ここ数年、QRコード決済などを中心に意識する機会が急激に増えてきた印象のある「経済圏」という存在。「〇〇ポイントが貯まる!」など、身近なサービスのほとんどが何かしらの経済圏に属していると言っても過言では無いだろう。
今回は、そんな経済圏に関する意識調査の結果についてお伝えしながら、いま最も勢いのある経済圏は何かを考えていきたい。
楽天経済圏、断トツ人気は維持も数字は伸び悩む結果に
MMD研究所は8月10日、7月に実施した「2022年7月経済圏のサービス利用に関する調査」の結果を発表した。調査の対象となった経済圏は「ドコモ経済圏」「au経済圏」「PayPay経済圏」「楽天経済圏」「イオン経済圏」の5つだ。
いずれかの経済圏を「意識している」と回答した人は全体の52.0%を占め、48.5%だった4月の前回調査よりも3.5ポイントアップしている。この期間で起こった経済圏を意識することといえば7月からスタートした「マイナポイント第2弾」だろうか。筆者もポイントの受取先をどのサービスにするか悩んだが、そこで経済圏を意識しだしたという人もいるのかもしれない。
そして「最も意識している経済圏」をたずねる質問で1位に輝いたのは、やはり「楽天経済圏」だった。その回答率は46.8%で、2位「ドコモ経済圏」17.5%、3位「PayPay経済圏」15.1%という結果と比較するとその断トツぶりも際立つだろう。一方で前回調査と比較して伸びてきている経済圏は3.8ポイントアップの「PayPay経済圏」だった。比較的新しい経済圏のため、これからの伸びしろに期待を寄せたいところだ。
そして「最も意識している経済圏の満足度」についての調査では、総合満足度でトップに輝いたのは「PayPay経済圏」だった。部門別に見ても「提供しているサービスの種類の豊富さ」や「サービス同士の連携の良さ」「利用シーンの多さ」など9部門のうち過半数を占める5部門で1位に立っている。
総合満足度2位は「イオン経済圏」、3位には「楽天経済圏」がランクインした。3位となってしまった“「最も意識している」人の多い”楽天経済圏も、PayPay経済圏とともに1位タイとなった「提供しているサービスの種類の豊富さ」と、「ポイントプログラム」でトップの座に就き、全体でも9部門中7部門でトップ3に入る安定感を見せた。
最後に「最も意識している経済圏を意識し始めるきっかけとなったサービス」を見ると各経済圏の中核となるサービス浮かび上がってくるのも興味深い。
ドコモ経済圏とau経済圏では「通信会社」が1位となり、どちらもスマホキャリアが入口となってQRコード決済やクレジットカードといったサービスに進んでいく様子がうかがえる。
一方で楽天経済圏とイオン経済圏では同じ「買い物する場所」が1位となったが、これはおそらくネットの「楽天市場」とリアル店舗の「イオン」という対照的なサービスを指していると思われる。正反対のようで同じ要素になっているのも面白い。
そしてPayPay経済圏で最も多かった「QR・バーコード決済」は言わずもがなQRコード決済の絶対王者「PayPay」だ。回答率が51.8%とこの質問で唯一50%を超えた部分も絶対王者ぶりが伝わってくると言えるだろう。
現在、日本国内の経済圏の双璧を成す存在といえばPayPay経済圏と楽天経済圏だ。今後経済圏競争を制するのはこの2つのどちらなのか。それともドコモ経済圏・au経済圏・イオン経済圏が巻き返してくるのか。はたまた新たな経済圏が生まれて一気にシェアを拡大していくことになるか。今後の動向にも要注目だ。
参照元:2022年7月経済圏のサービス利用に関する調査【MMD研究所】