QRコード決済業界で不動の地位を築いている「PayPay」が、さらなる進化を遂げたようだ。3月4日のバージョンアップで変更されたのは、ホーム画面や「送る・受け取る」機能だ。ホーム画面ではこれまでのバーコードに追加して、QRコードも表示されるようになり、支払い時にQRコードを表示させるための操作が不要になったという。絶対王者の地位を確立しながらもさらなるユーザービリティの改善に励むPayPayの貪欲な進化ぶりには頭が下がる思いだ。
今回は、進化を止めないPayPayが見せる今後のさらなる躍進について考えていきたい。
“ユーザー第一”で進化を続けるPayPay
今回PayPayがアプリ内で手を加えたのは、ホーム画面へのQRコードの追加と、PayPay残高の送る・受け取る機能へのチャット機能の導入だ。新たなチャット機能では、メッセージに合わせて背景のテーマを変更でき、「お祝い」や「誕生日」、「飲み会」のような背景でPayPay残高を送れるようになった。これによって単にメッセージで「おめでとう」と伝えるよりも格段に“お祝いしている”感が高まり、PayPayを介したユーザー間のコミュニケーションの質も高まることだろう。
ホーム画面でQRコードを使えるようになったことと合わせて、ユーザーがよりアプリを使いやすくなったことは間違いない。単に目を引くキャンペーンを開催するだけでなく、こうしたユーザーに対する配慮も欠かさないところが業界シェアトップのサービスのゆえんだろう。
PayPayといえばサービス参入当初に打ち出した「100億円あげちゃうキャンペーン」のような華々しいキャンペーンで派手なイメージをもつ人も少なくないだろう。しかし一方で全国の自治体とも連携を強化し続けており、地方のキャッシュレス決済需要の掘り起こしにも熱心だ。そのため現金文化が根強い地域の小さな個人商店でも「PayPayだけは使える」という店舗も少なくないという。まさに“草の根活動”であり、関東や都市部を中心としたユーザーの開拓に注力してきた「楽天ペイ」とは対照的な方針と言えるだろう。
そんなPayPayと楽天ペイは、国内企業の“経済圏”を争うライバル同士でもある。PayPayの属するソフトバンク経済圏は、国内サービスの展開具合で見ればライバルの楽天経済圏には一歩リードされている感は否めない。しかしそんな中で、最近PayPayがコンビニ大手のセブン-イレブンと提携し、セブン-イレブンアプリでPayPayが使えるようになったのは、ソフトバンク経済圏の勢力巻き返しの布石となるだろうか。
セブン-イレブンユーザーの多くを獲得できれば、PayPayはさらなる追い風を得ることになりそうだ。そのとき、経済圏争いにどのような影響を及ぼすことになるのか。今後をしっかりと見守っていきたい。