2018年頃から大々的な還元キャンペーンなどで世間に知れ渡った、「PayPay」や「楽天ペイ」をはじめとしたQRコード決済サービス。国内でも一気に普及し、国が推進に力を入れているキャッシュレス決済比率の向上も牽引していっている。そんな急速な普及を支えているのには、店舗側が次々とサービスに加盟し導入していった側面があることも間違いない。しかしその図式が壊れそうになっているという。いったい何故なのだろうか。
QRコード決済の普及の要因は利用店舗数の多さも大きい
QRコード決済といえば、PayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」など、積極的なキャンペーンとCMによって認知度を一気に広げた新たなキャッシュレス決済方法だ。その成長ぶりは著しく、それまで1位・クレジットカード決済、2位・電子マネー決済といった業界の勢力図を一変。MMD研究所が発表した利用動向調査では、2021年1月の段階で41.2%の回答者がQRコード決済を含むスマホ決済を利用していると回答するほど普及している。
その一気の普及を支えたのは、店舗が多数加入していたという背景も一因のひとつと言えるだろう。その証拠にQRコード決済業界で断トツのユーザー数を誇るPayPayは全国316万か所以上で利用できるなど、「どこでも使える」ことも強みのひとつとしてシェアを伸ばしてきたはずだ。
しかし一部では、その店舗数に黄信号が灯っているという見方もある。実はこれまで加盟店を増やすためQRコード決済サービス側が“手数料無料”を打ち出していたサービスも少なくない。しかし本来こうした決済サービスでは、加盟店からの手数料は大切な利益だ。これまでの時期は身を削ってシェア拡大を図っていたとも言え、常時展開するには厳しい方法と言えるだろう。そのためどこかのタイミングで手数料を有料化しなければならないのだが、「有料ならやめる」という声も聞こえてきているという。現在、大手QRコード決済各社の手数料は、楽天ペイは3.24%、メルペイ、d払いは2.6%、LINE Payは10月から2.45%、PayPayは10月から有料化検討。au PAYは未だ無料だ。
お金を落とす側であるユーザー数の減少と違い、加盟店の減少はそれ単体だけ見れば利益の増減への影響は少ない。しかし利用できる店舗の数はHPにも記載するほど大きなサービスの武器となっていることも事実だ。加盟店が減り使える店舗が減ると「便利じゃなくなった」と離れてしまうユーザーも出てくることだろう。
加盟店離れによって業界での競争力が低下すると、シェアの縮小を招くことにもなるはずだ。最近は小康状態になっているとはいえ、QRコード決済業界はまだ多数のサービスがひしめきあう戦国時代。この戦乱の世を生き抜くため、今度は加盟店の引き留めを軸としたシェア争いの第二幕が始まるかもしれない。今後もQRコード決済サービスの動向に注目していきたい。
参照元:「有料になる?……やめます」加盟店離れ、スマホ決済普及の正念場【日経ビジネス電子版】
※サムネイル画像(Image:paypay.ne.jp)