皆さんは「くずし字」という文字をご存じだろうか。「くずし字」とは、江戸時代以前の日本で使われていた文字のことだ。しばしば「ミミズのはったような文字」と揶揄されるだけあり、読みづらいことでも有名である。
2022年12月22日に投稿された、刀箱師 | 中村圭佑 | 展示ケース作家 | 刀とくらす。@katana_case_shiさんの「まさか鐔に書かれた文字をスマホアプリで解読できるとは思わなかったです。少し前に話題になっていた崩し字を訳してくれる「miwo」というアプリ凄い。」というツイートには、実際に鐔に書かれたくずし字をAIが読み取っている様子の写真が添えられていた。
この投稿には、2.9万件を超える「いいね」がついており、ツイッター上で大きな話題となっている。
今回は、こちらのツイートに関する詳細と、リプライ欄に寄せられた様々な意見をご紹介します。
まさか鐔に書かれた文字をスマホアプリで解読できるとは思わなかったです。
少し前に話題になっていた崩し字を訳してくれる「miwo」というアプリ凄い。 pic.twitter.com/uLBPubyAIJ— 刀箱師 | 中村圭佑 | 展示ケース作家 | 刀とくらす。 (@katana_case_shi) December 22, 2022
鐔に書かれていた文字とは?
ちなみに鐔(つば)とは、刀剣の柄と刀身との間に挟むことで、柄を握る手を防護する部品のことである。小さな鐔に書かれたくずし字が、今回AIのくずし字認識アプリ「みを(miwo)」を使うことで、きちんと読み取れたというのだ。
AIのくずし字認識アプリ「みを(miwo)」は、2022年度のグッドデザイン賞も受賞しており、大きな話題となったアプリだが、これほどまでに文字認識の性能が高いとはさすがである。「みを(miwo)」を使うことで、鐔には以下の文字が浮かび上がった。
「わけのほる 麓の道はおほけれど おなじ高ねの 月をこそみれ」
投稿者の刀箱師 | 中村圭佑 | 展示ケース作家 | 刀とくらす。さんは、先ほどのツイートに追記する形で以下のように述べている。
「どうやら「わけのほる」という一休宗純の和歌のようで、以下のサイトを見ると解説がありました。当時この鐔を付けて戦った武士はこの和歌にどのような想いを重ねたのだろうか。http://575.jpn.org/article/174793869.html」
アプリの開発者はどんな人?
このツイートを見たツイッターユーザーたちからは、「miwo便利ですよね!ただ似てる文字のときは精度が怪しい時があるので(尓と与とか、利と和とか)、意味が通らないなと思ったら間違ってるかもと疑ってかかってみてください!」と、実際にmiwoを利用している人からのアドバイスや、「なるほど〜、古文書講座にわざわざ通わなくてもいいですね。ありがたいことです。」
「日本の平安文学とか勉強していた時に辞典を見ながら現代語にしていたけど、こんな便利なアプリが出る世の中になったのか。」と、気軽にくずし字が読めるようになったことに対する感動の声など、様々なコメントがリプライ欄には寄せられていた。
一体どんな人がこのアプリを開発したのだろうか。実は「みを(miwo)」は、中世の『源氏物語』古注釈を専門としている、タイのカラーヌワット・タリンさんという女性が開発したアプリなのだそうだ。
開発者がタイ出身の方と知り、驚いた人も多いのではないだろうか。こんな素晴らしいアプリを制作してくださったことには、日本人として感謝しかない。
アプリは古典日本文学を広めるため無料配布中!
AIのくずし字認識アプリを利用することで、あっという間に鐔に書かれた文字が読めたという今回のツイート。筆者の実家にも、全く読めないくずし字が書かれた掛け軸が多数眠っているので、次回の帰省時には「みを(miwo)」を利用して、何が書いてあるのかを解読してみたいと考えている。
今回ご紹介したAIのくずし字認識アプリ「みを(miwo)」は、古典日本文学や日本文化を広めるため、無料で配布を行っているアプリなので、皆さんもぜひダウンロードしてみてはいかがだろうか。観光地の石碑に書かれた文字なんかも、あっという間に解読することが出来るので、旅のお供にもオススメである。
※サムネイル画像(Image:「刀箱師 | 中村圭佑 | 展示ケース作家 | 刀とくらす。(@katana_case_shi)」さん提供)