LINEやインスタグラム、ツイッターなど、若者を中心に利用されているSNS。現代ではほとんどの人が、スマホになんらかのSNSアプリを入れて利用していることだろう。だが実はフェイスブック社が運営しているインスタやフェイスブックが、iPhoneなどのアップル製品で使えなくなる可能性があるようだ。その背景には、中東で横行したインスタ上での人身売買が原因として存在するという。
今回は、アメリカの日刊経済新聞である、ウォール・ストリート・ジャーナルが2021年9月に明らかにした、フェイスブックの内部報告書の内容を紹介しよう。
Instagramを悪用した人身売買とは?
そもそもの発端は、2019年にイギリスのBBCが「中東の業者がインスタを使い、違法に人身売買をしている」と報じたこと。サウジアラビアやクウェートで、特定のハッシュタグを使い家事労働者を販売する広告が掲載されていたと暴露した。被害者である女性たちは、密室に閉じ込められ奴隷のような生活を送り、人種ごとに分類されて闇取引されていたようだ。
インスタでの非人道的な売買はそれだけに収まらず、2020年にイラン学生通信(ISNA)が報じたところによると、イラン警察はインスタ上で新生児の売買に関する投稿を10件~15件発見。投稿にはいずれも新生児の写真が添付されており、警察は新生児の売買に関わったとみて、3人の容疑者を逮捕している。容疑者の自宅から2人の乳幼児を確保したたが、すでに数人の新生児が売られてしまったよう。新生児は1人あたり、日本円で100万円から125万円ほどで売買されていたという。
公開された内部報告書によると、2年前のBBCの報道にまつわる動向が判明する。アップルはフェイスブック社に対し、人身売買への対策を強化するよう要請し、人身売買を取り締まらなかった場合、フェイスブックやインスタといったアプリをApp Storeから削除すると警告した。そのかいもあって、これまで限定的な措置しか行っていなかった問題のある投稿やアカウントに対して、BBCの報道後には人身売買に使われるハッシュタグを禁止し、数百のアカウントをインスタから削除した。
この時、フェイスブック社の広報担当者は、「私たちは人的搾取を明確な言葉で禁止している。そして長年にわたり、当社のプラットフォーム上で人身売買と闘ってきた」と主張している。また、「私たちの目標は、他人を搾取しようとする者が私たちのプラットフォームにおいて居場所を持てなくすることに変わりはありません」とも述べている。
2021年10月4日時点ではまだApp Storeから削除される憂き目にはあっていないようだ。しかし ウォール・ストリート・ジャーナルによると、現在もインスタグラムを悪用した人身売買が横行しているよう。またApp Storeからの削除警告が再燃しないといいが。今後の動向にも注視したい。
参照元:「Facebook社のアプリをApp Storeから削除する」とApple社が警告。Instagramが人身売買に悪用【FINDERS】
※サムネイル画像(Image:Primakov / Shutterstock.com)