飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進する、キャッシュレス決済。PayPayや楽天ペイなどが主流ですが、特定の地域だけでしか使えない地域通貨というものもあります。「地域限定だと、どこでも使えないから不便じゃ…」と思う人も多いかもしれません。しかし、地域限定だからこそ、受けられる恩恵が大きいことも事実です。一体どのようなサービスがあるのでしょうか。
地域通貨って何?
そもそも地域通貨とは、ある特定の地域やコミュニティ内だけで流通、利用できる通貨のことです。地域通貨は、地域の自治体や企業などが独自に発行しています。
地域や期間が限定されるため、人々の「今、ここでしか買えない」という購買心理を刺激するようです。そのため地域通貨には、地域内での経済循環を促進する効果も。
現在は、デジタル地域通貨と呼ばれ、各自治体や企業は着々と導入に乗り出しています。これまで、紙幣型や通帳型が一般的でしたが、スマートフォンの普及によりQRコード決済方式が主流となり、地域通貨もデジタル化に至りました。
デジタル地域通貨、加盟店側のメリット
電子決済となったことで、印刷コストや維持管理、運用面での労力を大幅に削減できるなどのメリットが。また、用意するものはQRコードのみなので、加盟店側の導入に対するハードルも下がって負担も減ります。
加えて、従来の紙ベースで問題視されていた偽造リスクなども、不正利用に強いブロックチェーン技術により低減。デジタル化により、従来抱えていた課題をクリアできたというわけです。
デジタル地域通貨が自治体に与える影響
前述にあるように、地域通貨には地域経済を活性化させる効果があります。地域限定にすることで、県外からの流入数が増加するとともに流通スピードが上がるため、より地域経済がうるおうのです。
行政手続きに導入すれば、地域住民の利便性向上にもつながります。スマホアプリ経由で住民への広報や災害情報などの告知もできるため、伝達手段としての活用も期待できるでしょう。
このようにデジタル地域通貨は、地域を維持発展させる一翼を担う可能性を秘めているのです。
国内で展開されている地域通貨
では、実際に導入されているデジタル地域通貨をチェックしていきましょう。
東京都渋谷区の「ハチペイ」
●ハチペイは→こちら
まずは、2022年11月よりサービスを開始した東京都渋谷区のハチペイ。全国のセブン銀⾏ATMやクレジットカード、区内の専⽤チャージ機でチャージできます。渋谷区民以外も利用できますが、渋谷区民対象のキャンペーンが多いため、渋谷区民は利用したほうがお得でしょう。
サービス開始とあわせて、複数のキャンペーンを実施する予定とのこと。この機会にぜひ利用してみてください。
千葉県木更津市の「アクアコイン」
●アクアコインは→こちら
続いて、千葉県木更津市で利用可能なアクアコインは、木更津市内で利用できる地域通貨。アクアコインの注目ポイントは、機能が充実しているところです。
「らづFit」という健康支援サービスと連動しており、1日8000歩を達成すると木更津市内のアクアコイン加盟店全店で利用できる「らづポイント」が5ポイント、月内10回達成で10ポイントもらえます。健康促進と同時にポイントもたまるという一石二鳥な地域通貨です。
さらに、支払いやチャージの履歴を家計簿として整理する機能も用意されています。
岐阜県高山市・飛騨市・白川村の「さるぼぼコイン」
●さるぼぼコインは→こちら
最後に取り上げる岐阜県高山市・飛騨市・白川村で使える「さるぼぼコイン」は、飛騨高山の民芸品にちなんでいるそう。
さるぼぼコインの特徴は、さるぼぼコインでしか買えない飛騨高山の裏メニューが存在すること。「さるぼぼコインタウン」というサイトから購入可能で、どれも目を引くラインナップばかり。
裏メニューは、業者間でしか出回らない飛騨牛の「希少部位」や、工場で食べる「揚げたて」の飛騨定番お土産あげづけなど多種多様です。中には、さるぼぼコインでしか買えない飛騨高山の山や、ひみつの隠れ不動産物件など興味深いものも!
気になる人はぜひ、飛騨地域でさるぼぼコインをためて、特別な体験をしてみてください。
紹介したもの以外にも、深谷ネギで有名な埼玉県深谷市のnegi(ネギー)や、長野県岡谷商工会議所が運営するプリペイド機能付きポイントカードOkaya Payなどがあります。それぞれ、地域の特色を生かしたサービスが展開されているので、地域通貨を導入している地域を訪れる際は利用してみるといいかもしれません。
※サムネイル画像(画像は一部編集部で加工しています)