au PAY」といったサービスも人気を博すようになった。これら有力サービス以外にも多くの決済サービスが登場を続け、さながら“キャッシュレス戦国時代”の様相を呈していた。
一方で淘汰されていったサービスも存在し、QRコード決済業界の先駆者でもあった独立系の「Origami Pay」は2020年1月に同業である「メルペイ」に吸収された。大企業の体力を持つサービスに“バラマキ”施策を取られてしまうと、ユーザーはおトクな方向に流れてしまい体力の無いサービスから脱落してしまうのだろう。
そんな世の中の縮図とも言える戦国時代にあって現在も存在感を示しているのが、「pring(プリン)」や「Kyash(キャッシュ)」といったサービスだ。pringで特徴的なのは、送金サービスの充実ぶり。「お金コミュニケーションアプリ」というアプリの位置づけや「エールを円に」というキャッチコピーが示すように、単に無機質に送金するのではなくお金に想いを乗せて相手に届けるという表現がぴったりのサービスだ。さらにJリーグのクラブチーム等、複数のプロスポーツチームやアイドルに対する“投げ銭”の機能もあるという。ファンにとっては必携のアプリと言えるのかもしれない。
Kyashにおいては様々な機能を意欲的に導入しているという。電子マネーのようなプリペイド式スマホ決済ではあるが、ブランドの目指すところとして銀行に近い業務まで担おうとしていたりとベンチャー企業らしいチャレンジャー精神が魅力だ。2020年に発表した新機能は直後に中止が発表されるなど少々迷走のきらいはあるが、大企業にはないフットワークの軽さを活かして自社路線を走り続けてくれそうだ。
こうした独自色を持つ決済サービスだからこそ、他にはない魅力で生き延びることができるのかもしれない。PayPayや楽天ペイといった大手サービスの対抗馬になり得るとは考えづらいが、今後も細く長く生き残りを続けていってもらいたい。
参照元:PayPayや楽天「巨大経済圏」とどう戦う?「Kyash」「pring」の現在地【Business Insider Japan】
※サムネイル画像(Image:pring.jp)