インターンシップは、学生の将来にとって必須といってもいいほど重要な存在になっている。企業の採用を支援するワークス・ジャパンが産業経済新聞社と合同で、インターンシップ参加企業調査を実施し、その結果が2021年9月に発表された。2023年3月卒業見込みの大学3年生・大学院1年生3,602名が対象だが、この年度の学生たちは、コロナ禍のあおりをもろに受け、在宅中心の学生生活を余儀なくされていた学生たちである。
ロールプレイング型が人気!一方、若手社員の話や就活アドバイスは人気薄?
「参加してみたいと思うインターンシップのプログラムは?」という質問には、「実際の業務を疑似的に体験するロールプレイ型」、「与えられた課題に対しての問題解決に挑むグループディスカッション・グループワーク型」が約3割ずつと、人気を二分する形となった。一方で、若手社員の話が聞けることや、就職活動へのアドバイスは、インターンシップにおいては人気薄の結果に。これは企業説明会などの段階でならニーズがあるかもしれないが、インターンシップにおいてはやや“期待外れ”なプログラムになってしまうようだ。
このように、学生はインターンシップで、業界やその企業、仕事内容を実際に体験してみたい、実践的なプログラムを求めているといえるだろう。事前の自分の理想やリサーチとのズレがないかを確認し、その後の進路決定に役立てたいという志向がみてとれる。
また、コロナ禍でインターンシップもオンライン化が進んだが、開催形式について学生の希望としては「どちらかというと対面」が最多の37.5%、「絶対に対面」も16.7%と半数以上が対面形式での開催を希望している。ここにも企業の社風を実際に自分で確かめたいという希望が見える結果となった。
不況は、突然やってくる。今回のコロナ禍による大不況もそうだが、それまで盤石と思われていた業界が、一気にどん底状態になることも珍しくない。そこで「どんなときも安心・安定」な企業を志望する学生が支持されている。上記TOP10の表を見てもわかる通り、インターンシップについても同様の傾向がみられる。
また、業界に関わらず複数日程のインターンシップやワークショップを設けている企業は多く、そういった柔軟な参加や実践的な体験ができる企業に人気が集まっている。
インターンシップへの参加を希望する企業ランキングの文系総合1位のニトリは、数ある部署の中から6部署を体験できるプログラムや半日から4日間のプログラムなどさまざまな形式でインターンシップを開催。さらに一部コース以外はエントリーシート不要で、ニトリに対して「試しに行ってみようかな」という程度の興味の学生が、インターンシップに参加することで「ニトリいいかも!」と思うようになり、選考へ進む、なんてこともありそうだ。
理系総合ランキング1位のソニーグループは、なんと最長4週間の「職場密着インターン」、週1回のプログラムを複数週にわたって行う「IT×ビジネス創出インターン」など、インターンシップの既成概念を超えたプログラムを用意して学生の人気を集めている。
学生を受け入れる企業側も、突然大幅な改革を余儀なくされたコロナ禍でのインターンシップ。どうしてもオンラインで、という企業も多いが、そこで柔軟かつ学生と時代のニーズを見据えたプログラムを用意できるかどうかも、学生からは“品定め”されているのかもしれない。