コロナ禍のステイホームを追い風に、一大ムーブメントを巻き起こした動画ストリーミングサービス・Netflix。「愛の不時着」や「イカゲーム」、「梨泰院クラス」、「全裸監督」など国内外の個性豊かなオリジナル作品を視聴したユーザーも多いはずだ。コロナ対策が緩和したいまでも、動画ストリーミングサービス利用は定着しており、筆頭サービスのNetflixも安泰……と思われたが、ここにきて「パスワード共有」に関するニュースが世界に広まっている。その背景には、一部ユーザーが行うビミョーな視聴方法があるようだ。
Netflix、パスワード共有の取り締まり対象国を拡大、いずれは日本も？
（Image:CeltStudio / Shutterstock.com） Netflixクオリティと評価される映像作品の数々。生活の一部になっているユーザーもいるだろう
Netflixが公式サイトで「共有に関する最新情報」というタイトルで発表したのは、Netflixアカウントに関する声明だ。まるで、Netflixを契約したばかりのユーザーに対する説明かのように、「Netflixアカウントは1世帯が使用できる」「その世帯に住むすべての人は、自宅、外出先、休暇中など、どこにいてもNetflixを使用できる」といった基本情報をあらためて発信している。
その行動の背景にあるのは、パスワード共有の取り締まり強化だ。上記基本情報のように、アカウントを世帯内で共有することで、いつでもどこでもストリーミングサービスを利用できるわけだが、Netflixが懸念しているのは「世帯外のユーザーの利用」である。Netflixとしては“あってはならない”利用方法だが世界的には散見されており、Netflixも無視できないほど。
事実、以前から南米など一部国や地域では、世帯外のパスワード共有を取り締まってきたが、今回アメリカやフランス、ドイツ、フィリピン、タイなど世界各国でも施行される。現時点で日本は対象外とされているが、世界的に見られる兆候となれば、取り締まり強化の対象となる日は近いかもしれない。
Netflixといえど安泰と言えず……、取り締まり強化は収益確保策の一環か
契約世帯外のユーザーが視聴しているとしたら、Netflixからすれば手痛いロスだ（画像は「Netflix」公式サイトより引用）
Netflixがパスワード共有の取り締まり強化を世界中に広げた決断は、動画配信サービス業界の成熟度合が関係していると考えられる。世界的に画期的なサービスが話題を呼び、需要が一巡するなか、Netflixとしてはいかに解約者を減らし、新たな契約者を呼び込めるかが成長のカギになる。2022年11月から提供開始された、広告付きの低月額料金プラン「広告つきベーシック」がそのひとつだが、その陰で契約世帯以外のユーザーが利用しているとなると大きな取りこぼしになる。今回のパスワード共有取り締まり強化は、そうしたユーザーの想定外の利用方法を是正し、入会を促す目的があると思われる。
Netflixといえば莫大な制作費に裏打ちされた、壮大なスケールの作品が代名詞。契約料金がその源泉となるからこそ、Netflixを愛するユーザーとしては正規の方法で楽しんでほしい。
※サムネイル画像は（Image:「Netflix」公式サイトより引用）
