新型コロナウイルス感染症の影響で、就職活動におけるオンライン試験が急速に進むようになりましたが、中には不正をする人も出てきているようです。今回は、オンライン就職活動経験者への実態調査の結果を見ていきましょう。
全体の45.5%が「何らかのカンニングをした」と回答
オンライン試験は、双方が会場に足を運ぶ必要がなく便利な形式ではあるものの、過去には替え玉受験代行業者による不正が発覚し逮捕者が出るなど、不正行為が問題視されています。
株式会社サーティファイでは、詳細な不正行為の実態を把握すべく、2024年卒業生から2026年卒業予定のオンライン就職活動経験者591名を対象に、オンラインによる就職活動についての実態調査を実施しました。
最初に、「オンライン試験で何らかのカンニングを実行したことがあるか」と尋ねたところ、591名中269名の45.5%が「何らかのカンニングをした」と回答していることがわかりました。半数近くの人がカンニングをした経験があるというのは驚きの結果です。
ネット上での情報検索や生成AIの使用が不正行為の大半を占める
カンニングの内容を尋ねたところ、「カンニング行為を実行したことはない」を除く1位は「スマートフォンで検索や参考資料を見た」の104名(17.6%)、2位は「パソコンやタブレットで生成AIを使用した」の68名(11.5%)、3位は「パソコンで検索や参考資料を見た」の65名(11.0%)、4位は「用意した資料や書籍を見た」の55名(9.3%)、5位は「スマートフォンで生成AIを使用した」の46名(7.8%)などという結果に。
問題となった、「替え玉受験」と言われる「有償の受験代行サービスの利用」をした人は16名(2.7%)と少なく、資料の確認や生成AIの利用が不正行為のほとんどを占めています。ネット上で情報を得やすくなったことや、生成AIが普及したことなどにより、手軽に不正ができる環境であることがわかります。
カンニングを行った企業から内定を獲得した人はカンニング経験者の約6割
では、実際の結果にはどのように反映されているのでしょうか。カンニングを実行したと回答した269名を対象に、「オンライン試験でカンニングを行った企業から内定を得たことはありますか?」と質問。すると168名(62.5%)が「内定を得たことがある」、101名(37.5%)が「内定を得たことはない」と回答しました。
オンライン就職活動者全体の591名で見てみると、カンニングを行った企業から内定を獲得した人は28.4%にのぼり、企業が不正を見抜けていない様子が伺えます。
2024年卒の43%がカンニングを実行した企業から内定を獲得している
これを卒業年度別に見ていくと、2024年卒のカンニング実行者については8割以上が内定を獲得していることが判明。これは、2024年卒全体(179名)のうち43%にあたります。2025年、2026年卒業予定者の中にもすでにカンニングを実行して内定を獲得した人がおり、今後も増えていくことが予想されます。
これらの結果から、オンライン試験によって不正を行うことが採用プロセスに有利に働く傾向があることがわかりました。不正を行った受験者が入社することで、その企業は不利益を被る可能性もあるかもしれません。公平な採用活動を行うために、オンライン試験を実施する企業はこの問題としっかり向き合って、改善していく必要がありそうです。
出典元:【株式会社サーティファイ】
※サムネイル画像(Image:Tada Images / Shutterstock.com)