「PayPay」は本当にお得なの? 一番得するスマホ決済はどれ?

2022年8月時点で登録者数5,000万人を突破した「PayPay(ペイペイ)」。スマホ決済サービスのなかでは断トツの人気を誇りますが、本当に「PayPay」がいちばんお得なのかと言われれば、必ずしもそうではありません。そこで今回は、本当にお得なスマホ決済は何なのか検証してみたいと思います。

シェアトップはダントツで「PayPay」だが……

アナタは、スマホ(QRコード)決済サービスに何を利用していますか? スマホ決済サービスのなかでダントツのトップになっているのは、5,000万人(2022年8月時点)ものユーザーを抱える「PayPay(ペイペイ)」です。

確かに、PayPayは全国374万カ所(2022年6月末時点)で利用できるので、地方の商店レベルでも使えるのが便利ですよね。でも、本当に「PayPay」がいちばんお得なのかと言われれば、必ずしもそうではありません。

それでは、本当にお得なスマホ決済サービスはいったい何なのでしょうか?

●PayPay「「PayPay」の登録ユーザーが5,000万人を突破!」→こちら

登録者数がすでに5,000万人を突破しているPayPay。これは、日本の人口の約2.5人に1人が登録していることを意味するが、必ずしもいちばんお得だとは言えない……(画像はPayPay公式サイトより転載)

PayPayのポイント還元率はさまざまな条件をクリアしてようやく1.5%!

PayPayを街のお店やネットで利用すると、通常は決済金額の0.5%がPayPayポイントで還元されるようになっています。

しかし、PayPayには「PayPay STEP」というランク制度がありますので、300円以上の決済を月30回以上、かつ月5万円以上の支払いを達成すると+0.5%(計1.0%)還元されるようになっています。

さらに、+0.5%(計1.5%還元)を達成するには、PayPayモール(Yahoo!ショッピング)、PayPayフリマ(ヤフオク!)、Yahoo!トラベル、ebookjapan、LOHACO by ASKULのなかから3つのサービスを利用する必要があります。

●PayPay「PayPay STEP」(公式)→こちら

■PayPay STEPで1.5%還元を受ける条件

【1】基本ポイント還元率:0.5%
【2】300円以上+30回以上+5万円以上:+0.5%(計1.0%)
【3】対象3サービスの利用:+0.5%(計1.5%)

【対象3サービス】
・PayPayモール(Yahoo!ショッピング)
・PayPayフリマ(ヤフオク!)
・Yahoo!トラベル
・ebookjapan
・LOHACO by ASKUL
※1回1,000円以上の購入(ebookjapanは1回300円以上)
【上限】7,500pt/回・1万5,000pt/期間

PayPayの基本ポイント還元は0.5%。1.0%~1.5%のポイント還元を受けるには、さまざまな条件を毎月クリアする必要がある(画像はPayPay公式サイトより転載)

このように、PayPayでは毎月300円の買い物を月30回したうえに5万円以上購入して、やっと1.0%になり、さらに対象3サービスを利用することで、ようやく1.5%ポイント還元となるシステムになっています。

これでは、ほとんどの人は0.5~1.0%しか還元されず、かなりのヘビーユーザーでも毎月1.5%還元をキープするのは大変でしょう。

もちろん、PayPay STEPには、Yahoo!ショッピングでの買い物で5.0~7.0%もポイント還元される制度もありますし、PayPayアプリで頻繁にお得なクーポンを配布したり、全額ポイント還元キャンペーンなどが実施されています。

しかし、現在では1.0%還元されるクレジットカードも多くあるので、町のお店やネットでの買い物だけで考えれば、PayPay STEPの条件は厳しすぎると言えるでしょう。

※2022年10月12日より「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」は統合されています

PayPayでは頻繁に全額還元キャンペーンなどが実施されているが、抽選のものが多く必ず当たるわけではない。しかも、このようなキャンペーンはほかのスマホ決済サービスでも実施されている(画像はPayPay公式サイトより転載)

KDDIが運営する「au PAY」は、auのスマホユーザーでなくても利用可能です。現在はリクルート(ホットペッパーやじゃらん)やローソンなどでも利用可能な「Pontaポイント」に統一されていて、使い勝手が非常に良くなっています。

au PAYの基本ポイント還元率はPayPayと同じ0.5%ですが、au公式クレカ「au PAY カード」(年会費1,375円・年1回の利用で無料)で、au PAY残高にチャージすると税込100円ごとに1pt(1%)ポイント還元されるため、簡単に1.5%ポイント還元を受けられます。

さらに、au携帯料金の利用料金で最大11%も還元される「au PAY ゴールドカード」(年会費1万1,000円)でau PAYにチャージすると、+1.0%還元されるので最大2.5%も還元されます。これはかなりお得ですよね。

●au PAY ゴールドカード「au PAY 残高チャージポイント」→こちら

au PAYカードはau PAY残高へのチャージで1.0%還元され、au PAYの支払いでさらに0.5%還元されるので計1.5%還元に。ゴールドカードならさらに+1.0%還元されて最大2.5%も還元される(画像auPAYカード公式サイトより転載)

しかも、au PAYアプリにはPontaカードも組み込まれており、加盟店でPontaカードを提示すると100円か200円ごとに1ptが貯まるので、ポイント還元率はさらに0.5~1.0%上乗せされるのです。

このように、au PAYならau PAYカード(ゴールドカード)でチャージするだけで1.5~2.5%もポイント還元されるほか、Pontaカードでも0.5~1.0%もポイント還元されるので、PayPayよりかなりポイントが貯まるのがお分かりいただけるでしょう。

ただし、残念ながら2022年12月からはau PAYカードによるau PAY残高チャージの1.0%ポイント還元は廃止されることになっていますのでご注意ください。それでもまだ十分お得ですが……。

●au PAY カード「au PAY 残高へのチャージご利用時のポイント加算変更について」→こちら

もちろん、au PAYではスーパーやレストランなどで5~10%ポイント還元されるキャンペーンも、常時実施されていますし、「たぬきの抽選会」が毎月5日、8日、15日、25日に実施されています(2022年10月現在)。

これは、au PAYを使ってお店で税込200円以上の買い物をすると、必ずPontaポイントが当たるキャンペーンで、抽選で1~3,000ptが加算されることになっています。

●au PAY「たぬきの抽選会」→こちら

「たぬきの抽選会」は毎月5日、8日、15日、25日に実施されており、au PAYで200円以上購入すると、抽選で最大3,000ptが当たる(画像はau PAY公式サイトより転載)

PayPayに次ぐ人気を誇るのが、楽天市場で有名な楽天グループが運営する「楽天ペイ」です。

楽天ペイの加入者数は非公開ですが、2020年11月時点で利用できる店舗数は500万カ所を超えており、実は使いやすさではPayPayより上です。

また、楽天グループのクレカ「楽天カード」は2021年12月時点で2,500万枚を突破! 楽天会員のID数は2021年12月時点でなんと1億を超えています。

そのような楽天ペイにはPayPay STEPのようなランク制度はなく、年会費無料の「楽天カード」で楽天キャッシュ(残高)にチャージすると0.5%還元、楽天ペイの支払いで1.0%還元されるので、誰でも簡単に1.5%還元が受けられるのです。

●楽天ペイ「楽天ペイアプリご利用時のポイント還元率」→こちら

楽天ペイでは楽天カードから楽天キャッシュ(残高)チャージすると0.5%還元、その残高で支払うと1.0%還元されるので、誰でも簡単に1.5%還元を受けられるのが大きなメリット

また、楽天ペイで決済するときは、マクドナルド、ファミマ、すき家、ジョナサン、はま寿司、西友などの楽天ポイント加盟店において、会計前に楽天カードを提示すると100円につき1pt(最大1.0%)還元されます。

つまり、楽天ペイの決済と合わせて最大2.5%も還元されるのです。楽天ペイでの3重取りについては、こちらの記事を参考にしてください。

楽天ペイで支払う前に楽天ポイントカードを提示すると、最大1.0%還元されるので、合計2.5%もポイントをもらうことができる(画像は楽天ペイ公式サイトより転載)

もちろん、楽天ペイでは常にお得なキャンペーンも常に多数実施されています。たとえば、2020年10月時点で毎月開催されている「楽天ペイチャンス」では、抽選で最大全額ポイント還元されるようになっています。

●楽天ペイ「楽天ペイチャンス」→こちら

ミスタードーナツ、日高屋、デイリーヤマザキなどで楽天ペイを利用すると、抽選のうえ1等100%、2等50%、3等1%がポイント還元される(画像は楽天ペイ公式サイトより転載)

ドコモが提供するスマホ決済サービスの「d払い」は、ドコモ携帯ユーザーでなくても利用できるスマホ決済サービスです。

d払いの基本還元率は0.5%(税込200円につき1pt)ですが、ドコモ公式クレカ「dカード」をd払いに登録して支払うと、dカード決済ポイントが別途1.0%還元(税込100円につき1pt)され、誰でも簡単に1.5%還元されます。

d払いを利用すると0.5%還元されるが、d払いに「dカード」を登録して支払うと+1.0%還元され、最大1.5%還元される(画像はdカード公式サイトより転載)

ただし、残念ながら2022年12月10日からはdカード決済ポイントの1.0%が廃止され、新たにdカード支払い特典0.5%(税込200円につき1pt)となるため、最大でも1.0%還元となります。

もちろん、これには理由があるのですが、それはのちほど解説しましょう。

●d払い「d払いで「dカードからの支払い」をご利用いただいた場合のdポイント進呈条件の変更について」→こちら

2022年12月10日から、dカード決済ポイントの1.0%が廃止され、新たにdカード支払い特典0.5%(税込200円につき1pt)となる。これによりd払いは最大でも1.0%還元に……(画像はドコモ公式サイトより転載)

d払いにdカードを登録して支払うと、最大1.5%もポイント還元されてお得ですが、d払いを利用するときは必ず支払い前に「dポイントカード」の提示も忘れずに行っておきましょう。

dポイントカードをdポイント加盟店で提示するだけで、支払い額の0.5~1.0%がポイント還元されるため、ポイントの3重取りが可能となり、トータルでは最大2.5%も還元されます。

お店によってポイント還元率は異なるが、0.5~1.0%程度のポイントがもらえるので、dポイント対応店では必ずdポイントカードを提示しておきたい(画像はd払い公式サイトより転載)

d払いでは“ドコモ携帯ユーザー”だけの「d払いステップボーナス」というステージ制度も用意されており、前月のd払い回数に応じて基本還元率(0.5%)にプラスしてポイントが最大1.5%も加算されるシステムになっています。

たとえば、4回までは+0.1%、5回以上で+0.2%、20回以上で+0.5%、50回以上で+1.0%、80回以上では+1.5%も加算されるのです。

ちなみに、2022年12月10日からdカード決済でもらえるポイントが1.0%から0.5%に半減されますが、このd払いステップボーナスは、11月判定分からそのマイナス分を補填するようになっています。

11月から実施される新たなd払いステップボーナスで0.5%を補填されるのは、ドコモのギガホ契約者やahamo大盛りプラン契約者だけになりますが、うまく活用すれば最大3.0%もポイント還元されますので、該当する人は、PayPayよりd払いを利用したほうがお得になるでしょう。

●d払い「d払いステップボーナス」→こちら

d払いステップボーナスは、2022年11月判定から上記のように変更される。ドコモのギガホかahamo大盛りプラン契約者は5回以上の支払いで+0.5%還元され、dカード決済のマイナス分を補填できるようになる(画像はd払い公式サイトより転載)

もちろん、d払いではお店ごとに10~100%還元されるキャンペーンがめじろ押しです。なかでも、毎月実施されている「毎週お得なd曜日」は、毎週金・土曜日はネットでd払いを利用すると、最大4.5%も還元されるのでかなりお得ですね。

●d払い「毎週お得なd曜日」→こちら

「毎週お得なd曜日」では、毎週金・土曜日に、Amazon(ドコモ携帯ユーザーのみ利用可)、メルカリ、マクドナルドモバイルオーダーなどのネットショップでd払いを利用すると最大4.5%還元される(画像はd払い公式サイトより転載)

ここまで、PayPayよりお得なスマホ決済アプリについて解説してきましたが、実はさらに簡単に最大5.0%もポイント還元されるクレカがあるので、合わせて紹介しておきましょう。

「三井住友カード(NL・ナンバーレス)」は、年会費永年無料でありながら、セブン-イレブン、ファミマ、ローソンなどの大手コンビニをはじめ、マクドナルド、すき家、サイゼリア、はま寿司、かっぱ寿司といった飲食店などの支払い時に“タッチ決済”するだけで、なんと5.0%もポイント還元されます。

■三井住友カード(NL)で5%還元される店舗

【コンビニ】セブン-イレブン/ファミマ/ローソン/ポプラ
【飲食店】マクドナルド/すき家/サイゼリヤ/ココス/はま寿司/かっぱ寿司
【カフェ】ドトール/エクセセルシオールカフェ

三井住友カード(NL)は、カード型クレカのほかに、Apple Payや Google Payのスマホ決済でも利用可能ですので、これまで〇〇Payしか眼中になかった人は、少し考慮してみたほうがいいかもしれません。

なお、三井住友カード(NL)ではオリジナルの「Vポイント」が付与されますが、2024年春にはTポイントと統合され、新たなポイントが誕生する予定です。

Vポイントの会員数は5,000万人、Tポイントの会員数は7,000万人もいるので、今後は、PayPayポイント、楽天ポイント、Pontaポイント、dポイントに劣らない新たなポイント経済圏が築かれることになるでしょう。

●三井住友カード(NL)「対象のコンビニ・飲食店で最大5%還元!」→こちら

三井住友カード(NL)は、大手コンビニ3社だけなく、マクドナルドやすき家、かっぱ寿司などで、タッチ決済を利用すると5.0%も還元される最強のクレカ(画像は三井住友カード公式サイトより転載)

コンビニなどでの支払いは、Suicaのように決済端末にタッチするだけでOK。決済端末上部のリーダーにさして決済すると、5.0%還元にはならないので注意したい(筆者撮影)

まとめ

いかがでしょうか? 人気No.1のPayPayですが、ポイント還元率や1.5%還元を受ける条件などを比較すれば、必ずしもお得ではないことがお分かりいただけたでしょう。

今後は、PayPayだけにこだわるのではなく、自分に最適なQRコード決済サービスをメインとして使い、お得なキャンペーンや利用するお店の特典などで、いろいろ分けるのが賢い方法です。

とくに、d払いはすでにドコモ携帯ユーザーを優遇する方向に舵を切っていますので、将来は携帯キャリアと関連のあるスマホ決済サービスを利用するのが、もっとも得するようになるかもしれません。

もちろん、今後はコンビニやマクドナルドでのタッチ決済で5.0%もポイント還元される「三井住友カード(NL)」の動きにも注目です。

藤原博文
編集・ライター。長年、パソコンやスマホ、サブカル関連雑誌の編集部を渡り歩いてきた編集者。個人的に株式、投資信託、FXなどの投資活動を活発に行っているほか、クレカや電子マネー、スマホ決済アプリなどのポイ活にものめり込み、最近はマネー系の記事も数多く手掛ける。

関連記事

TOPICS
マネー最新記事

RANKINGランキング

6:00更新