対面の店舗を持たず、インターネット上での取引が中心の「ネット銀行」は、ATM や振込手数料などのお得さから利用者数の増加もうなずける。ところが、帝国データバンクの調査によると、「企業」でもメインバンクを“ネット銀行”にする数が10年で5倍に急増しているという。今回は、企業がメインバンクとする金融機関の推移についてお伝えしていこう。
企業のメインバンクは、今や「ネット銀行」! 10年で5倍に急増
帝国データバンクは、2022年10月末時点の企業概要データベース「COSMOS2」をもとに、企業のメインバンクを分析した。2022年12月16日の同社の発表によると、企業のメインバンクをネット銀行に選ぶ会社は、10年で5.5倍に急増したことが明らかになった。中でも「楽天銀行」をメインバンクとする企業は、2009年の調査開始以来14回目を数える同調査で、はじめて1000社を突破した。
2022年の全国メインバンク社数1位は「三菱UFJ銀行」。しかし「社数」のみならず「シェア」も13年連続で縮小しており、減少幅は21年に続き、全金融機関で最大である。
一方、勢いを増しているのがネット銀行だ。社数は約2500社に達し、そのシェアは前年比0.03pt増の0.17%、この10年で約6倍と大幅なシェア拡大が続いている。
「楽天銀行がメインバンク」社数は初の1000社に
ネット銀行への「流入元」の1位は「都市銀行」の36.45%。ついで「地方銀行」からが26.17%、3位は「信用金庫」の15.89%が続いた。相次ぐ経営統合や、トップ行による寡占化などは、企業にとっては、店舗整理にともなう利便性の悪化、競争低下による融資への悪影響を心配する声も少なくないと分析している。
店舗型金融機関の新たな受け皿となりつつあるネット銀行。その1位である楽天銀行は、2009年の調査開始以降はじめて1000社を突破した。2位の「PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)」、3位の「住信SBIネット銀行」も、それぞれメイン社数の増加が100社を超えている。これらトップ3行が中心となりネット銀行のシェアを押し上げているそうだ。コロナ禍で、企業の入金方法などが対面からインターネットバンキングなどに変化したのに加え、決済手数料や基本利用料の低さから、ネット銀行をメインバンクにする企業が増えているという。個人だけでなく、企業のメインバンクの今後の推移にも要注目だ。
出典元:【株式会社帝国データバンク/PR TIMES】
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