ビジネス用チャットツールの「Slack」で3月24日、外部のユーザーともダイレクトメッセージのやり取りができる新機能「Slack コネクト」がリリースされた。日本国内でも導入する企業が多く人気のSlackがより便利に進化したはずが、一部のユーザーから問題点が指摘され修正する事態となってしまった。
メールよりも効率的にやり取りができるチャットツールは、今後ますますユーザーが増え進化していくと考えられるが、今、利用する側だけでなく提供する側にもそのモラルが問われている。
Slack コネクトとは? 批判が相次いだワケ
テレワークの推進でますます需要が増加したビジネス用チャットツール。より手軽に効率的にコミュニケーションを図ることができるため、業務効率化や生産性の向上につながると近年、注目が高まっている。なかでも米企業が提供するSlackは世界中で1000万人以上のユーザーに利用されている。
そのSlackが3月24日、新機能「Slack コネクト」をリリースした。これは外部ユーザーのメールアドレス宛に招待メールを送付し、相手側がそれを受け入れれば、ダイレクトメールの送受信が可能になる、というもの。この機能を利用するには、企業のシステム管理者がこの機能の利用をオンにする必要があり、受信者はオフ設定にすることができない。
社外パートナーや顧客らと頻繁にやり取りする人にとっては、連携を強化できる便利な機能だろう。だが、この機能がリリースされた直後、一部のユーザーから批判の声が上がった。管理者がこの機能をオンにしていた場合、個別でオフにすることができないので、嫌がらせなど不適切なメッセージが届く可能性もあり、いじめやハラスメントを助長するのでは、という声だ。
これを受けてSlackは招待メールのメッセージの自由入力をやめ、定型文のみが送付されるようにすでに仕様を変更したようだ。
チャットツールでのルール・モラル、あなたは大丈夫?
働き方が大きく変わった今、オンラインハラスメントなど新たな問題も浮上している。在宅勤務中での部屋や服装などプライベートに関する干渉や、上司による過度な監視などさまざまな事例が報告されている。オフィスのように周囲の目がないことから起こりやすく、エスカレートしてしまいがちだ。
ビジネス用チャットツールも急速に広まっているなかで、正しく運用できずに大きな問題へと発展してしまうことがある。コミュニケーションがより手軽になったために、ムダなコミュニケーションが増えたり、休日や業務時間外にもやり取りするようになってしまったり。セクハラやパワハラはもちろんだが、ユーザー一人ひとりの相手への配慮が今まで以上に必要となってきている。
さらに今回のSlackの問題でも見えるように、今後はツールを提供する側もよりモラルに配慮したシステムの開発が求められてくることだろう。企業が導入するツールを選ぶ際には、利便性やセキュリティ面とともに重要な問題になるかもしれない。
参照元:Slack コネクトが登場!ビジネスコミュニケーションの未来がここに【Slack 】
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