auとソフトバンクで使える「副回線サービス」って何!? – 格安SIMのほうが安い?

2023年3月29日、KDDIは大規模通信障害や大災害に備えて、ソフトバンクの回線を利用できる「副回線サービス」を開始しました。月額料金は429円ですが、いったいどのようなサービスなのでしょうか? また、異なるキャリア2回線をデュアルSIM運用するのなら、もっと安い格安SIMを使う方法もあります。そこで今回は、「副回線サービス」について本当に便利なのか? 料金は高くないのか? といった観点から詳しく解説しましょう。

KDDIとソフトバンクの「副回線サービス」ってどんなもの?

最近、大手キャリアによる大規模通信障害や大災害時に電話やネットが使えないことが社会問題になっています。

その解決策として、KDDIは「au」と「UQ mobile」ユーザーが、ソフトバンクの回線を利用できる「副回線サービス」を、2023年3月29日から開始しました。

副回線サービスの料金は最大300kbpsのデータ通信(月500MBまで)で月額429円。国内通話料は22円/30秒となり、平日でも利用可能となります。

副回線サービスは、auやUQ mobileから簡単にオプションとして申し込めるので、わざわざ他社で申し込む手間がいらないのが特長。

これなら、万一、au回線がつながらないときでも、ソフトバンク回線で家族や友だちと連絡が取れるというわけです。

●au「副回線サービス(お申し込みのお客さま)」は→こちら

23年3月29日から始まったKDDI(au/UQ mobile)の副回線サービス。月額429円でソフトバンクの音声通話回線も利用できます(画像はau公式サイトより転載)

KDDIの副回線サービスに申し込むと、ソフトバンクのSIMカード(eSIMも可)が発行され、今使っているものとは別の電話番号が付与されますので、少なくとも副回線サービスを利用するには、スマホが「デュアルSIM(eSIM含む)」に対応している必要があります。

なお、ソフトバンクも2023年4月12日からau回線の副回線サービスを開始する予定です。こちらもau同様料金は月額429円で、音声通話と最大300kbpsのデータ通信(月500MBまで)が利用可能となっています。

対象料金プランは「基本プラン(音声)」「通話基本プラン」「通話定額基本料」「通話定額ライト基本料」「ホワイトプラン」「タイプX」「タイプXにねん」「標準プラン」で、副回線は「eSIM」のみが対象。物理SIMカードには対応しないのでご注意ください。

ちなみに、ソフトバンクは法人契約も対象で料金は月額550円。データ通信速度は最大1Mbps(月1GBまで)までとなっています。

●ソフトバンク「副回線サービス」は→こちら

ソフトバンクはau回線との副回線サービスを23年4月12日から開始する予定。こちらはeSIMのみの提供になるので注意しましょう(画像はソフトバンク公式サイトより転載)

副回線サービスは本当に便利でお得なのか?

KDDIとソフトバンクの副回線サービスは、災害時以外でもいつでも利用可能ですが、その内容を確認すると、実は月額429円という金額はそれほど安くないのでは? と感じた人もいるのではないでしょうか?

今回紹介した副回線サービスのデータ通信の最大速度は300Kbpsと低速で、月500MBまでしか利用できません。この速度と容量では、メールやSMSをやったりQRコード決済などをおこなうのが精一杯で、Webサイトの閲覧はかなり厳しいでしょう。

しかも、通話料金は22円/30秒なので、もし1時間電話すると2,640円もかかってしまいますし、いつもと違う電話番号になりますので、相手が電話に出てくれない可能性もあります。

そこで注目してほしいのが格安SIMです。まず、オススメしたいのがKDDIの格安プラン「povo2.0」でしょう。povo2.0は基本料無料で利用でき、必要に応じてトッピングを追加する方式です。

半年に1度だけ数百円のトッピングを購入しないと利用停止になってしまいますが、それでも年間440円でau回線をキープできてしまいます。ドコモ回線のスマホを利用しているならオススメです。

●povo2.0(公式)サイトは→こちら

povo2.0は基本料0円でau回線を維持できます。もちろん、トッピングを購入しないと128Kbpsですが、電話番号は付与されます(通話料は22円/30秒)。半年に1回220円のトッピングを購入すればいいので、年間440円でau回線が維持できるのです(画像はpovo2.0公式サイトより転載)

次にオススメしたいのが、日本通信の「合理的シンプル290プラン」です。これはドコモ回線の高速回線が利用でき、月1GBまでなら月額290円という激安プランとなっています。

データ通信量は1GBを超えると1GBあたり220円が加算される従量制となっており、上限は100GBまで初期設定では10GBまでとなっています。自分で上限を変更することも可能です。

また、通話料は11円/30秒と通常の半額で利用できるようになっています。KDDIとソフトバンクの副回線に比べれば毎月200円も安くて高速回線が利用できるのですから、かなりお得ですよね。auやソフトバンク回線のスマホを使っている人にオススメです。

●日本通信「合理的シンプル290プラン」は→こちら

メイン回線として使うこともできる日本通信「合理的シンプル290プラン」。安すぎて不安になる人もいるでしょうが、筆者の妻も利用しており、ドコモ回線なのでまったく問題なく利用できています(画像は日本通信公式サイトを加工して転載)

最後にオススメする格安SIMは、オプテージが提供する「mineo(マイネオ)」です。mineoではドコモ、au、ソフトバンクのトリプルキャリアに対応しており、自分の好きなものを選んで利用できるようになっています。

なかでも、とくに注目したいのが「マイそく スーパーライト」プランです。このプランはデータ通信速度が最大32Kbpsと超低速でWebサイトはほぼ見られませんが、月額250円で音声回線を維持できるのが特長です。

●mineo「マイそく」は→こちら

mineoの「マイそくスーパーライト」は月額250円で音声回線を選択できます。ただし、データ通信速度は32Kbpsなので、Webサイトの閲覧はほぼできません(画像はmineo公式サイトを加工して転載)

月額250円という低価格で音声回線を維持できるminoeの「マイそくスーパーライト」ですが、さすがにデータ通信速度が32Kbpsでは何もできませんよね。

そこで、mineoでは高速回線を24時間利用できるオプション「24時間データ使い放題」を1回198円で提供しています。これなら、災害時だけ高速回線を利用すればいいので、イザというときにきっと役に立つでしょう。

副回線サービスより格安SIMのほうが安い! それでも値段だけではない事情も……

KDDIとソフトバンクが新たに月額429円で副回線サービスを始めましたが、今回紹介した格安SIMの料金を見れば、必ずしも料金がお得だとは言えないでしょう。

ただし、料金ばかりでは語れない部分もあります。たとえば、iPhoneで格安SIMを利用してデュアルSIM運用する場合は注意が必要です。

大手キャリアを利用しているユーザーが、新たに格安SIMを導入してデュアルSIM運用するのはOKですが、主回線を格安SIMにしている人は、iPhoneにネット接続設定の「APN構成プロファイル」がひとつしかインストールできないため、格安SIM2枚でのデュアルSIM運用ができない場合があります。

iPhoneで格安SIMを利用するときは、「APN構成プロファイル」をインストールする必要があります。ただし、iPhoneではこれをひとつしかインストールできないので、格安SIM2枚でデュアルSIM運用はできない場合も……

また、新規で格安SIMを契約するときは手数料がかかりますし、申し込み時の手間やデュアルSIMの設定を行う手間を考えれば、今利用しているauやソフトバンクスマホのオプションとして手軽に申し込める「副回線サービス」のほうが、簡単に利用できます。

まとめ

いかがでしょうか? 大規模通信障害や大災害に備えて、今後は異なる2つのキャリア回線を準備しておくことは大切なことです。

しかし、今回導入されたKDDIとソフトバンクの「副回線サービス」は、格安SIMに比べるとやや割高になっています。少しでも安く済ませたいなら格安SIMでのデュアルSIM運用することも検討してみてください。

とはいえ、iPhoneで格安SIMを2枚使ってデュアルSIM運用をする人は注意が必要ですし、そもそもデュアルSIMの設定に自信がない人には、オプションとして手軽に申し込めるKDDIとソフトバンクの「副回線サービス」のほうがオススメです。

すずきあきら
編集・ライター。パソコン通信時代からネットワークに接しWi-Fiやインターネット、SNSなどに精通。30年に渡って、パソコンやスマホ関連のムック本や雑誌記事を手がけてきた大ベテラン。最近は格安SIMなどのケータイ料金やアプリ、通信費全般の記事を執筆することが多い。

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