注目を集めるスマホの「デュアルSIM」って何? ケータイの大規模通信障害でも平気?

2022年7月2日から63時間後にようやく復旧したKDDI(au)の大規模通信障害。日本全国で電話が最大3,915万回線がつながりにくくなって大混乱となった。そこでにわかに注目されているのが、スマホの「デュアルSIM」である。果たして「デュアルSIM」とは、いったい何なのだろうか?

デュアルSIMなら通信障害時にもほかの回線が使える!

2022年7月2日未明よりKDDIの大規模通信障害が発生し、63時間に渡ってKDDI回線を利用するauをはじめ、サブキャリアのUQ mobile、格安スマホプランのpovo2.0、au回線を利用する格安SIM(MVNO)まで、最大3,915万回線がつながりにくくなった。

KDDIの大規模通信障害

筆者の友人のスマホはau回線だったので、今回の大規模通信障害により、まったく電話ができない状態が続いて困っていた(筆者撮影)

今回の大規模通信障害よにって、今ネットで話題になっているのが「デュアルSIM」である。デュアルSIMとはその名のとおり“ひとつのスマホで2つのSIMカードを同時に利用できる”こと。

たとえば、ドコモ回線とau回線をデュアルSIM運用していれば、今回のようにau回線がダウンしても、ドコモ回線のほうで電話やネットへの接続が可能になる。

ちなみに、筆者のスマホもドコモ回線(格安SIM)とau回線(povo2.0)のデュアルSIM運用していたので、今回のKDDIの大規模通信障害では何も困ることがなかった。

デュアルSIM運用

「デュアルSIM」とはその名のとおり、ひとつのスマホで2枚のSIMを同時に利用できること。これならau回線がダメでもドコモやソフトバンク回線などが使えるので安心だ(図は筆者作成)

「eSIM」を利用できるとデュアルSIM運用は簡単で格安に!

auの大規模通信障害でも、ドコモやソフトバンクを利用していた人には何の被害もなかったわけだが、実は、今回のような通信障害は過去にドコモやソフトバンクでも起きているので、決して他人事ではない。

やはり、スマホをデュアルSIM運用していれば、イザというときにどちらかの回線が利用できて助かるだろう。でも、デュアルSIMってどうすればいいの? 

まず、デュアルSIM運用をするには、スマホがデュアルSIMに対応している必要がある。これは自分でスマホの仕様を調べるしかないが、まずは、SIMカードスロットにSIMカードが2枚セットできるようになっているか確認してみよう。

「eSIM」を利用できるとデュアルSIM運用は簡単で格安

スマホのSIMカードスロットにSIMを2枚セットできるスマホなら、簡単にデュアルSIM運用することができる(筆者撮影)

こちらはスマホで実際にデュアルSIM運用している状態

こちらはスマホで実際にデュアルSIM運用している状態。ドコモと楽天モバイルの2つの回線が同時利用できるようになっているのが確認できる

だが、SIMカードスロットに1枚しかSIMカードが入らないからといってデュアルSIM運用ができないかといえば、そのようなことはない。

とくに最近は物理SIMカードがなくてもスマホの本体のチップに契約データを書き込める「eSIM」対応スマホも増えており、デュアルSIMが利用しやすい環境が整ってきているのだ。

たとえば、iPhoneの場合はiPhone XR以降の機種ならすべてeSIMに対応しているので、SIMカードスロットに1枚のSIMカードしかセットできなくても、もうひとつの回線をeSIMで契約することでデュアルSIM運用することが可能になっている。

iPhoneの場合はiPhone XR以降の機種ならすべてデュアルSIM運用可能

iPhone XR以降の機種ならeSIMに対応するので、1枚のSIMカードとeSIMとの組み合わせでデュアルSIM運用することも可能となっている(図は筆者作成)

なお、デュアルSIMの具体的な利用方法はこちらの記事が参考になるだろう。

デュアルSIM運用と聞いて、「2つの通信会社を利用すれば、当然維持費用も高くなってしまうじゃないか!」と思った人も多いと思う。

だが、現在ではデュアルSIM運用を安く済ます方法は意外とたくさんあるので安心してほしい。

まず、デュアルSIM運用でハズせないのが「povo2.0」だ。基本料0円で契約できるうえにeSIMでも利用できるので、ドコモ回線やソフトバンクの格安SIMと組み合わせると驚くほど安くなる。

ただし、180日間に1回はトッピングを購入するか、通話やSMSで660円以上の利用がないと、契約を解除される点は注意したい。povo2.0の利用方法についてはこちらの記事で確認できる。

●povo2.0→こちら

povo2.0

povo2.0は基本料0円で維持できる。ただし、180日間に1回はトッピングを購入する必要があるので、半年に1回「smash.使い放題パック」を220円で追加すればOK。つまり1年間実質440円でau回線を維持できるのだ

povo2.0と組み合わせるドコモ回線の格安SIMとしては、日本通信の「合理的シンプル290プラン」がおすすめ。基本料が1GBまで290円という驚くほど安い格安SIMなのだ。

もし、1GBでデータ容量が足りない人は1GBごとに220円で加算できるので(最大100GBまで)、月3GBの場合でもたった月額730円で済む。

日本通信の「合理的シンプル290プラン」の回線はドコモ回線しか選べないが、通話料も11円/30秒と半額で利用できる。具体的な契約方法はこちらの記事を参考にしてもらいたい。

●日本通信「合理的シンプル290プラン」→こちら

日本通信の「合理的シンプル290プラン」

日本通信「合理的シンプル290プラン」は月1GBまで月額290円という安さ。初期設定では上限が月10GBまでになっているので、10GBまではいちいちデータ量を追加する必要はない。もちろん自分で上限を変更することも可能だ

■「povo2.0」+日本通信「合理的シンプル290プラン」でデュアルSIM運用した場合の維持費

【1】au回線「povo2.0」→年間440円
※「smash.使い放題パック」220円×2回
【2】ドコモ回線「日本通信 合理的シンプル290プラン」→年間3,480円
※月1GBで利用した場合
1年間の最低維持費【1】+【2】=3,920円(月額約327円)
※通話料やSMS料金などは含まず

デュアルSIM運用でおすすめしたいIIJmioの「eSIM」

いかがだろうか? 「povo2.0」+日本通信「合理的シンプル290プラン」でデュアルSIM運用した場合は、なんと1年間の最低維持費が3,920円(月約327円)という驚くべき低価格で済む(通話料やSMS料金は別)。

だが、デュアルSIM運用するのであれば、データ専用SIMも見逃せない。たとえばIIJmioではeSIMサービス(ドコモ回線のみ)「データプラン ゼロ」が月額165円という低価格から契約できる。

このデータプラン ゼロは、まったくデータ通信を利用しない月は月額165円で維持でき、もし1GBのデータを追加すると330円が加算され月額495円となる。それ以降は1GB加算するごとに495円が追加され、たとえば月2GBなら990円となるシステムだ。

ただし、IIJmioでは「ギガプラン」にもデータ専用・ドコモ回線のみのeSIMが用意されており、こちらは月2GBプランが月額440円で利用できるので、実際にデータ通信も行うのであれば、こちらのプランのほうが安くなる点には注意しよう。

●IIJmio「データプラン ゼロ」→こちら
●IIJmio「ギガプラン」→こちら

IIJmioの「eSIM」1

ドコモ回線のデータ専用eSIMを月額165円で維持できるIIJmioの「データプラン ゼロ」。実際にデータ通信量を追加すると割高になる点は注意したい(画像はIIJmio公式サイトより転載)

IIJmioの「eSIM」2

こちらはIIJmio「ギガプラン」のeSIM料金。月2GBなら月額440円、4GBでも月額660円という低価格で利用できる。2022年7月末までのキャンペーンなら6カ月間は月額140円で利用できる(画像はIIJmio公式サイトより転載)

LIBMO(リブモ)のデータ専用SIMなら株主優待で月額118円に!

最後に筆者のデュアルSIM運用を紹介しておきたい。筆者は現在au回線のpovo2.0をeSIMで、ドコモ回線の格安SIMはデータ専用SIMの「LIBMO(リブモ)」を利用している。

LIBMOはTOKAIコミュニケーションズが提供する格安SIMで全国的な知名度はイマイチだが、株主優待でスマホの利用料金が割引になるのがポイント。

筆者は月3GBの旧プランデータ専用SIM(月額968円)を契約しているが、300株持っているので、株主優待で毎月850円割引きを受けられる。そのため、実質的な月額料金はなんと118円になるのだ。

つまり、povo2.0で年間440円+LIBMO年間1,416円=1,856円(月額約155円)しか払っていない計算になる。

実は田舎の親との通話用(ファミリー割引適用)にドコモのガラケーも持っているが、こちらは月1,000円程度しかかかっていない。LIBMOの株主優待についてはこちらの記事を参考にしてもらいたい。

●LIBMO→こちら

月額料金968円から株主優待の850円割引きを受け、実際に支払っているのはたった118円だ。スマホはeSIMにpovo2.0を割り当て、データ通信専用のLIBMOは物理SIMカードで月3GBで運用している

まとめ

いかがだろうか? 大手キャリアであってもいつ大規模通信障害が発生するか分からない。もし、緊急事態のときに電話もかけられないようでは困ってしまうだろう。

もちろん、今後は大規模地震が発生する可能性も高いので、万一のことを考えればひとつの回線だけでは安心できない時代になっている。

幸い、現在ではeSIMが普及してきたこともありデュアルSIM運用でも驚くほど安く済む。これを機会にアナタもスマホのデュアルSIM運用を検討してみてはいかがだろうか?

すずきあきら
編集・ライター。パソコン通信時代からネットワークに接しWi-Fiやインターネット、SNSなどに精通。30年に渡って、パソコンやスマホ関連のムック本や雑誌記事を手がけてきた大ベテラン。最近は格安SIMなどのケータイ料金やアプリ、通信費全般の記事を執筆することが多い。

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