最近、人気の脳がゾクゾクするような不思議な音と、それによる没入感や癒やされる感覚を楽しむ「ASMR」音声。ところが、YouTubeは2022年6月6日までに規定を改訂し、未成年のASMR動画を投稿禁止とした。さらに6月28日以降、ASMR音声を多く掲載している大手ダウンロードサイト関係のTwitterアカウントが、複数凍結されたことが明らかとなり、現在も注目を集めている。突然起きたSNSでのASMR関係の規制が強化された原因はどこにあるのだろうか。
凍結されたDLチャンネル関連のアカウントとは?
凍結されたとして話題となっているのは、同人誌やゲーム・電子書籍などのコンテンツ販売サイト「DLSite」の二次元情報コミュニティサイト「DLチャンネル(@DL_channel)」をはじめとする複数のアカウント。同アカウントは原稿を執筆している6月29日15時時点でも凍結されたままとなっている。(以下の凍結についての内容も同時点の情報)
DLSiteでは、ASMR音声の作品が非常に人気だ。しかし一方で、性的な使い方を目的にした音声や動画も多く、それらを宣伝していたアカウントが軒並み凍結され、解除される兆しはないようだ。
実は、2022年の1月~3月頃にもDLSiteに作品を掲載している一部のアカウントが凍結された事例があり、6月の規約改定以前から凍結の噂は広まっていた。凍結されたアカウントの中には、2万人以上のフォロワーがいたものもあり、Twitter上でも一部で話題となっていた。
Twitter社では、成人向けコンテンツなどの5つの条件を「センシティブな内容」として、該当すると判断された投稿は画像や動画を表示する代わりに、警告メッセージが表示されるシステムがある。さらにセンシティブな内容が多いと判断されたアカウント自体が「ツイートやリプライが検索結果に表示されない」「フォロワーにしか表示されない」という「シャドウバン」といわれる、一種のペナルティを課されることもあるという。
しかし、今回の事情を明かしたサイトによると、警告なしの”一発アウト”状態の凍結だったようで、かなり厳しい規制が行われたと考えられる。
つい最近にも、YouTubeが「子どもの安全に関するポリシー」を改訂し、禁止事項のひとつに「未成年者への不適切な注目を喚起するような活動(体の不自然な捻じ曲げや ASMRなど)を披露するもの」を掲載。未成年に見えるキャラクターによるASMR動画を新たに規制した。
また、Twitterでも「児童の性的搾取に関するポリシー」において「Twitterでは、児童の性的搾取に該当するコンテンツやこれを助長する行為を一切禁止しており、非常に深刻なTwitterルール違反とみなします」と明言。「児童の性的搾取についての妄想を共有したり、そうした行為を助長したりする」行為も禁止事項として挙げられた。今回凍結されたアカウントは、このあたりをTwitterに問題視された可能性は考えられそうだ。
イーロン・マスク氏によるTwitter社買収によって、さまざまな規制に関するルールが変わるという噂はあるが、変わるのは思想面の言論の自由だけで、性的な表現に関する規制が緩くなるわけではなさそうだ。今後もTwitterの規制強化は続くとみられ「怪しいものにはフタ」をされる可能性がある。SNSを楽しみたい人は怪しまれるような投稿は避けた方がよさそうだ。
※サムネイル画像(Image:Olga Ganovicheva / Shutterstock.com)