現在、国と企業が力を合わせて利用の普及拡大を目指した様々な取組みが行われているキャッシュレス決済。「現金を使うよりもおトク」という観点から、昔から存在するクレジットカード決済やここ数年で一気に存在感を増したQRコード決済などが幅広い世代の人々に浸透していき、もはや支払いは現金オンリーという勢力のほうが珍しい世の中となってきた。
今回は、そんな急速に進むキャッシュレス化の中で、消費者側だけでなく店舗側もキャッシュレス対応を急がなければならなくなりそうな調査結果をご紹介したい。
加速する“現金離れ”で進むキャッシュレス化
国の施策で「キャッシュレス・消費者還元事業」がスタートするなど、世間にキャッシュレスが広まり“キャッシュレス元年”とも呼ばれた2019年。それを機に、地方の街中にある個人店のようなこれまでクレジットカード決済を導入していなかった小さな店舗でも「PayPay」をはじめとしたQRコード決済が使えるようになるなど、世の中の支払い方法が一気に変化していった。
そんな時代における消費者意識を調査するため、マーケティングリサーチ会社「MMD研究所」は2020年11月、「【第1弾】実店舗における消費者のキャッシュレス決済利用動向調査」を実施。同年12月に調査結果を発表した。それによると60%以上の回答者が「キャッシュレス化が進んでいると思う」と感じており、消費者目線でもキャッシュレスの普及ぶりを実感していることが明らかとなった。また、直近3ヶ月の支払いで現金を利用した人は86.2%に留まり、着実に“現金離れ”も進んでいることも判明した。
さらに同調査でキャッシュレス決済利用者を対象とした「現金のみ対応の店舗で来店をやめたことがあるか」という設問では、31.5%が「ある」と回答。「キャッシュレス決済の導入状況でお店選びをしたことがあるか」の設問でも、37.7%が「ある」としていた。キャッシュレス対応はもはや「あったらラッキー」というレベルではなく、飲食店であればメニューや内観と同様に「お店選びの基準」のひとつとして大きなウエイトを占めているようだ。
今後はInstagramのようなSNSツールでPRを行う際にも、投稿画像でチラリとキャッシュレス決済の対応状況を見せる店舗が出てくる可能性も大いに考えられる。今はまだ手数料が発生することなどを嫌がって導入を見送っている店舗でも、「現金のみだとお客が離れてしまうのであれば…」と苦渋の決断を迫られることになりそうだ。読者の皆さんの行きつけでも、今まさに導入手続きを進めている頃かもしれない。
参照元:キャッシュレス利用者の3割以上がキャッシュレス未対応が理由で来店をやめたことがある キャッシュレス決済、普及の体感は61.3%、期待は60.3%【MMD研究所】