現在国を挙げて進められているキャッシュレス化。キャッシュレス決済を普及させるにあたって、さまざまなサービスが決済方法の垣根を越えてシェアを競い合っている状況だ。その中でも最も普及しているとされるのは、断トツの歴史を誇るクレジットカード決済だ。かつては「持っていることが大人の証」とされたり、選ばれしユーザーしか所持することのできない“ブラックカード”がステータスのひとつとされたりと、単なる決済方法という枠に収まらない存在価値もあったクレカが、現在新たな進化のときを迎えているようだ。
今回は、クレカにまつわるこれまでやこれからの展望をお伝えしていきたい。
クレジットカード決済はキャッシュレスの代表格
ご存知の通りクレカ決済とは、買い物をしてもその場でお金を支払うことなく、特定の支払日に銀行口座等からまとめて後払いができるシステムだ。日本国内でも1960年代から利用されるなど長い歴史を誇り、JCBが2020年9月に実施した調査によれば、その保有率は87%で平均保有枚数も3.0枚と、一人で複数枚をもつことも当たり前となっている現状が伺える。
保有するだけでなく実際の利用率もキャッシュレス決済の中でも随一。2020年7月に行われたNECソリューションイノベータの調査でも、クレカの利用率は75.1%を記録し、93.0%の現金に次ぐ2位となっている。ここ数年で爆発的に普及したQRコード決済等のスマホ決済が43.4%という数字に留まっていることを考えると、クレカの“キャッシュレス決済筆頭”のポジションはまだまだ安泰と見てよさそうだ。
利用率が高い水準で維持されている背景には、クレカが時代に合わせて進化を遂げていることが理由のひとつとして挙げられるだろう。単に還元率を高めるだけでユーザーに喜ばれる時代は終わり、いかに付加価値を高めるかというポイントに各社とも注力している。
「楽天カード」や「セゾンカード」といったグループ内に投資信託のあるカードでは、積立にカードが利用できたり、ポイントを利用して積み立てたりといったことが可能に。さらには、クレカの券面からカード番号や有効期限といった個人情報が書かれていない“ナンバーレス化”や、読取機に差し込むことなく決済が完了できる“タッチ決済”等、物理的なクレカの進化も続いている状況だ。
クレジットカードの発祥の地でもあるアメリカでは、現在「若年層のクレジットカード離れが進んでいる」とも言われている。“離れる”理由はさまざまにせよ、日本でも同じクレジットカード離れが起こらないとも言い切れない。そうした事態に陥らないよう、クレカ会社は今後もさらなる進化を続けていっていただきたい。
参照元:楽天・セゾン・SBI…キャッシュレス決済の競争激化、クレカ各社の戦略は?【ニュースイッチ】
※サムネイル画像(Image:siriboon / Shutterstock.com)