PayPayあと払いは、PayPayアプリで支払いを後回しにできるサービスです。そしてPayPayは2023年8月1日から「PayPayあと払い」の表記を「PayPayカード」または「クレジット」に変更することを発表しました。これは2025年1月からPayPayから「PayPayカード」と「PayPayカード ゴールド」以外のクレジットカードが使えなくなることに伴う変更の一環であると見られます。
とくにPayPayカードの「これだけスキップリボ」「まるごとフラットリボ」の2つのPayPayあと払いのサービスには要注意。

PayPayあと払いを「手数料無料」のサービスと認識している方も多いでしょう。しかし実際に手数料が無料なのは翌月一回払いの場合のみ。「これだけスキップリボ」「まるごとフラットリボ」はPayPayあと払いの一種ですが、リボ払いなので使うと高額な手数料が発生します(画像はPayPay公式サイトより引用)
こうしたシステムにくわえ、「PayPayあと払い」が「PayPayカード」に変更することに対し混乱している方も少なくないのではないでしょうか。
この記事ではPayPayあと払いに潜んでいる罠や使い方や申し込み方法、PayPayカードとの違いなどを詳しく解説します。
PayPayあと払いとは?概要・仕組みと手数料
「PayPayあと払い」とはPayPayで決済した代金を「PayPayカード」で後払いする支払方法のことです。

前述の通り「翌月一回払い」での後払いの場合は手数料無料です。クレジットカードを利用する場合、PayPayあと払いの利用には「PayPayカード」の発行が必須です。なお2023年8月からはPayPayあと払いの機能名称が「PayPayカード」または「クレジット」に統一されることも発表済みです
●PayPayカード「お支払いスケジュール(ご利用の締切日と支払い日)について」→こちら
PayPayあと払いを利用するには事前に申し込み、審査が必要です。年会費は無料で、支払い上限金額は、本人確認が完了していれば過去24時間で最大50万円、過去30日間で最大200万円まで。
PayPayあと払いで支払った金額は、一回払いの場合は翌月27日に指定の口座から一括で引き落とされます。手数料無料で後払いが可能で、なおかつPayPayポイントの還元も受けられるのが最大の特徴です。
なおリボ払い設定もできますが、手数料が発生します。この「リボ払い」の存在が、手数料無料というイメージが強いPayPayあと払いの罠です。
PayPayあと払いのデメリットや危険性
PayPayあと払いのデメリットや危険性をご紹介します。
【デメリット】「PayPayカード」のクレジットカード発行が伴う
クレジットカードを利用する場合、「PayPayあと払い」の利用代金は「PayPayカード」から、翌月に引き落としされる仕組みです。つまりPayPayカードのクレジットカード発行が必須になります。
PayPayでは「PayPayあと払い」に限らず、自社発行のクレジットカード以外の利用を認めない動きを強めています。
【デメリット】「PayPayカード」との名称の統一
冒頭で触れたとおり、2023年8月から「PayPayあと払い」のミニアプリの名称は「PayPayカード」に統一されます。また「支払い方法」の表示名は「PayPayあと払い」から「クレジット」へと変わります。

「あと払い」だったはずの機能が「PayPayカード」「クレジット」に変わるという驚きの変更。これまでも実質的に「あと払い」の機能は“紐づけたPayPayカードから支払うこと”ではありましたが、たとえば「PayPay残高での支払い」や「クレジットカードのPayPayカード」に対応しているネットサービスなどでも、PayPayあと払いには対応していない場合もあります。「わかりにくい」印象は否めないでしょう
(画像引用元:PayPay公式サイト)
【デメリット】「これだけスキップリボ」「まるごとフラットリボ」の手数料が高い
PayPayには「これだけスキップリボ」「まるごとフラットリボ」というリボ払いのプランがあり、手数料は無料ではありません。

「これだけスキップリボ」はその月に使いすぎた分をリボ払いに変更し、当月の支払金額を減らせるプラン。支出が多く支払いが厳しい際に、毎月20日の21時59分までなら特定の支払いだけをリボ払いへ変更できます。翌月以降に支払っていきたい場合に適しています

「まるごとフラットリボ」は、すべての買い物が自動的にリボ払いになるプランです。毎月の支払金額がリボ払いになり、月々の返済額を一定にできる点が特徴。また毎回都度都度リボ払いに支払いを変更する手間がなくなります。しかし強制的にすべての買い物がリボ払いになり、手数料負担が大きくなるため基本的に利用をおすすめしません
参考元:PayPay公式サイト
利息は実質年率18.0%で、一括払いよりも総支払額が多くなるので注意しましょう。
具体的な返済シミュレーション例を2通りほど紹介します。なおあくまで筆者が試算したシミュレーションのため、実際のPayPayあと払いのリボ払いの手数料と微妙にズレがある可能性があります。ご了承ください。
・リボ払いの金額が20万円、実質年率が18%の場合
たとえば20万円のゲーミングPCやブランド品などの買い物を、「これだけスキップリボ」でリボ払いに変更。毎月1万円ずつ返していくとしましょう。
借入金額 | 20万円 |
実質年率 | 18.00% |
毎月の返済金額 | 1万円 |
返済総額 | 23万4,478円 |
3万円以上返済総額が増えており、リボ払いの手数料が極めて高いことがよくわかります。
・リボ払いの金額が30万円、実質年率が18%の場合
同様に今度は30万円の買い物を、「これだけスキップリボ」でリボ払いに変更。毎月2万円ずつ返していくとしましょう。
借入金額 | 30万円 |
実質年率 | 18.00% |
毎月の返済金額 | 2万円 |
返済総額 | 34万456円 |
毎月2万円の返済は地味に大きな出費です。なおかつ、それでも返済総額が4万円増えるというのは体感的に「大きなマイナス」に感じられるのではないでしょうか。
【デメリット】審査に時間がかかる場合がある
PayPayあと払いを利用するには、事前に申し込みが必要。申し込み時に審査が行われますが、PayPayカードを持っていない場合、この審査に時間がかかる場合があります。早ければ当日に審査が下りますが、審査の完了が翌日以降になることも。本人確認の審査だけで3日程度かかる場合もあります。
審査結果は、アプリのプッシュ通知で届きますが、アプリTOP画面の「あと払い」アイコンをタップすることでも確認可能です。なお、先述した通り2023年8月1日からは「あと払い」アイコンも「PayPayカード」表記に変わります。
参考元:PayPay公式サイト
【デメリット】利用可能額には上限がある
利用可能額は本人確認が済んでいる場合、24時間以内に利用できるのは50万円まで、過去30日間に利用できるのは200万円までです。この金額を超えるとPayPayあと払いが使えなくなります。
また、審査結果によってはさらに低い限度額になる場合もあります。加えて、本人確認が完了していない場合、利用可能額は10万円までです。
利用可能額の上限については以下の通りです。
過去24時間 | 過去30日間 | |
本人確認完了済みの場合 | 最大50万円 | 最大200万円 |
本人確認未完了の場合 | 最大10万円 | 最大10万円 |
PayPayの本人確認については、こちらの記事でも解説しています。
【デメリット】つい使いすぎてしまう可能性がある
チャージ不要で使えるのは便利ですが、クレジットカードと同様に支払い感覚が薄れてしまう恐れがあります。翌月にまとめて引き落とされるので、毎月の支出を把握するのが難しくなる点はデメリット。自分の収入に合わせて無理なく利用することが大切です。
【デメリット】利用可能な店やサービスに制限がある
PayPayあと払いは、現在はPayPay加盟店の実店舗またはYahoo!ショッピング、PayPayフリマ、Amazonなどのオンライン加盟店や一部のネットサービスで利用可能ですが、制限があります。
PayPayあと払いのメリット
PayPayあと払いにはメリットもあるため紹介します。
【メリット】チャージが不要
PayPayあと払いは、事前に残高をチャージする必要がありません。そのため、残高不足やチャージ時に残った端数を気にすることなく、スムーズに決済できます。また、PayPayあと払いによるPayPay残高へのチャージも可能です。
【メリット】PayPayポイントが貯まる
PayPay払いでは、支払い金額に応じてPayPayポイントが付与されます。PayPayあと払いの場合、PayPay残高での支払いと比べてPayPayステップの基本付与率が2倍の1%になるのがメリット。
なお2023年7月よりPayPayステップの条件が変更され、PayPayカードの場合は、利用金額200円につき1%、PayPayカード ゴールドの場合は200円につき1.5%を付与。かつ前月1日00:00から同月末日 23:59までに200円以上の決済が30回以上、利用額10万円以上の条件を満たすとPayPayカードで最大1.5%、PayPayカード ゴールドで最大2.0%の還元を受けられます。
PayPayあと払い登録のカード | PayPayカード | PayPayカード ゴールド |
基本付与分 | 1% | 1% |
PayPayカード ゴールド特典 | 0.50% | ― |
200円以上の決済30回以上 &利用額10万円以上 |
0.50% | 0.50% |
合計 | 最大2.0% | 最大1.5% |
参考元:PayPay STEP
参考元:PayPay公式サイト
【メリット】限度額にはある程度余裕がある
前述の通り、PayPayあと払いは本人確認済み会員の場合、24時間以内に利用できるのは50万円まで、過去30日間に利用できるのは200万円まで。本人確認が完了していれば最大200万円まで利用できるので、たいていの買い物や支出に対応できるでしょう。
【メリット】クレジットカードの代わりとして使いやすい
チャージ不要のPayPayあと払いは、実質的にクレジットカードのように利用できる決済方法です。支払い方法は一括払いかリボ払いが選べます。また、PayPayカードはバーチャルカードも発行できます。
PayPayあと払いとPayPayカードは何が違うの?
これまで何度か触れてきたように、「PayPayあと払い」と「PayPayカードでの支払い」は同じ意味です。そのため、8月からは「PayPayあと払い」のミニアプリの名称は「PayPayカード」となります。
一方「PayPayカード」は、クレジットカード加盟店で利用できるクレジットカードです。

PayPayカードは、ヤフーカードを進化させたクレジットカードで、年会費が永年無料です。PayPayカードは、券面にカード番号などの記載がない「カード番号レスカード」なので、セキュリティ面も安心。また、基本還元率は1%となっており、100円で1ポイントのPayPayポイントが付与されます(画像はPayPay公式サイトより引用)
PayPayあと払いは審査なしで使える?申込み基準
PayPayあと払いの申し込み基準などについて解説します。
PayPayあと払いの申込基準
PayPayあと払いを申し込むには、18歳以上(高校生除く)で、利用規約に同意し、本人確認など所定の申込手続きを行う必要があります。ちなみに筆者が確認した限り、2023年6月現在、PayPayあと払いを新規に利用するにはPayPayカードの申込みが必須です。直接の銀行口座からの引き落としには非対応になったものと見られます。
PayPayあと払いに審査落ちする人の特徴は?
審査落ちする原因として、金融事故や収入不安、申請ミスなどが挙げられます。審査に落ちて再審査を希望する場合は、信用情報機関に6カ月間申し込み情報が保管されるため、6カ月過ぎてから再審査を行った方がいいでしょう。
PayPayあと払いの申込みと使い方の流れ
PayPayあと払いの申込み方法と、利用方法の流れについて解説します。
申込みに必要な書類
運転免許証、支払い口座情報、勤務先情報を用意する必要があります。運転免許証を持っていなくても申し込み可能です。指定できる支払い口座は、全国約550行の金融機関が対応しています。利用したい金融機関が対応しているかは、PayPayカード公式サイト「利用可能な金融機関」から確認できます。
PayPayあと払いの申し込みの流れ
PayPayあと払いはPayPayアプリから申し込むことができます。

【1】スマホからPayPayアプリを開き、ホーム画面のサービス一覧から「あと払い」をタップすると、PayPayあと払いのチュートリアル画面が表示されます。【2】チュートリアル画面を「次へ」をタップして進むと、情報事項の提供についての同意が求められるので、「上記に同意して続ける」をタップすると、申し込み画面へ移ります。PayPayカードを持っている場合は、PayPayカードの情報を入力します。カードの紐づけが済んでいる場合、内容を確認し「あと払いの利用を開始する」を押すだけで完了です。 PayPayカードを持っていない場合は、氏名・生年月日、連絡先・職業、運転免許証を持っている場合はその情報を入力し、プラスチック製のカードの有無を選択、利用する口座を登録して完了です
PayPayあと払いについてよくある質問
PayPayあと払いについてよくある疑問と答えをご紹介します。
PayPayあと払いの利用には年会費や手数料はかかる?
PayPayあと払いの年会費は無料。翌月27日の一回払いの場合、手数料も無料になります。ただし、お支払いが遅れたり、リボ払いを選択したりすると、遅延損害金やリボ払い手数料が発生します。
PayPayあと払いが利用できる店舗はどこ?
PayPayあと払いは、PayPay加盟店の実店舗で利用できます。オンラインでは、Yahoo!ショッピング、PayPayモールのほか、マクドナルドモバイルオーダーや出前館、スシローお持ち帰りネット注文、さとふるなど一部のサービスで対応しています。
PayPayあと払いの利用明細の確認方法は?
PayPayあと払いの利用明細は、PayPayアプリホーム画面の「すべて」をタップし、「取引履歴」をタップ、さらに「PayPayカード・あと払い」をタップすると確認できます。
PayPayあと払いの解約方法は?
PayPayあと払いを解約する場合は、PayPayカード株式会社へ問い合わせする必要があります。
まとめ
「PayPayあと払い」は、今後名称が「PayPayカード」または「クレジット」に変更されることから分かるように、実質クレジットカードを使った決済方法。チャージ不要で利用できるのは便利ですが、一方で翌月一括払い以外の支払方法だと手数料の負担が大きくなるのがデメリット。
特に「これだけスキップリボ」「まるごとフラットリボ」は実質年率18.0%もの利息がかかるため要注意です。PayPayあと払いは、支払い方法に注意して利用しましょう。