かのスティーブ・ジョブズが学生時代にカリグラフィー(文字を美しく見せる手法)に興味を持ち、のちに手がけるMacintoshに「フォント」の機能を持たせたことは有名な話だ。企業やサービスをイメージするときにロゴを思い浮かべることは多いが、実は、何気なく目にしているフォントもIT企業を中心に独自開発している場合が珍しくない。そのようなブランディングにおいて、重要であり、日々の身近なクリエイティブとなるオリジナルフォントを、コミュニケーションアプリのLINEがこのたび発表した。
LINE、独自のフォントでブランディング強化
2022年10月24日、LINE株式会社のクリエイティブ領域を担当する「LINE CREATIVE CENTER」が、LINEのコーポレートフォントとなる「LINE Seed」の日本語書体「LINE Seed JP」をリリースした。フォントワークス株式会社・Fontrixとの共同開発で、2020年に誕生していた欧文コーポレートフォント「LINE Seed Sans」をベースとし、今回新たに日本語、韓国語、タイ語を追加したかたちだ。
LINE CREATIVE CENTERは、フォント開発の目的について「LINEはテキストコミュニケーションを中心に成長したサービスであり、言葉を大切にする企業だからこそ、コーポレートフォントを開発することは大きな意義がある」としている。
「LINE Seed JP」は無料でダウンロードできて、商用も可能である。利用の際はライセンスポリシーの確認が必要だ。
実はたくさん! IT企業のオリジナルフォント
普段は意識していないかもしれないが、私たちが日常的に利用しているサービスにオリジナルフォントは登場している。スティーブ・ジョブズが創業したAppleが生み出した初のオリジナルフォント「San Francisco」はとても有名だ。
他の名だたるIT企業も軒並み、オリジナルフォントを所有している。Googleではデザイナーのクリスチャン・ロバートソン氏が「Roboto」を、マイクロソフトは「Segoe UI」を開発した。動画配信サービス界隈でも、YouTubeは「YouTube Sans」、Netflixは「Netflix Sans」と、それぞれオリジナルのフォントを持っている。自社のアイデンティティを反映したものでありながら、時代を超えて古びることなく長く愛されなければならない点で、オリジナルフォントの開発は非常に難易度の高いブランディングだ。
LINEはオリジナルフォントに親しんでもらいたいとして、「LINE Seed JP」を前面に押し出したスタンプの販売をはじめている。やや通好みのフォントスタンプだが、気になる人は覗いてみてはいかがだろうか。
引用元:日本語版コーポレートフォント『LINE Seed JP』をリリースしました【LINE CREATIVE CENTER】
※サムネイル画像は(Image:「LINE CREATIVE CENTER」公式サイトより引用)