日本全国を対象とした観光需要喚起策である「全国旅行支援」について、利用可能期間の延長が発表された。元々は2022年12月27日までの予定だったが、2023年1月10日以降も利用可能になった。しかし、クーポン利用は基本的に電子媒体のみとなっており、スマホを使いこなせないシニア世代が全国旅行支援の恩恵を受けられない可能性も。そこで、株式会社ゆこゆこは「シニアの旅行意欲とスマホ利用実態」に関する調査を実施。60歳以上の会員を対象とした調査結果をまとめた。
シニア層の大多数が旅行への意欲があると回答
まず「2021~2022年の期間で旅行に行ったか」という質問では、「旅行へ行った」と回答したのは2021年が81.7%、2022年は91.1%。そして、2023年に「旅行へ行きたい」と回答した人は98.5%と、シニア世代の旅行意欲が高まっているのがわかる。コロナ禍で窮屈さを感じていたからこそ、その反動で旅行へ行きたいと考えているのは、若者だけでなくシニア世代も同様のようだ。
「あなたは現在、外出することに対して抵抗がありますか」という質問に対しては、35.8%の方は「ある」と答えた。高齢の方は感染すると重症化するケースも多いため、外出に慎重になっている方も少なくない。一方で「ない」と回答した人は51.3%おり、気分転換したい方や、元気なうちに観光地を巡りたいという方も多く、感染対策をしっかりと講じてさえいれば問題ないと考えている人も多いようだ。
シニアのスマホ所持率は93.3%、一方で2割以上の人がオンライン予約に苦戦
シニア世代のスマホ利用について調査では、スマホを所持しているシニア世代は93.3%に上る。そのなかでも、スマホを使用して「宿のオンライン予約ができる」シニア世代は、全体の78.9%という結果となった。年代別に見ると60代が85.2%だが、70代以上だと71.1%と約14%の差が生じている。スマホによるオンライン予約について「予約確定の返信が遅いと、きちんとできているか不安になる」「電話のほうが安心」というような不安の声が寄せられた。
また「スマホで宿の決済ができる」と回答した方は、60代が68.0%、70代以上だと52.7%と、半数ほどの方しかスマホによる決済を使いこなせていないようだ。スマホによる決済ではクレジットカードの登録や預金口座の紐づけが必要になることも多く、登録の複雑さから、スマホによる決済を断念する人も多いのではないだろうか。
シニア世代の旅行意欲は高まっているが、オンラインによる予約や決済の普及は、シニア世代にとって一つのハードルとなっているようだ。予約や決済以外でも、旅行先の情報がインターネット上にしか掲載されていないケースも多く、スマホをうまく扱えない方は、シニア世代にとって重要となる施設のバリアフリーや、エレベーターの有無などの情報を得られない可能性もある。
観光業界のDX化により利便性は向上したといえるが、その一方で、DXの活用が難しい世代にどのように寄り添っていくかということが、求められているのかもしれない。