音声SNSの「Clubhouse」が人気を集める中、レトロな写真が撮影できるSNSアプリ「Dispo」も話題を呼んでいる。Dispoとは、インスタントカメラ風の写真を撮ることができるアプリだ。インスタントカメラ同様に撮影したその場は写真を確認できず、翌朝9時までは写真を見ることができないのである。“インスタ映え”のインスタグラムは、撮影後すぐにアップできるが、翌日にしか見ることができないというタイムラグが生まれるこのDispoは、際限なく便利になっていく現代においては新しい切り口のSNSとして注目を集めそうだ。
“エモい”写真が撮れるアプリ
Dispoの大きな特徴であり魅力のひとつとなるのが、撮影した翌日9時にならなければ写真が見られないというシステムだ。友人や家族、恋人などと一緒に撮影した写真をその場でチェックできないというのは、世代によっては使い捨てカメラの「写ルンです」を思い出す人もいるかもしれない。
近年のデジタルカメラやスマホで撮影した場合は、写真をすぐに確認して「うまく撮れていないから」と撮り直すことも容易だ。しかし使い捨てカメラは、どのような写真の出来映えになったかが判断できず、かといって撮影できるフィルム枚数も限られているため無制限に撮ることもできない。残りの枚数がカウントダウンされていく独特の緊張感と現像されるまでのワクワク感が、使い捨てカメラの魅力のひとつでもあったのだ。その“不便さ”をSNSとして再現したのがDispoなのだろう。便利さを追い求めるデジタルネイティブ世代に向けて、不便さを提供し注目を集めるという逆転的発想はおもしろい。
Dispoは、巷で話題を呼ぶClubhouseと同様に“招待制”を採用している。アプリに対する招待可能人数は20人。Clubhouseよりは多く招待枠を設けているという。
Z世代はもちろん昭和後期や平成生まれにとっても、知らないはずの懐かしい“エモい”気分に浸ることができるアプリとなりそうだ。インスタグラムのように写真映えを意識せず、気の置けない仲間と気軽にノスタルジックな写真を共有できる無二のSNSと言える。「自分をよく見せようと振る舞う」「見映えを気にする」といった、ともすれば“SNS疲れ”にもつながるストレスを感じることなく楽しめるのは、音声のみでコミュニケーションするClubhouseと同様の魅力を持っていると言えるのかもしれない。
こうした肩の力を抜いたコミュニケーション方法が、今後も発展していくのではないだろうか。写ルンですを使ったことのない若い世代にこそ響きそうなDispo。2月半ばにベータ版が登場した際には、あっという間にベータ版上限人数の1万人に到達してしまったほどの人気ぶりだった。現在はiOS版のみの対応となっているが、今後Androidスマホに対応したアプリの開発を望む声も出てくることは間違いなさそうだ。Dispoを通して幅広い世代が“エモい”写真を撮ることで、ジェネレーションギャップを楽しむひとつのきっかけにもなるのではないだろうか。
参照元:撮ったら「翌朝」までお楽しみ–招待制の使い捨てカメラ風SNS「Dispo」を使ってみた【CNET Japan】
※サムネイル画像(Image:Mr.Mikla / Shutterstock.com)