意外と知らない「ATOK」が日本語入力のIMEで人気を維持し続ける理由

日本語入力のIMEとして「ATOK」を使用している方は、この記事をお読みの方の中にも多いでしょう。ATOKを、たとえば日本語ワープロソフト「一太郎」を通じて長らく愛用している方もいるでしょう。

日本語ワープロソフト「一太郎」と「ATOK」の関係性1

(画像は「ジャストシステム」公式サイトより引用)

もっともMicrosoft 日本語 IMEやGoogle日本語入力などのIMEを使用している方にとっては「ATOKが支持されている理由」は分かりづらい側面もあるのでは? むしろ「一太郎の機能の1つということは、古臭い機能なのでは」とネガティブなイメージを持つ方すらいるかもしれません。

実際にはATOKは「一太郎で使える機能」にとどまらず、たとえばiPhoneやAndroidでも使用可能。今回は「ATOKが支持され続けている理由」を解説します。

「ATOK」とは

ATOKは、ジャストシステムが手がける日本語入力システム(IME)。

「ATOK」とは1

(画像は「ATOK」公式サイトより引用)

文脈を解析し、自然な日本語に変換する能力が高く予測変換機能も優秀。ユーザーのタイピング履歴を学習して精度を向上させる機能も備えています。そして「ジャストシステム」といえば、日本語ワープロソフト「一太郎」を思い浮かべる人も少なくないでしょう。冒頭でも述べた通り、ATOKは「一太郎」搭載のIMEとしても有名で、言わば一太郎の「脳」に相当します。

そして一太郎といえば、「90年代~00年代にMicrosoft Wordとのシェア争いに敗れたソフトウェア」という一面があります。

90年代~00年代に「一太郎」が陥った苦境1

(画像は「Amazon」公式サイトより引用)

Microsoft Wordの台頭により、一太郎は90年代後半から市場シェアを大きく落とすことに。2000年代に入ると、Wordを含む「Office」が標準装備されているパソコンの販売も当たり前になり、「一太郎」のシェアはさらに大きく落ち込むことに。ワープロソフトとしての存在感は薄れていきました。

一方、一太郎が全盛期のようなシェアを取り戻すことができずにいる中でも、堅調な支持を獲得したのが「単体のIMEとしての、ATOK」です。

単体のIMEとしての「ATOK」

「ATOK」は単体のIMEとしても販売されており、たとえばiPhoneやAndroidなどのスマホでも利用可能。一太郎の苦境の中でも多くのユーザーから支持され続けました。

単体のIMEとしての「ATOK」1

(画像は「ATOK」公式サイトより引用)

単体のIMEとしてのATOKの活用は、様々な形で進んでいます。たとえば、キングジムのデジタルメモ「ポメラ」にはポメラ専用に最適化されたATOKが搭載されています。つまり、ポメラを購入すれば端末を一種のスタンドアロンのATOKとして楽しむことができるでしょう。

単体のIMEとしての「ATOK」2

「ATOK」が日本語入力のIMEで人気を維持し続ける理由

ATOKが日本語入力のIMEとして支持が根強い理由には、公用文ルールに適応した変換精度や充実した辞書、使えば使うほどさらに変換精度が上昇していく機能などが挙げられます。

法律家の方からの支持が熱い

まずは「一太郎」及び「ATOK」に共通する特徴として、法律家の方からの支持の大きさがあります。たとえば司法書士、行政書士など正確さが求められる文書作成の機会が多く、なおかつ文書作成ごとに新旧対照表を作る機会が多い方は「一太郎」及び「ATOK」を使うケースが少なくありません。

法曹界からの支持が熱い1

(画像は「ジャストシステム」公式サイトより引用)

たとえば2022年に公用文のルール変更があり、読点が「,(コンマ)」から「、」になりましたが、ATOKはこれに対応。ついクセで「,(コンマ)」を使ってしまっても、「、」に訂正してくれます。

またATOKは「ATOK専門用語変換辞書シリーズ」が搭載されており、信頼性が高い辞書・辞典と連携しながら「入力しながら言葉の意味を調べる」「正確な変換」なども可能。専門用語を多く用いる文書作成でも、校正が効率的にできます。

こうしたATOKの特徴と、一太郎の新旧対照表作成機能や「シート」機能の相性も良く、一太郎はATOKを最も活かせるワープロソフトの1つであることは間違いないでしょう。

使い込むほどに変換精度が向上する

加えてATOKの大きな特徴には、使えば使うほど変換精度が向上することも挙げられます。ATOKはユーザーの入力傾向を学習し、よく使う言葉や表現を優先的に表示するようになります。

なおATOKには「パソコン上で開いている他のウィンドウの内容を参照して予測変換を行う」機能もあります。たとえば、ブラウザで特定の記事を閲覧しながら文書を作成している場合、その記事の内容に関連する単語や表現が変換候補として表示されるため、効率的な文書作成が可能になります。

「記者ハンドブック」などに準拠した変換も可能

「記者ハンドブック」などに準拠した変換も可能1

(画像は「ジャストシステム」公式サイトより引用)

前述の通り、ATOKは辞書・辞典との連携が可能です。その中でも便利な辞書の1つが「共同通信社 記者ハンドブック」。報道機関や企業の広報部門など、特定の文体や表記ルールを厳密に守る必要がある場面で用いられることが多いのが「記者ハンドブック」ですが、このハンドブックに準じた変換や表記チェックを徹底するのは非常に手間がかかる作業です。その点、ATOKを用いることで校正が非常に簡単になります。

「記者ハンドブック」に代表される、自分のニーズにマッチする辞書があるならば「ATOK」と連携して使うのは極めておすすめです。

ATOK Passportの利用方法

ATOK Passportの利用方法1

(画像は「ATOK」公式サイトより引用)

ATOKは従来は買い切りで提供されていましたが、すでにサブスクリプションサービスに移行済み。ATOK Passportは、ATOKの最新版を複数のデバイスで利用できるサブスクリプションサービスです。Windows、macOS、Android、iOSの4つのOSに対応しています。

利用するには、ATOK公式サイトからATOK Passportに登録し、必要なソフトウェアをダウンロードしてインストールします。月額プランは7,200円(年額)。月額プランは600円(月額)で利用可能です。

実は「一太郎」もまだまだ進化中

ATOK Passportの利用方法1

(画像は「ジャストシステム」公式サイトより引用)

ATOKの進化と並行して、その母体である「一太郎」も進化を続けています。脳である「ATOK」が持つ高度な校正機能が一太郎側にも備わっているのももちろん、加えて新旧対照表の作成や、一太郎の「アウトプットナビ」を通じたデータ変換機能などが充実。1つの文書データから、『原稿用紙』『noteなど投稿サイト用の原稿』『印刷用データ』を生成することなどが可能です。

単体としてのATOKを使い続けている方でも、「一太郎」は近年利用していないという方は、ATOKを最も楽しめるワープロソフトとして改めて「一太郎」を使ってみるのも十分におすすめです。

オトナライフ編集部
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