過去の金融事故歴や多重債務があると、キャッシング審査に支障が出ます。しかし、「誰にでもお金を貸す」などと謳うローン会社から借り入れるといった安易な行動は控えましょう。そうした業者は貸金業法に違反している可能性があり危険です。
今回は、お金をどこからも借りられない場合に取るべき行動や対処法について解説します。

お金が借りられないときは自分の状況に合わせ、「公的融資への申し込み」、「生活保護の申請」、「債務整理」、「不用品の売却」、「日払いの短期の仕事を行う」などの対処を行いましょう
公的融資・公的支援への申し込み | 「生活福祉資金貸付制度」と「生活保護」
公的融資とは、困窮者を救うための国の制度のことです。生活に困窮した場合は、まず公的融資の1つである「生活福祉資金貸付制度」を利用すると良いでしょう。またそれでも足りない場合は、貸付ではなく「受給」が可能な生活保護を利用するのがおすすめです。

緊急小口貸付と総合支援資金は「生活福祉資金貸付制度」に該当。生活に困窮する人を救済する目的で設けられた貸付で、もっとも利用する人が多い公的貸付です。緊急小口資金は最大10万円をすぐに借りられて貸付要件も厳しくはありません。また「緊急小口資金」と「総合支援資金」は併用可能なのもメリットです。これらの制度でも十分ではない場合、生活保護受給が視野に入ります
やはりまずは「生活福祉資金貸付制度」を使うことを検討しましょう。制度には4種類あり、利用目的はそれぞれ異なります。生活福祉資金貸付制度の種類と目的は以下の通り。
種類 | 融資の対象 | |
総合支援資金 | 生活支援費 | 生活再建に継続的な支援が必要な人 |
住宅入居費 | 賃貸契約の締結で敷金・礼金が必要な人 | |
一時生活再建費 | 生活再建に一時的な支援が必要な人 | |
福祉資金 | 福祉費 | 障がい者サービスが必要な人 |
緊急小口資金 | 生活維持が困難で、一時的かつ早急な支援が必要な人 | |
教育支援資金 | 教育支援費 | 高等学校や大学の就学にかかる経費が必要な人 |
就学支度費 | 高等学校や大学の入学にかかる経費が必要な人 | |
不動産担保型生活資金 | 不動産担保型生活資金 | 居住用不動産を担保に生活資金を借りたい高齢者世帯 |
要保護世帯向け不動産担保型生活資金 | 居住用不動産を担保に生活資金を借りたい要保護の高齢者世帯 |
このうちとくに利用しやすいのが「緊急小口資金」「総合支援資金」。総合支援資金には上記の通り、3つの用途があります。それぞれの詳細などは後述しますが、まずは「緊急小口資金」に申し込み、緊急的に現金を確保するのをおすすめします。
緊急小口貸付 | 「本当にお金が借りられない」際はまず申し込み
緊急小口貸付は、すぐにお金が必要な人向けの公的融資のひとつ。本当にお金が借りられず、緊急的に現金が必要な際は真っ先に申し込みましょう。概要は以下の通りです。
貸付上限額 | 10万円以内 |
措置期間 | 貸付の日から2月以内 |
償還期限 | 措置期間経過後12月以内 |
貸付利子 | 無利子 |
保証人 | 不要 |
措置期間とは返済開始までの期間で、償還期限は分割して返済する場合の期限です。緊急小口貸付の上限額では、生活の再建が困難な場合は、総合支援資金の利用を検討しましょう。
申込手続きのための窓口は社会福祉協議会や自立相談支援機関。住民票・通帳またはキャッシュカードのコピー・本人確認書類が必要なため、書類を揃えたうえで、まずは最寄りの社会福祉協議会や自立相談支援機関に問い合わせましょう。
総合支援資金
総合支援資金は、失業などによって継続的な支援が必要な人のための制度。概要は以下の通りです。
貸付限度額 | 措置期間 | 償還期限 | |
生活支援費 | 単身世帯:月15万円以内 最長12月以内(延長3回) | 最終貸付日から6月以内 | 措置期間経過後10年以内 |
二人以上:月20万円以内 最長12月以内(延長3回) | |||
住宅入居費 | 40万円以内 | ||
一時生活再建費 | 60万円以内 |
住宅入居費と一時生活再建費は、生活支援費と併用でき、その場合の措置期間は生活支援費の最終貸付日から6月以内となります。
緊急小口資金よりも融資額と用途が広く、緊急小口資金と併用可能なのでこちらもおすすめ。ただし、保証人がいない場合は年1.5%の利子がつく点に注意しましょう。
申込窓口は、こちらも最寄りの社会福祉協議会。緊急小口資金の申し込みをする際に、合わせて窓口で申請書類や申し込み手順を確認しましょう。
生活保護 | 総合支援資金でも生活を立て直すことが難しい場合に検討
緊急小口資金や総合支援資金でも生活が再建できない場合、生活保護の申請を検討しましょう。

緊急小口資金や総合支援資金を活用しても生活が再建できず、さらに長期的な援助が必要な場合は生活保護の申請を検討する必要があります。しかし、生活保護の申請には画像に記載された4つの条件を満たしている必要があります
条件すべてに該当した場合は、居住地域の福祉事務所で生活保護の申請を行いましょう。生活保護の申請・審査の流れは以下の通りです。
1.居住地域の福祉事務所の窓口に行き、生活保護を受けたいと伝える
2.ケースワーカーの家庭訪問を受ける
3.扶養調査や預貯金・保険・不動産などの資産調査が行われる
4.審査結果の通知(申請から14日以内)
5.受給開始
受給開始となった場合は、1カ月あたり10~13万円の生活保護費が受給できます。生活保護費を受注している間は、収入の状況を毎月報告するほか、ケースワーカーの訪問調査が年に数回あります。生活面で不安なことがあった場合は、訪問調査の際に相談するのもいいでしょう。
債務整理 |借金減額・過払い金請求の可能性もあり
債務整理とは、借金を減らす・支払いに猶予を持たせるなどの対策を講じ、借金の悩みを解決できる手続きです。

たとえば「借金を3年以内に完済できる見込みはない」が「家や車は残したい」場合、裁判所を介して「個人再生」を行う必要があります。また「3年で返済可能」で「借金周りのことでの手間は減らしたい」場合、裁判所を介さず債権者と「任意整理」を行うことが視野に入ります
債務整理は「借金減額」もしくは「自己破産」した場合でも、5~10年で信用情報機関から金融事故の情報は消えるのが大きなメリット。借金減額をしつつ、時間が経過すれば新たな借り入れも可能になるため、チャートを見ながら今後の道を探ってみてください。
なお今後の動きを決めかねる場合は、弁護士や司法書士に相談するのがおすすめ。弁護士や司法書士に心当たりがなければ、債務整理の相談を受け付けている生活サポート基金の窓口を利用しましょう。