終身雇用が当たり前ではなくなった昨今、転職を考える人は増加傾向にある。厚生労働省が発表する「労働経済の分析」によれば、2010年から転職者数は年々右肩上がりに増え続けており、2020年はコロナ禍による雇用情勢の悪化により減少しているものの、2019年には過去最多の351万人にのぼっている。
では、どのような理由で転職する人が多いのだろうか。特に短期間で仕事を辞めてしまう理由について人材情報サービス会社が実施した、ある興味深いアンケートを紹介したい。
勤務開始日当日に退職、なんて人も。その理由は?
総合求人サイト「イーアイデム」を運営する株式会社アイデムは2021年7月にインターネット上で仕事探しに関する調査を実施した。対象となったのは、仕事を探している全国の男女408名。その調査のうちここで紹介するのは「今までで最も早く辞めてしまった職場の退職理由とその期間」についてのアンケートだ。
まず今まで最も早く辞めてしまった職場での勤続期間について。最も多かったのは、「1年以上」で29.2%、次いで「1カ月以上3カ月未満」が15.4%。「1週間以上カ月未満」は12.5%だった。なかには「1週間未満」という人も8.3%の割合でいて、「勤務開始当日」という人も2.2%という結果だった。
次に退職理由について、最も多かった理由のうち、上位4つを紹介する。4位は「仕事と賃金が見合わなかった」で18.2%。3位は「体力的に厳しいと感じた」で19.1%。2位は「事前に受けた説明と実際の仕事内容が異なった」で20.8%だった。賃金や仕事内容に関して、実際に勤務して事前の想定と違うことから転職を決めた人が多いことが分かった。
では、賃金でも仕事内容でもない、最も多い転職理由は一体何だろうか?
今回の調査において「今まで最も早く辞めてしまった職場の退職理由」で最多となった理由は、「職場の人間関係に問題があった」で、30.5%の人がそう回答していた。
賃金や仕事内容について、何も知らずに就職を決める人はそういないだろう。事前に調べ、自分で納得できる条件や内容の職を選ぶ。だが、実際に自分が勤務することになる職場の人間関係まではなかなか事前に知ることは難しい。大きな企業になればなおさらだ。いくら仕事内容や賃金に納得していても、やはり働く上で最も大切となるのは職場での同僚や先輩、上司との人間関係が良好か、否かということなのだろう。
2020年からはテレワークが増え、どの企業も少なからず職場での人間関係にも変化があったことだろう。風通しがよく、例えリモートでもしっかりと連携が取れるような人間関係を築けていることが、従業員にとっても雇用主にとっても“安定”につながる大切なファクターとなっているようだ。職場環境が大きく変化しているなかで、コミュニケーションがきちんと取れる工夫が必要だ。
あなたの職場の人間関係はどうだろうか? 新入社員や転職者の早期離職につながらないよう、人間関係は良好に保っていたいものだ。
出典元:2021年7月 イーアイデム会員対象アンケート結果【アイデム人と仕事研究所】