携帯電話業界ではここ数年、“第4のキャリア”「楽天モバイル」の登場や大手キャリアの新プラン・MVNOの台頭など通信会社の選択肢が増え、大手3大キャリアからの格安スマホに乗り換えたという話題は珍しくなくなった。しかし、アイコム総研の調査で、いまだにユーザーの7割弱が「ドコモ」「au」「ソフトバンク」の3大キャリアを利用しているという結果が判明した。格安スマホの認知度がかなり広がっている今、なぜ、いまだに独占状態にあるのだろうか。
“老舗”ドコモが32.6%のシェア、続くauとソフトバンク。その理由は?
2022年8月、アイコム総研は男女1,200人に携帯電話の利用の動向などについて調査した。大手キャリアのドコモ・au・ソフトバンクを利用している人は全体の約7割。内訳は「ドコモ」32.4%、「au」16.8%、「ソフトバンク」15.2%と、auとソフトバンクの合計よりもドコモの方が高いシェアを誇り、ドコモの“一人勝ち”の状況は相変わらずだった。続いて4位は「楽天モバイル」が11.4%と迫り、「4大キャリア」と言われはじめたのも、うなずける結果となっている。
一方で、サブブランドの「UQモバイル」(6.0%)、「ワイモバイル」(4.7%)、新プランと呼ばれる「ahamo」や「povo」「LINEMO」の利用者は合計で6.1%と、楽天モバイルの“0円廃止”でシェアを急拡大させていたようだが、それでも3大キャリアには遠く及ばなかった。
また、メイン以外の複数キャリアを契約している人は1,200人の回答者のうち52人となり、シェアは4.3%となった。2022年7月に発生したKDDIの大規模な通信障害を皮切りに最近では通信障害の注目度も高まってきており、今後は“保険”として新プランやMVNOのデュアルSIMを入れるユーザーは増加する可能性もありそうだ。
「現在のキャリアを契約している理由」に対する回答でもっとも多かったのは「学生時代を含め、以前から契約し続けているため」で37%にのぼった。ついで「料金が安いため」(23%)、「家族と同じキャリアに合わせているため」(16%)となった。これらの理由を深読みすると、乗り換えが面倒、家族単位の割引から抜けると料金が高くなるのでは…という不安も垣間見える。
「今後、他社キャリアへ乗り換えを検討しているか」という調査には「検討していない」が全体の約65.7%と多数派だった。さらに「考えていなかった」(9.3%)も合計すると、75%と、4人に3人が積極的な乗り換えを検討していないということに。
これらの理由は、長年、利用していきたキャリアを手放すことへの抵抗感、キッズケータイをはじめ家族で同じキャリアを利用している場合は、手続きがさらに煩雑になる、などといったところだろうか。格安SIMは時間帯によってはつながりにくいなど、通信状況への不安もよく耳にする。大手キャリアの輪から抜け出すのはなかなかハードルが高いようだ。
一方、キャリア側では今後は若年層に向けたキャンペーンを積極的に行って、若年層の乗り換えを期待する傾向も。格安SIMメディア「ロケホン」が調査したデータによると、格安SIMを利用したことのあるユーザーの年代別割合は「20代以下」が22%、「30代」が40%と、30代以下が6割超。3大キャリア以外は乗り換えメインターゲットの30代以下をどう取り込んでいくかがカギとなりそうだ。
出典元:携帯電話利用者の7割弱が大手3大キャリアを利用。サブブランドやMVNOへの流動依然低い傾向に【D-Portfolio】