最近、格安SIMでも物理SIMカードを利用せずにスマホが使える「eSIM」サービスが増えてきました。eSIMを使うとキャリアの乗り換えがスムーズになるほか、ひとつのスマホで異なる回線を同時に利用できるデュアルSIM運用もしやすいので、興味のある人も多いでしょう。そこで今回は、2022年9月時点で格安SIMが提供する「eSIM」サービスについて解説します。
そもそも「eSIM」って何? どんなことができるの?
スマホで電話をかけたりネットに接続するには「SIMカード」が必要になりますが、最近は物理SIMカードを使わない「eSIM」に対応する格安SIMも増えています。
eSIMとはスマホ本体に内蔵されたSIM機能を持つチップのことです。eSIMはキャリアの契約情報を書き換えることができますので、キャリアを乗り換えるときも、SIMカードが到着するのを待たずに、自宅にいながら簡単に手続きできるのが大きなメリットです。
たとえば、ドコモとauなど異なる2つの回線をひとつのスマホで同時に利用できる「デュアルSIM運用」も、eSIM対応スマホなら簡単にできるので、万一、大規模通信障害が起きても安心ですね。
もし、eSIMについてさらに詳しく知りたい人は、こちらの記事を参考にしてください。
IIJmioはドコモ回線のデータ専用プランをeSIMで利用可能
IIJmio(アイアイジェイミオ)は、格安SIMのなかでいち早くeSIMに対応しました。対応プランは「ギガプラン」と「データプラン ゼロ(eSIM)」が利用できます。
ただし、eSIMはドコモ回線のデータ専用SIMとなっています。音声通話には対応しない点はご注意ください。
まず、「ギガプラン」のeSIMを紹介しましょう。こちらは月2GBで月額440円から利用でき、最大で月20GB(月額1,650円)まで用意されています。
●IIJmio「ギガプラン」→こちら
■ギガプラン(eSIM)の料金
プラン(容量) | 月額料金 |
2GB | 440円 |
4GB | 660円 |
8GB | 1,100円 |
15GB | 1,430円 |
20GB | 1,650円 |
ドコモ回線のデータ通信専用になるが、月2GBが月額440円で利用できるのはかなりリーズナブル(表はIIJmio公式サイトを元に筆者が作成)
次に、「データプラン ゼロ(eSIM)」を紹介しましょう。こちらは月額165円(0GB)で契約でき、高速データ通信を行うには追加データ(バンドルクーポン)を契約するシステムになっています。
バンドルクーポンは1GBが330円、以降2GB~10GBまでは1GBにつき495円で追加できます。つまり、月1GBの場合は基本料165円+1GBデータクーポン330円=495円で利用できます。
●IIJmio「データプラン ゼロ(eSIM)」→こちら
■データプラン ゼロ(eSIM)の料金プラン
プラン詳細 | 料金 |
月額基本料 | 165円 |
追加データ(1GB) | 330円 |
追加データ(2~10GB) | 495円 ※ |
※1GBあたりの料金
データプラン ゼロ(eSIM)は月額165円で契約できる。高速データ通信の追加は1GBが330円、以降2GB~10GBまでは1GBにつき495円で追加できる(表はIIJmio公式サイトを元に筆者が作成)
データプラン ゼロ(eSIM)は、たった165円でドコモ回線を維持できますが、データ通信量を追加すると料金はやや割高になります。定期的にネットに接続するならギガプランのほうがいいでしょう。
IIJmioの「データプラン ゼロ(eSIM)」については、こちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
mineo(マイネオ)のeSIMは、月定額で利用できる「マイピタ」と、速度を抑えながら使い放題になる「マイそく」の2つのプランが利用できます。
現状ではau回線を利用する「Aプラン」のみが契約可能で、2023年1月にはドコモ回線のDプランにも対応する予定ですが、ソフトバンク回線のSプランに関しては対応時期が未定となっています。
また、どのプランも「音声通話+データ通信」「データ通信+SMS」「データ通信のみ」のいずれでもeSIMで契約できるようになっているのが特徴です。
●mineo「eSIM」→こちら
まず、「マイピタ」の料金を紹介しましょう。月1GBで月額1,298円から利用でき、最大月20GB(月額2,178円)まで用意されています。他社よりは料金がやや高めですが、音声通話対応SIMでも契約可能となっているのがうれしいポイントですね。
■マイピタの料金
プラン(容量) | 月額料金(音声通話) | 月額料金(データ通信のみ) |
1GB | 1,298円 | 880円 |
5GB | 1,518円 | 1,265円 |
10GB | 1,958円 | 1,705円 |
20GB | 2,178円 | 1,925円 |
「マイピタ」は、1GB~20GBまでの4プランがあり、音声通話付きプランやデータ通信のみプランでもeSIMが契約できる(表はmineo公式サイトを元に筆者が作成)
mineoでは速度を低速に抑えることで使い放題になる「マイそく」プランも用意されています。プランは最大1.5Mbpsの「スタンダード」、最大3Mbpsの「プレミアム」、300Kbpsの「ライト」の3プランが選択できます。
ただし、月~金曜の12時台は最大32Kbosに制限されるほか、3日間で10GB以上利用すると速度制限される点には注意が必要です。この制約さえ納得できるなら、かなり安く利用できますね。
■マイそくの料金
プラン | 最大速度 | 月額料金 |
スタンダード | 1.5Mbps | 990円 |
プレミアム | 3Mbps | 2,200円 |
ライト | 300Kbps | 660円 |
※ 月曜~金曜の12時台は最大32kbpsに制限される
※ 混雑回避のため3日間で10GB以上で速度制限される
※ 24時間使い放題は330円/回
※音声通話、データ通信のみ、いずれも同料金
使い放題のマイそくは最大1.5Mbpsの「スタンダード」、最大3Mbpsの「プレミアム」、300Kbpsの「ライト」の3プランがある。ただし、利用制限がある点には注意したい(表はmineo公式サイトを元に筆者が作成)
ちなみに、300KbpsでもWebサイトの閲覧は可能ですが、少しストレスが溜るかもしれません。実用的なのはやはり1.5Gbps以上のプランでしょう。
なお、mineoのeSIMに関しては、こちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
日本通信は月額290円からeSIMを利用できる
日本通信では、ドコモ回線を利用した音声通話付きのプラン「合理的シンプル290プラン」「合理的みんなのプラン」「合理的20GBプラン」「合理的かけほプラン」でeSIMが利用可能です。
●日本通信「料金・プラン」→こちら
日本通信の「合理的シンプル290プラン」は格安SIMのなかでもトップクラスの低料金を実現しています。こちらの記事で具体的な加入方法などを紹介していますので、興味のある人は参考にしてください。
■合理的プランの料金
プラン(容量) | 月額料金(音声通話) | 無料通話 |
シンプル290プラン(1GB~100GB) | 290円(1GB追加ごとに220円を加算) | なし |
かけほプラン(3GB) | 2,728円 | かけほーだい |
みんなのプラン(6GB) | 1,390円 | 70分/月 |
20GBプラン(20GB) | 2,178円 | 70分/月 |
日本通信のeSIMが利用できるのは4つの音声通話対応プラン。データ容量だけでなく無料通話分に違いがあるので注意しよう(画像は日本通信公式サイトより転載)
日本通信ではeSIM対応機種に注意が必要です。日本通信の公式サイトによると、iPhoneは13/12/11/XS/XRやiPhone SE(第2・3世代)に対応します。
また、AndroidスマホはEIDの先頭8桁が「89049032」「89033023」「89033024」「89043051」「89043052」などが対応しますが、eSIMの管理上ドコモ回線のeSIMとの併用はできないので注意しましょう。
●日本通信SIM「eSIMらくらく設定ガイト」→こちら
HIS Mobile(エイチアイエス・モバイル)は、旅行代理店のH.I.Sグループが提供する格安SIM。ドコモ回線を利用した音声通話付きプラン「自由自在プラン」で、eSIMを利用できます。
●HIS Mobile「eSIMカンタン設定ガイド」→こちら
自由自在290プランは月1GBで月額550円ですが、データ通信容量が100MBの場合は290円になるユニークなプラン。ほかにも自由自在プランには3~50GBまでのプランが用意されており、料金は格安SIMのなかでもかなり安い水準です。
●HIS Mobile「格安SIM・SIMカード一覧」→こちら
■自由自在プランの料金
プラン(容量) | 月額料金(音声通話) |
1GB | 550円(100MB未満の月は290円) |
3GB | 770円 |
7GB | 990円 |
20GB | 2、190円 |
50GB | 5,990円 |
自由自在プランには1GB~50GBまで5種類のプランがあるが、月3GBで月額770円、月7GBで月額990円のプランは格安SIMのなかでもかなり安い水準だ(表はHIS mobile公式サイトを元に筆者が作成)
なお、HIS Mobileでは、iPhoneなら13/12/11/XS/XR/SE(第2世代・第3世代)で利用できますが、AndroidスマホのデュアルSIM運用に関しては、HIS Mobile側で動作確認を行っていないため、自己責任になる点は注意しましょう。
まとめ
いかがでしょうか? Androidスマホもここ2~3年で発売された機種であれば、eSIMに対応している機種も多いですし、iPhoneは2018年9月発売のXR以降の機種はすべてeSIMに対応しています。
もし、対応スマホを持っているなら、デュアルSIM運用にチャレンジしたり、次回のキャリアの乗り換えではeSIMを利用してみてもいいでしょう。
ただし、iPhoneではSIMカードのネット接続(アクセスポイント設定)に必要な「APN構成プロファイル」はひとつしかインストールできません。
そのため、APN構成プロファイルが必要になる格安SIM同士でのデュアルSIM運用はできませんので注意してください。