「チューナーレステレビ」は何を基準に選べばいいの? 7つのポイントを解説!

今、NHKの受信料を支払いたくない人に注目されているのが、テレビチューナーを搭載していない「チューナーレステレビ」です。これなら、Android TVによる動画配信サービスで映画やテレビ番組を楽しめますし、テレビチューナーは非搭載なのでNHKの受信料を払わなくてもいいのです。でも、チューナーレステレビは何を基準に選べばいいのでしょうか? そこで今回は、チューナーレステレビを選ぶときにチェックしたい、7つのポイントを紹介しましょう。

そもそもチューナーレステレビって何?

最近、テレビ(地上波やBS)チューナーを搭載していない「チューナーレステレビ」が続々と発売されています。

チューナーレステレビとは、文字通り“テレビチューナーを搭載していない”テレビのことで、地上波やBSなどのテレビ放送は見られませんが、テレビチューナーを搭載していないので、NHKの受信料を支払う必要がありません。

NHK(地上波)の12カ月前払い料金は1万3,650円もするので、NHKをまったく見ないのであればかなりお得ですよね。

でも、「チューナーがないならパソコン用モニターと同じでは?」と思った人もいるかもしれませんが、チューナーレステレビにはネット動画配信サービスが利用できる「Android TV(Google TV)」が内蔵されています。

これによって、Amazonプライム・ビデオやNetflix、U-NEXTといった動画配信サービスを利用できますし、「TVer」ならNHK以外の民放のテレビ番組を無料で視聴することも可能となっています。

ちなみに、Android TVを内蔵していてもテレビチューナーを搭載しているタイプもあり、こちらは主に「スマートテレビ」と呼ばれています。

ドン・キホーテが2021年12月に発売した「AndroidTV 機能搭載チューナーレス スマートテレビ」は、1万5,000台以上も売り上げて大きな話題となった(写真はドン・キホーテ公式サイトより転載)

●ドン・キホーテ「チューナーレススマートTV」は→こちら

【1】テレビのサイズとパネルの種類を確認

チューナーレステレビを購入するとき、重要なポイントになるのはテレビのサイズでしょう。テレビの大きさは「〇〇V型」と表示されていますが、ワンルームなどで見るなら24V~32V型で十分。

リビングなど広い部屋でメインテレビとして使うなら、43V~50V型が欲しいところです。ちなみに、2022年11月下旬にはORIONから65型や75型の超大型4Kモデルも登場しています。

実は、家電量販店などでテレビの実物を見ても、広い空間ではサイズ感が正しく把握できません。実際に大型モデルを自宅に設置してみると、最初は「デカすぎる!」と感じることが多いのですが、それも1カ月ほどすれば慣れてしまうものです。

また、液晶ディスプレイの「パネル」の種類もチェックしておきましょう。現在主流なのは「IPS」方式ですが、なかには「VA」方式を採用している機種もあります。

「IPS」の特徴は視野角が広く、横から見ても色が変わらないことです。ただし、応答速度はやや低めになりますので、基本的には画面の動きが速いゲーム向けではありません。

一方、大型モデルでは「VA」が採用されることがあります。こちらは引き締まった黒を美しく表示することができ、コントラスト比が高いのが特徴です。ただし、視野角はやや狭めになります。

もちろん、IPS方式でもVA方式でもそれぞれの弱点をカバーする技術が導入されていますので、「ゲームでの遅延が気になる!」といった人でなければ、さほど気にしなくても大丈夫です。

●ORION「SMART TV -Tunerless-」は→こちら

こちらはORION(オリオン)のチューナーレステレビのラインナップ。24V~75V型まで6つのモデルがある。なんとなく大きさのイメージが掴めるだろう(画像はORION公式サイトより転載)

【2】液晶ディスプレイの解像度を確認

美しい画質でネット動画を楽しみたいなら、チューナーレステレビの解像度もチェックしましょう。テレビは解像度が高くなるほど、より細部まで鮮やかな映像で映し出されるからです。

チューナーレステレビの解像度は大きく分けて、解像度1366×768の「ハイビジョン(HD)」、解像度1920×1080の「フルハイビジョン(FHD)」、解像度3840×2160の「4K」の3種類があります。

画素数で表すとHDで約100万画素、FHDで約200万画素、4Kで約800万画素となります。

もちろん、解像度は高いほどいいのですが、たとえば、現在24V型はHD、32V型はHDかFHD、43V型はFHDか4K、50V型以上のモデルは4Kが主流となっています。

購入時に気にすべきモデルは32V型と43V型で、多少高くても32VならFHD、43V型なら4Kにしておいたほうが満足度は高いでしょう。

■ディスプレイの解像度と画素数

【ハイビジョン(HD)】解像度1366×768(約100万画素)
【フルハイビジョン(FHD)】解像度1920×1080(約200万画素)
【4K】解像度3840×2160(約800万画素)

売れ筋の43V型モデルでは「FHD」モデルもあるが、予算が許すなら解像度が高い「4K」モデルを選んでおいたほうが満足度は高いだろう(画像はAmazon公式サイトより転載)

チューナーレステレビは、基本的にどの機種もAndroid TVを搭載しています。そのため、アプリをGoogleからダウンロード&インストールすれば、ほとんどの動画共有サービスが利用可能になります。

たとえば、代表的な動画共有サービスであるYouTube、Netflix、Amazonプライム・ビデオ、Hulu、U-NEXT、TVer、Abema、GYAO!、FOD、Disney+、DAZNなどは、どの機種でも対応しています。

もちろん、有料サービスは別途契約が必要になり、それぞれのサービスごとに月額利用料やコンテンツ購入費用などを支払うことになります。すでに契約しているときは、ログインIDとパスワードを準備しておきましょう。

もし、マイナーな動画・音楽配信サービスを利用したい場合は、一応メーカーの公式サイトで対応状況を確認しておきましょう。

●ゲオオンライン「AX-MSK43/AX-MSK50」は→こちら

こちらがAndroid TVの画面。必要な動画配信サービスのアプリを検索して、スマホのようにGoogleからダウンロード&インストールすることができる(画像はゲオオンラインから転載)

【4】画像処理技術を確認

テレビの画質にこだわるなら、映像処理技術にも注目しましょう。とくに「Dolby Vision」や「HDR10」に対応しているかは重要です。

まず「HDR」は“High Dynamic Range”の略で、画像の明暗をより広いレンジで表現できる標準的な技術のこと。「Dolby Vision」もほぼ同じような技術ですが、HDR10より高画質だと覚えておけばいいでしょう。

たとえば、動画配信サービスの「Disny+」などではHDR10とDolby Visionの両方に対応していますので、チューナーレステレビ側もこれに対応していれば、より高画質な映像を楽しめます。

HDR10やDolby Visionに対応する機種なら、従来より画像の明暗や色調のグラデーションが自然に美しく表現できる(画像はORION公式サイトより転載)

アクション映画やスポーツ中継を楽しむなら、フレーム補正技術にも注目しましょう。「MEMC」は“Motion Estimation Motion Compensation”の略で、速い動きを予測して前後のフレームから映像を補完し、残像感を少なくする技術です。

また、HDMIケーブルで入力された映像は「ALLM(Audio Low Latency Mode)」情報に基づき、低遅延モードと高画質モードを自動的に切り替えられます。ALLMに対応する機種なら、動きの激しいゲームなどは自動的に低遅延モードになって快適にプレイできます。

スポーツ中継やアクションゲームを楽しむなら、このような映像技術に対応しているか、事前に調べてみるといいでしょう。

●ORION「SMART TV -Tunerless-」は→こちら

MEMCは、動きの速い映像を補完して残像感が少ない映像に処理する技術。(画像はORION公式サイトより転載)

ALLMとはHDMIケーブルの情報に連動して、動きの激しい映像なら自動的に低レイテンシーモードに切り替える技術のこと。ゲーム好きな人は要チェック(画像はORION公式サイトより転載)

動画配信サービスは高音質な立体音響にも対応しています。もし、マルチチャンネルに対応したスピーカーシステムが自宅にあれば、映画館のような迫力あるサウンドを楽しむことができます。

そこでチェックしておきたいのが「Dolby Audio」と「Dolby Atmos」です。これらは、いずれもデジタル音声圧縮技術を開発するドルビーラボラトリーズ社の技術です。

Dolby Audioは映画館のような迫力ある音響システムのことで、具体的には5.1ch~9.1サラウンドに対応していることを示しています。たとえば、5.1chサラウンドを楽しむには前後に5つのスピーカー(5ch)+低重音のサブウーファー(0.1ch)が必要になります。

これに対し「Dolby Atmos」は、上下にもスピーカーを配置して5.1chサラウンドよりも立体的で臨場感のある音響を楽しめる最新技術となります。

なお、Dolby Atmosに対応している機種なら、それはDolby Audioにも対応していることを意味しますので、音響にこだわる人なら確認してきましょう。

Dolby Audioに対応していれば、映画館のような迫力あるマルチチャンネル音響を楽しめます(画像はORION公式サイトより転載)

Dolby Atmosに対応していれば、上下にもスピーカーを配置して5.1chサラウンドよりも立体的で臨場感のある音響を楽しめます(画像はORION公式サイトより転載)

【6】HDMI入力端子の数を確認

BDレコーダーやゲーム機などを多数利用している人は、HDMI入力端子の数に注意しましょう。

HDMI端子の数は機種によって異なります。大型モデルにはHDMI端子が4ポート搭載した製品もあり、ゲーム機やBDレコーダー、パソコンなどを常時接続しておきたい人にとっては重要なポイントになります。

基本的に下位モデルや小型モデルになれば、HDMI端子数も少なくなるので注意しましょう。

外部機器をつなげられるHDMI端子入力のポート数がいくつあるかは、購入前に必ず確認しておきたい

【7】Google TVへの対応を確認

ほとんどのチューナーレステレビは「Android TV」を採用しており、ネットを利用した動画共有サービスが簡単に利用できます。

しかし、なかには「Google TV」に対応したモデルもありますが、この2つは何がどう違うのでしょうか?

そもそも、Android TVはテレビで動画共有サービスを利用できるようにするOSのことです。これらは、スマホのAndroid OSがベースになっており、さまざまアプリを検索して入手できるほか、音声検索サービスも利用可能です。

これに対しGoogle TVは、Android TV向けの新しいホーム画面のこと。具体的にはGoogle PlayストアとGoogle Playムービーの機能を統合したもので、ザックリ言えばGoogle TVもAndroid TVの一種になります。

Google TVのほうがGUIが新しく機能的には優れている部分もありますが、動画共有サービスを利用するという観点では、どちらを採用しているかは、さほど気にする必要はないでしょう。

こちらがGoogle TVの画面。GUIはAndroid TVより優れている部分もあるが、動画配信サービスを利用するうえでは、さほど気にすることはない(筆者撮影)

ちなみに、Android TV搭載スマートテレビの多くは「Chromecast built-in」に対応しています。

これはGoogleのキャストデバイス「Chromecast」機能を内蔵していることを示しており、対応機種ならAndroidスマホの画面をそのままテレビに表示(ミラーリング)することが可能となっています。

こちらは、実際にGoogle TVのミラーリング機能を使ってスマホの画面をテレビに映し出した状態。Chromecast built-in機能に対応していれば、同じことが簡単にできる(筆者撮影)

まとめ

いかがでしょうか? NHKの受信料を支払わなくてもいいチューナーレステレビですが、機種によって微妙に性能や機能が異なっています。

今回紹介した7つのポイントをチェックして、自分のライフスタイルにピッタリな機種を選んでください。

なお、チューナーレステレビの最新トレンドや具体的なメーカーや機種については、こちらの記事で紹介していますので参考にしてください。

すずきあきら
編集・ライター。パソコン通信時代からネットワークに接しWi-Fiやインターネット、SNSなどに精通。30年に渡って、パソコンやスマホ関連のムック本や雑誌記事を手がけてきた大ベテラン。最近は格安SIMなどのケータイ料金やアプリ、通信費全般の記事を執筆することが多い。

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