近年、私たちの生活のさまざまな場面で意識するようになってきた「経済圏」。各経済圏がグループ内のサービスを利用してもらうため、多彩なキャンペーンを打ち出し続けている。現在では「楽天経済圏」や「PayPay経済圏」などスマホキャリア各社の経済圏が存在感を示しているが、それらの経済圏の住民はいったいどのようなサービスを利用しているのだろうか。
今回は、その実情を調査した調査結果からいくつか抜粋してお伝えしていきたい。
6経済圏の各種サービスの利用率を調査
MMD研究所は5月31日、4月に実施した「経済圏のサービス利用に関する調査」の調査結果を発表した。調査対象は18歳~69歳の男女で、「ドコモ経済圏」「au経済圏」「ソフトバンク経済圏」「楽天経済圏」「イオン経済圏」「PayPay経済圏」の6つの経済圏をメイン利用している回答者となっている。
「現在利用しているQRコード決済」の質問は、回答全体では「PayPay」が4割を超える支持を集めて断トツの人気ぶりを証明した。経済圏別の回答を見ても、「PayPay」は「ソフトバンク経済圏」「楽天経済圏」「イオン経済圏」「PayPay経済圏」と4つの経済圏で1位を獲得。楽天経済圏は自経済圏の「楽天ペイ」もあるのだが、楽天ペイ44.7%に対しPayPayが45.9%と、僅差で2位に甘んじる結果となった。
また、「ドコモ経済圏」では「d払い」、「au経済圏」では「au PAY」が1位となり、自経済圏のサービスの浸透ぶりが確認できた。
回答者全体では楽天ポイント圧勝も、各経済圏も負けてはいない
「最も利用しているポイント」の質問では、回答者全体では「楽天ポイント」が34.6%と圧倒的。13.4%の2位「dポイント」以下を大きく引き離した。
経済圏別で1位のポイントを見ると、「ドコモ経済圏」は「dポイント」、「au経済圏」は「Pontaポイント」、「ソフトバンク経済圏」は「Tポイント」、「楽天経済圏」は「楽天ポイント」、「イオン経済圏」は「WAON POINT」、「PayPay経済圏」は「PayPayポイント」という結果に。どこも自経済圏のポイントが1位を獲得することとなった。それだけ経済圏の構築にあたって共通ポイントという存在が重要だということだろう。また、6項目すべてで楽天ポイントと、Tポイントがランクインを果たしている。経済圏が一般化する前からなじみのあるポイントはいまだ多くの人が使っているのだろう。
「利用しているスマートフォン非接触決済」は、これまでと異なり全体の回答から割れている。1位は「モバイルSuica」で10.1%。2位は「iD」の7.7%、3位「楽天Edy」5.5%と続いた。
経済圏別で見てもモバイルSuicaは「au経済圏」「ソフトバンク経済圏」「楽天経済圏」「PayPay経済圏」で1位に輝いている。JR東日本のサービスのため経済圏とはつながりは薄いが、通勤定期などに利用する人が多いことが多くの支持を集めた理由と言える。「ドコモ経済圏」および「イオン経済圏」でもモバイルSuicaは2位となっていたが、1位はそれぞれ「iD」、「モバイルWAON」となり、自経済圏サービスのユーザーをしっかりと囲い込むことに成功していることもわかった。
今回の調査から見えてきたのは、どこかの経済圏の中にいたとしても、すべてを同じ経済圏の中で完結させる人ばかりではない、ということだろう。「定期券と一緒になっていて便利だから」とモバイルSuicaを使ったり、「この店はこのポイントがよく貯まるから、この決済サービス」と店ごとに細かく使いわけたりしている人も少なくない。
どのような使い方が自分に最も適しているのかをしっかり考えて、使うサービスを選んでいきたいものだ。
出典元:ドコモ、au、ソフトバンク、楽天、イオン、PayPayの6サービス経済圏のユーザー実態調査 第1弾【MMD研究所】