イーロン・マスク氏の指揮系統のもと、Twitterから名称をあらめて、独自路線を突き進むソーシャルメディア「X」。最近も変化は続いており、ユーザーを限定して会話を楽しめる「サークル機能」が10月31日をもって廃止とする一方、新たに電話番号を使うことなく、音声やビデオ通話が可能となる新機能が追加される予定だ。
スクラップ&ビルディングを繰り返して、ソーシャルメディアとして磨きをかけるなか、“無料の壁”を崩す動きが出ている。メイン機能「投稿」をはじめとした一部機能を有料化するテスト「Not A Bot」がニュージーランドとフィリピンではじまったのだ。
投稿するには年会費1ドルが必要になる!? 無料が当たり前のなか約150円は高い?
10月18日にはじまったXの新たなプログラム「Not A Bot」。年間1ドル(約150円)を支払えば、ユーザーはこれまでどおり投稿や他ユーザーの投稿に加わることができるというもので、この日ニュージーランドとフィリピンでテスト開始となった。たかが150円、されど150円。年会費としては破格ともいえる価格設定だが、“支払う”という手間を考えると、気後れするユーザーは多いのではないか。
世界中で3億3,000万以上のユーザーを抱えると言われている「X」。そのなかには、日々投稿するユーザーだけでなく、情報収集・話題閲覧用としてXを活用するユーザーも一定数いるはずだ。そうした傍観型ユーザーに関しては、有料化されて投稿などの機能が制限されたとしても、さほど影響はなさそうだ。つまり、日々投稿する発信型ユーザーの中に有料化する理由が隠されている。
その理由とは、プログラム名の「Bot」の撲滅だと考えられている。X公式発表でも「この新しいテストは~中略~スパム、プラットフォームの操作、ボットのアクティビティを削減するという、すでに成功している取り組みを強化するために開発されました(以上、和訳)」としている。
Bot(ボット)は、自動的にプログラミングされた動作を実行されるよう設定されたアプリを指し、7月にインプレッション数(投稿閲覧数)に応じて、ユーザーに報酬が支払われる「クリエイター広告収益分配プログラム」の開始以降、話題の投稿に対して自動的にリプライするBot活動が、Twitter時代から支持されてきたユーザー間の円滑なやりとりを阻害するものとして問題視されていた。
個人情報収集、さらなる値上げの布石…年会費導入の真意は今後明らかに?
今後「年会費1ドル」が世界的に導入されるかはいまのところ不明だが、9月にイーロン・マスク氏がXの全面有料化の可能性を示唆しており、日本のユーザーが該当する電撃発表があっても不思議ではない。
Bot撲滅を掲げた取り組みであれば、ユーザーにメリットがある分、有料化も致し方ないだろう。ただ、“お金を支払う”という行動が発生するだけに、支払いにともなうユーザー個人情報の収集、さらなる値上げによる収入源の確立といったX側の思惑も見え隠れする。無料SNSとして支持されてきたXが、どのようなメディアになっていくのか、今回の1ドルが大きな分岐点になるかもしれない。
引用元:【「Support(@Support)」X】
引用元:【X Help Center】
参照元:【9to5Mac】
参照元:【FORTUNE】
参照元:【Engadget】
※サムネイル画像(Image:izzuanroslan / Shutterstock.com)