1月28日、楽天グループの中核である「楽天株式会社」が商号を変更することを発表した。楽天といえば日本有数の“楽天経済圏”をもつことでも知られる巨大グループであり、“楽天”の名前を知らない人は日本にほとんどいないだろう。そんな中で会社名を変更したのはどんな狙いがあるのだろうか。
今回は、この商号変更か見えてくる楽天グループの狙いについて考えていきたい。
楽天が“グループ”として再始動
楽天の発表によれば、4月1日より楽天株式会社は「楽天グループ株式会社」へと商号が変更されるという。これまでもグループ企業等を含めて“楽天グループ”という呼び方はメディアでもよく使用されていたが、これまでも実質的にグループの中心となっていた楽天を「“楽天グループ”の中心である」ことを内外に示した格好だ。まさに「“楽天経済圏”ここにあり」というアピール力も加わることが予想される。
楽天の関連事業といえば、「楽天市場」が2020年に年間流通総額3兆円を突破したり、クレジットカードの「楽天カード」が顧客満足度調査において12年連続で1位を獲得していたりと、さまざまな方面で絶大な存在感を発揮してきている。近年誕生したサービスでも、「楽天モバイル」が2020年にキャリア業界へとしんしゅつしたり、「楽天ペイ」もQRコード決済業界において1位の「PayPay」とシェアを競っている状況だ。
そんな絶好調の各事業が今後、楽天グループ株式会社を中心にグループとして一丸となって“楽天経済圏”を成長させていくことになれば、「1+1」が10にも100にも増えるほどの相乗効果を生み出して規模をさらに拡大させていくことになるだろう。
また、グループ名の変更は国内事業でのシナジーを生み出すだけに留まらない可能性も秘めている。今回新社名を公表した中で楽天グループ株式会社の英文表記は「Rakuten Group, Inc.」になるという。これまでの楽天株式会社の場合は「Rakuten, Inc.」となっていた。しかし“Group”が追加されたことで、楽天について知らない外国の人たちから見ても「あ、何か手広くやっているグループ企業なんだな」とすんなり理解できるだろう。
もしかすると楽天は、現在でも日本有数の企業経済圏である“楽天経済圏”を、世界で戦える規模にまで拡大していく未来を描いているとしても不思議ではない。事実、これまでにも世界トップクラスのサッカーチームとして知られるスペインのFCバルセロナのスポンサーとなっており、バルサ選手の胸に「Rakuten」の文字が輝いていたのを見たことのある読者もいることだろう。
楽天グループが日本に留まらず世界的な経済圏を築くことになれば、現在でもかなり広い場面で利用できる楽天ポイントが国外のさまざまなサービスでも利用できるようになるかもしれない。この経済圏に加入するなら、早いにこしたことはなさそうだ。
参照元:商号の変更及び定款の一部変更に関するお知らせ【楽天】
※サムネイル画像(Image:corp.rakuten.co.jp)