LINEアカウントには「1つの電話番号につき1つまで」という原則があるものの、「仕事とプライベートで使い分けたい」「”普段使いのアカウントを教えたくない人向けのアカウント”が欲しい」といったニーズはあるのではないでしょうか。
基本的にLINEアカウントはひとつの電話番号につきひとつのアカウント。そのため、端末とSIMがあれば、その分のLINEアカウントを作ることが可能です
通常、LINEはクローズドなもの。しかし、複数のアカウントを持っていれば、2つ目のアカウントは多くの人に積極的に教えたり、共有することで「営業ツール」のように使うこともできます。とはいえ先の写真のように、そのためだけに「2つのスマホ」を用意するのは少し面倒ですよね
先述した通り、LINEはひとつの電話番号でひとつのアカウントしか作れないため、ほかのSNSのように1つのアプリ内で複数アカウントを切り替えて使う仕様になっていません。またログアウト機能もないため、アカウントを切り替えるにはその都度「LINEアプリをアンインストール→再インストール→電話番号認証→ログイン」という作業が必要です。さらに、LINEアプリをアンインストールするとトーク履歴が消えてしまうので、毎回バックアップも取得しなければならないなどなかなか面倒です
しかし、実はLINEのアカウントは固定電話/SMSの番号を使うなどして、複数アカウントを作成した上で使い分けるという裏ワザも存在します。今回はLINEアカウントを2つ以上作成して、スマホ1台で切り替えて使うまでの手順をご紹介します。
スマホでLINEアカウントを複数作成するために必要な条件
先述した通り、LINEアカウントを複数作るためにはその分の電話番号を用意する必要があります。
スマホ1台でLINEアカウントを複数作成するために必要な条件をまとめました。LINEアカウント作成に関する主な制限を踏まえると、複数作成には「電話番号」以外にも、「マルチログイン」か「デュアルアプリ」が基本的に必要となります
メインアカウントと別の電話番号 | 固定電話やSMSでもOK
LINEアカウントを複数作成するためには、メインアカウントとは別の電話番号が必要です。この電話番号はスマホのSIMと紐づいたものである必要はなく、固定電話やSMSなど認証を自身で受けられるものであればOKです。
LINEの新規アカウント作成時には、「電話番号認証」を回避できません。そのためスマホでもうひとつアカウントを作成したい場合は、固定電話の番号かSMS機能付きのデータ専用SIMを利用する必要があります
なお、「050」から始まるIP電話ではLINEアカウントを作成できないので注意してください。
「050」から始まる電話番号は、ネット回線を用いたIP電話の番号です。IP電話の番号でLINEアカウントを作成しようとすると、上記画像のようなポップアップが出て、アカウントを作成できません
デュアルアプリを作成可能なスマホ | Xiaomiの端末が代表格
デュアルアプリを作成可能なスマホでは、1つのアプリを「クローン」できます。つまりLINEアプリを対象に「デュアルアプリ」機能を使うと、1つのLINEアプリをクローンし、もう1つのLINEアカウントにも1台でログイン可能に。
デュアルアプリを作成可能なスマホの代表格は、XiaomiのAndroid端末。デュアルアプリの作成手順は以下の通りです。
まず設定アプリを開きます。
【1】①「アプリ」と進みます。【2】②「デュアルアプリ」をタップします
【3】デュアルアプリが作成可能なアプリが一覧で表示されます。その中から③「LINE」のスライドボタンをタップして有効化しましょう。【4】デュアルアプリ作成時に「Googleサービスのデュアルアプリ」の作成が求められることがあります。この場合は④「オンにする」をタップし、同意しましょう
【5】「デュアルアプリを作成中」と表示されるので、少し待ちます。【6】デュアルアプリの作成が完了すると、ホーム画面に「LINE」アプリがもう1つ作成されます。鍵付きのアイコンが⑤「デュアルアプリ版のLINE」です【7】デュアルアプリ版のLINEを起動すると、ログイン画面に遷移します。⑥こちらでログインすると、元のLINEアカウントとは全く別にもう1つのアカウントを利用できます
ちなみにデュアルアプリはLINE以外にも、Instagramなど他のSNSアプリでも作成が可能なため非常に便利です。
マルチログイン可能なアプリ | 「並行世界Lite」が代表格
先にご紹介した「デュアルアプリ」に手元の端末が対応していない場合は、マルチログインアプリを使うことをおすすめします。
マルチログインアプリとして有名なのは、並行世界Lite。
「並行世界Lite」は、LINEやFacebook、ソーシャルゲームなど特定のアプリを、複数のアカウントを切り替えて利用できるマルチログインアプリです。なお、このアプリのiOS版はLINEに対応していないのでiPhoneでは利用できません
「並行世界Lite」を使ってLINEの新規アカウントを作成するには、現在LINEと紐づいていない電話番号が必要です。「並行世界Lite」を利用する方法は、以下の手順です。
【1】Google Play Storeでアプリ「並行世界Lite」を①「インストール」します。【2】インストールが完了したらアプリを起動します。ホーム画面上のアプリ名は②「Parallel Space」なので注意してください
【3】利用規約が表示されるので③「Agree and cntinue(同意して続ける)」をタップします。【4】「並行世界Lite」を利用するにはストレージ、電話、位置情報へのアクセス許可が必要です。④「続行する」をタップすると端末の設定画面が開くので、許可してください
【5】各アクセスを許可すると、アプリの設定が開始します。⑤「はじめに」をタップして進みます。【6】複数アカウントを作成したいアプリを選択します。今回はLINEで複数アカウントを作成したいので「LINE」のみチェックを入れ、⑥「Parallel Spaceに追加」をタップします
【7】ログの収集に同意を求められるので⑦「同意する」をタップします。【8】「並行世界」へ「LINE」アプリを追加しました。⑧「LINE」をタップします
【9】利用しているLINEが64bitの場合、「Parallel Space Lite 64 Support」を重ねてインストールすることが必要なので、⑨「インストール」をタップします。【10】Google Play Storeのページが開くので、⑩「インストール」をタップします
【11】「Parallel Space Lite 64 Support」をインストールすることができました。アプリのアイコンが「Parallel Space」とそっくりで見分けがつきにくいですが、やや立体的な絵柄のほうが「Parallel Space Lite 64 Support」です。【12】「Parallel Space Lite 64 Support」を起動すると、このような画面が表示されます
【13】再び「Parallel Space」へ戻り「Parallel Space」内のLINEアプリを起動します。⑪「新規登録」をタップします。【14】⑫用意しておいた電話番号を入力し、画面に従ってLINEアカウントを作成します
自宅に「固定電話」がある場合、以下の方法で固定電話の番号を使い、LINEアカウントの作成が可能です。固定電話の番号で、LINEのアカウントを作成する手順は以下の通りです。
【1】LINEのアプリを開き、①「新規登録」をタップします。【2】②固定電話の電話番号を入力します
【3】③「送信」をタップします。【4】認証番号を入力する画面に切り替わったら、④「通話による認証」をタップします
【5】⑤「OK」をタップし、固定電話に掛かってきた音声案内で認証番号を聞き取ります。【6】音声案内で流れた認証番号を⑥へ入力します。この後、LINEアカウントの新規登録画面が表示されます。以後は画面の案内に従ってアカウントを登録してください
なお、LINEの公式ヘルプでは「固定電話でのLINEへの登録」を認めていません。2022年12月現在は、固定電話でも登録が可能ですが、仕様が変わる可能性がある点はご注意ください。
複数作成したLINEアカウントを1台のスマホで切り替える方法
複数のLINEアカウントを1台のスマホで切り替える方法をご紹介します。
デュアルアプリでLINEアプリのクローンを作成・利用する
まずは前述の通り、デュアルアプリでLINEアプリのクローンを作成・利用する方法です。
とはいえデュアルアプリを作成し、2つ目のLINEアカウントも用意できていれば難しい手順はなく、「鍵付きの側のLINEのアイコンをタップし、アプリが起動したらログインするだけ」です。あとは「1つ目のアカウントを使いたいときは元のLINE、2つ目のアカウントを使いたいときはデュアルアプリ」を使うだけです
並行世界 | マルチログインが可能
「並行世界」でマルチログインする場合も、使用感はデュアルアプリとよく似ています。利用するたびにログアウトすることもなく、並行世界のアプリをタップすればすぐにLINEを利用できます。
Androidのマルチユーザー機能を使う | 一部のAndroidのみ対応
1台のスマホで複数アカウントを作成・運用する場合、通常LINEアプリの再インストールを行う必要があり、結構面倒です。
その面倒を回避できるのが「マルチユーザー機能」が搭載されたAndroid端末です。1台のスマホで複数のLINEアカウントを簡単に作成・運用できます。Androidのマルチユーザー機能は、一部のPixelシリーズ・Xperiaシリーズ・Zenfoneシリーズなどの端末で対応しています。
Androidのマルチユーザー機能を使用する手順は、以下の通りです。なお、Androidの機種によって手順や画面の見え方が異なる場合があります。
まず、設定アプリを開きます。
【1】「システム」→①「複数ユーザー」へ進みます。【2】②「ユーザーを追加」をタップします。メッセージが表示された場合は「OK」や「今すぐセットアップ」などを選びましょう
【3】Googleのログイン画面が表示されるので、ログインや新規アカウント作成で進めましょう。【4】ユーザーの追加後にLINEアプリをインストールすると、1台のスマホで個別のLINEアカウントを作成・運用する体制が整います
【5】ユーザーを切り替えるときは、画面の上端から下へスワイプして「クイック設定パネル」を表示します。右下の①「ユーザーアイコン」をタップします。【6】②切り替えるユーザーのアイコンをタップしましょう。このようにユーザーを切り替えてからLINEアプリを開けば、メイン垢・サブ垢の使い分けができます
Kiwi Browser | Chrome版LINEを利用可能
Android端末であれば「Kiwi Browser」と「Chrome版LINE」を使ったアカウント切り替えもおすすめです。
【1】Google Playで、Kiwi Browserを①インストールします。【2】Kiwiブラウザを立ち上げ、②3点ボタンをタップします
【3】③「拡張機能」をタップします。【4】④3本線ボタンをタップします
【5】⑤「拡張機能」をタップします。【6】⑥検索窓に「LINE」と入力し、表示された⑦「LINE」をタップします
【7】⑧「追加」をタップしたあと、確認画面の⑨「OK」をタップします。その後、⑩ホームボタンをタップします。【8】再び右上の3点ボタンをタップし、⑪「LINE」を選びます
【9】ログイン画面が開きます。⑫アカウントに紐づけられているメールアドレスとパスワードを入力し、⑬「ログイン」をタップします。【10】ログイン認証のための番号が表示されます
【11】アカウントが紐づけられている元々の画面を開き、認証番号を入力します。【12】「Kiwi Browser」から別のアカウントが見られるようになりました
LINEで複数アカウントを運用するその他の方法
LINEで複数のアカウントを運用するそれ以外の方法として、「LINE WORKS」「LINE オープンチャット」の活用が挙げられます。
LINE WORKS
「LINE WORKS」はビジネス版のLINEです。通常のLINEとLINE WORKSは、同じ電話番号でも別のアカウントとして使い分けることができます。「LINE WORKS」アプリのインストールは必要ですが、1台のスマホで気軽に2つのアカウントを運用できるので便利です。
LINE オープンチャット
LINEの「オープンチャット」は、不特定多数と匿名でチャットできる機能です。チャットルームごとに異なるプロフィールで参加でき、元のLINEアカウントは特定されない仕様になっています。厳密にいうと「複数アカウントの作成・運用」ではありませんが、通常のLINEトークと操作感がほとんど同じなので、シーンに応じて使い分けたい場合には便利です。
将来的には「LYPプレミアム会員」向けの複数アカウント作成・運用も検討中
ここまでLINEアカウントを2つ以上作成・運用する方法を解説してきました。
今後の展望として、最後に「Yahoo!とLINEの合併に伴い、両者のIDが連携される見込み」であることを紹介します。
2023年10月からLINEとヤフーのIDを連携する試みが、本格的にスタートする見込み。それに伴い、Yahoo!とLINEを横断する「LYPプレミアム会員」プログラムも2023年11月にスタート予定。会員特典としてLINE側では、まずは「アルバムに動画を保存できる」「対象のスタンプが使い放題になる」サービスが予定されています
そして、将来的に「1台のスマホで複数のLINEアカウントが利用できる」サービスもLYPプレミアム会員向けに提供することが検討されています。近い将来、LINEアカウントを2つ以上作成するのは「公式機能」になるかもしれません。
詳しくは以下の記事で紹介しています。
まとめ
1台のスマホでLINEアカウントを複数作成するには、「電話番号」以外に「デュアルアプリ」や「マルチユーザー機能」を使用するか「マルチログインアプリ」が基本的に必要となります。つまり「そもそも複数の電話番号を用意できる前提」が必要です。
電話番号の用意が難しい場合には、LINE WORKSや、LINE オープンチャットを利用すると良いでしょう。将来的に「1台のスマホで複数のLINEアカウントが利用できる」サービスの提供も検討されているため、今後の動向に注目です。