世界39カ国の年金制度がランキング化された。上位にランクインしたのは平均寿命の長い中東の国や社会保障が充実した欧州の国々。年金制度は老後いかに穏やかに暮らせそうかの指標になるが、日本の順位を見ると気力をなくしそうになる結果となっていた。
3位は中東イスラエル、2位は北欧のデンマーク
世界39カ国の年金制度を「十分性」「健全性」「持続性」といった観点から評価した「グローバル年金指数ランキング(2020年度)」を、コンサルティングファームのマーサーが発表した。
3位はイスラエル。中東からの上位ランクインは少し意外かもしれないが、イスラエルは平均寿命が82.6歳(2019年時点)と長寿の国で年金制度も充実しているようだ。最近では新型コロナワクチン接種先進国としても名高い。しかしパレスチナとの和平問題を抱えるイスラエルでは衝突やミサイルの打ち合いも珍しくないため、誰にも住みやすいというわけではなさそうだ。
2位はデンマークだ。北欧諸国は国の保険制度や社会福祉が整っているとされておりイメージ通りの結果と言える。同ランキングの上位入り常連国で、5年連続で世界一を獲得していたこともある。2016年時点の基礎年金は月額約19万円(一人暮らしの場合)だったそうで、ここに企業年金や個人年金が付加されるというから納得の充実さだ。
そして1位はオランダだった。スコアは十分性が81.5、持続性が79.3、健全性が88.9で総合82.6ポイント。ちなみに日本のスコアは十分性が52.9、持続性が35.9、健全性が59.2で総合48.5ポイントの39カ国中33位だというから数値差に愕然とする。
オランダの年金制度は公的年金、職域年金、個人年金からなり構造は日本とあまり変わらないが、所得代替率(現役時代の手取り収入額と年金を受け取り始めた時の年金額を比較した割合)は70%に達している。日本は2019年時点で約60%だが、持続性の低さが指摘されているように30年後には40%台まで下落するという試算もある。
年金に関しては「保険料は納めるけど、ほとんどもらえないものとして考えている」と諦めムードの現役世代は多い。また、リタイアした老後生活するには年金のほかに2,000万円程度が必要だといういわゆる「2,000万円問題」も物議をかもすなど肌感覚としても老後を悲観するしかない状況だ。
昔のように年功序列で給与が上がっていくわけでもなく、所得や貯蓄の大幅アップも見込めない日本の現状。年金制度が上位にランクインする日など、夢のまた夢なのだろう。
参照元:「年金制度が優れている国」ランキングTOP30! 1位は「オランダ」、日本の順位は?【2020年度版】【ねとらぼ調査隊】