「PayPay」が10月に加盟店の決済手数料を有料化してからはや1ヶ月。有料化の影響がどれほどだったかが数字で発表された。加盟店の大量離脱も懸念されていたものの、蓋を開けてみれば絶対王者の地位を脅かすようなレベルには遠く及ばなかったようだ。これも加盟店に向けた離脱防止のキャンペーンの賜物と言えそうだ。
しかし逆に言えば、今度は離脱防止のキャンペーンの終了後が新たな分水嶺になったとも言える。果たして今後PayPayはどのように有料化の余波を乗り切っていくだろうか。
PayPay、決済手数料有料化の影響は大したことなかった様子
PayPayの親会社・Zホールディングスは11月2日、決算会見を開催。その中でPayPayについて、10月の決済手数料の有料化に伴う加盟店の解約店舗は0.2%、取扱高への影響も0.1%となったことを発表した。これらの結果から、「手数料有料化の影響は非常に小さい」と伝え、業績の好調ぶりをアピールしたのだった。
Zホールディングス代表取締役社長Co-CEOの川邊 健太郎氏は、影響が小さかった理由を「ユーザーの利用数や使い勝手、お店を含むユーザー体験の良さなどが支持された。また、有料化後の手数料率も、クレジットカードと比べると極めて低い」と解説。業界最大級のユーザー数や最安1.60%という「業界最安水準」を謳うほどの手数料を武器に支持を集めていることを改めて伝えた。
PayPayのHPによれば、登録ユーザー数は4,300万人(2021年11月5日現在)を超えているという。店舗からしてみても、どうせ契約するなら利用者の多いサービスのほうが良いことは当然だろう。加えてPayPayでは手数料有料化に合わせて、売上高の3%を店舗に振り込む「3%振り込みますキャンペーン」を実施している。前述の1.60%という手数料を差し引いても、1.4%が売上に加算されるとすれば「キャンペーン期間中は続けてもいいかな」と考える加盟店も少なくないはずだ。
一方で、この3%振り込みますキャンペーンが実施されるのは2022年の3月31日まで。当然だが恒久的な施策ではないのだ。そう考えると、10月に始まった有料化はこのキャンペーンによって実質的には2022年4月1日へと先延ばしされた、と捉えることができるかもしれない。
つまり、次にPayPayが危惧すべきなのは3%振り込みますキャンペーンが終了する4月1日だ。それまでに、どれだけの加盟店に「手数料を支払っても、このままPayPayを導入していたほうがお得だ」と思わせることができるかが今後の鍵となってくるだろう。
業界シェアはPayPayが大きくリードしているものの、最大のライバルである楽天ペイもPayPayの逆を行くように手数料無料のキャンペーンを打ちだすなどここに来て加盟店の争奪戦の様相を呈してきている。果たして今後のQRコード決済業界の勢力図はどのように変わってくるだろうか。絶対王者・PayPayの今後の動向にも注目していきたい。
参照元:PayPay決済手数料有料化、解約は0.2%。ZHD「新しい資本主義」【Impress Watch】