今さら聞けない「Bluetooth(ブルートゥース)」って何なの?

「Bluetooth(ブルートゥース)」といえば、パソコンやスマホなどと、イヤホンやスピーカー、マウス、キーボードなどのデバイスを接続するときのワイヤレス(無線)通信技術です。でも、実は「バージョン」と「プロファイル」によって使える機能が異なっているのをご存じでしょうか? そこで今回は、普段あまり気にすることがないBluetoothの規格について詳しく解説します。

Bluetoothは近距離無線通信技術のこと。Wi-Fiとはどこが違う?

パソコンではキーボードやマウス、プリンタなど、スマホならイヤホンやスピーカーなどのデバイスをワイヤレス(無線)で利用できますよね。そのときに使われているのが「Bluetooth(ブルートゥース)」です。

Bluetoothは近距離無線通信技術のひとつで、Bluetooth Special Interest Group(SIG)という非営利団体が仕様を策定した国際標準規格。1999年にVer,1.0が発表され、日本では2003年頃から本格的に利用されるようになりました。

Bluetoothは、Wi-Fiでも利用されている「2.4GHz帯」の電波を使用しているので混同されがちですが、BluetoothはWi-Fiと違って基本的にデバイス同士を1対1でつなぐためのものです。

とはいえ、最近では1台のBluetooth機器に複数のデバイスを登録できる「マルチペアリング」機能も利用できるようになっています。

スマホではイヤホンやスピーカーなどをBluetoothでペアリングして使うことが多く、パソコンではマウスやキーボードなどをBluetoothでワイヤレス接続することが多いでしょう(図は筆者が独自に作成)

また、BluetoothはWi-Fiのようにアクセスポイント(Wi-Fiルーター)を介する必要はありませんし、パスワードを入力しなくても簡単にペアリングすることできます(一部デバイスはパスワードが必要)。

Bluetoothは基本的にデバイス同士の間隔が1m程度の狭い範囲で利用することが多く、BluetoothはWi-Fiよりも通信速度が遅いものの、消費電力が非常に少ないといった特徴があります。

そのため、Bluetoothはキーボードやイヤホンなど、長時間ワイヤレス接続して使う省電力のデバイス利用に向いているのです。

Bluetoothは基本的にデバイスを1対1で接続するためのもの。省電力なので長時間使うデバイスに適しています。これに対しWi-Fiは、Wi-Fiルーターを介して複数のデバイスをインターネットに接続するためのものです(図は筆者が独自に作成)

●Bluetooth NLC(公式)は→こちら

Bluetoothはバージョンの違いで互換性がないことも!

Bluetoothは1999年にバージョン1.0が発表されてから、何度もバージョンアップを繰り返しており、2023年10月現在ではVer,5.4が最新バージョンとなっています。

とくに注意したいのは、Bluetooth 3.0以前と4.0以降では互換性がないこと。

Bluetooth 4.0以降では「BLE(Bluetooth Low Energy)」という新しい通信方式が使われており、非常に省電力となっていますので、Ver,3.0では対応できないのです。

ただし、最近ではBLEに対応するBluetooth 4.0以降でも、3.0以前に対応している機器も増えています。「Bluetooth SMART READY」と表示があれば、どちらの通信方式にも対応できます。

Bluetooth 4.0以降と3.0以前の両方の通信方式に対応する製品には「Bluetooth SMART READY」とあり(写真上)、Bluetooth 4.0のみ対応の製品には「Bluetooth SMART)」という表示がある場合もあります(画像はBluetooth SIG公式サイトより引用)

もちろん、Ver,4.0以降のBluetooth同士は下位互換が保たれているので、たとえば、Bluetooth 4.0のデバイスとBluetooth 5.0のデバイスをペアリングすれば下位バージョンのVer,4.0として動作します。

■Bluetooth規格のバージョン

こちらがBluetoothのバージョンをまとめた表です。電波干渉対策や省電力、高速化が行われていますが、とくにVer,4.0では「BLE」が導入され、通信方式がVer,3.0以前と大きく変わって互換性がないことに注意しましょう(表は筆者が独自に作成)

こちらはワイヤレスキーボードのパッケージですが、「Bluetooth Ver,5.0」であることが確認できます。現在発売されているBluetooth製品は、ほとんどがVer,4.0〜5.0以上であると考えていいでしょう(筆者撮影)

Bluetoothは対応プロファイルにも注意!

Bluetoothを利用するうえでは、「プロファイル」にも注意が必要です。

このプロファイルは、デバイスに関する情報や通信方式、セキュリティ条件などのルールを定義したもの。

Bluetoothはマウスやキーボード、イヤホンやスピーカー、プリンタ、デジカメ、レコーダーなど、あらゆるデバイスで利用されているため、各デバイスに対応したプロファイルが大量に存在するのです。

Bluetoothでペアリングするときは、このプロファイルに基づいたルールで接続処理が行われますので、デバイス間で同じプロファイルを持っていないと接続できません。

■Bluetoothの主なプロファイル

こちらが主なBluetoothのプロファイルです。このほかにもデバイスごとにさまざまなプロファイルが利用されています(表は筆者が独自に作成)

たとえば、ワイヤレスイヤホンを使ううえで基本となるプロファイルは、「HFP」「HSP」「A2DP」「AVRCP」の4つです。

まず、Bluetoothで音楽を聴くには「A2DP」と「AVRCP」に対応していないとダメですし、マイクで会話するヘッドセットであれば「HFP」と「HSP」への対応が必須になります。

また、マウスやキーボードであれば必ず「HID」に対応していますので、製品を購入するときは、プロファイルにも注意してください。

こちらはワイヤレスイヤホンのパッケージの仕様です。対応プロファイルに「HFP」と「HSP」とありますので、マイク機能を持っていることが確認できます(筆者撮影)

こちらはワイヤレスキーボードのパッケージの仕様です。「BluetoothVer,4.0以上のHIDプロファイル対応機器に接続可能です」と表示があり、その下にはVer,3.0では接続できないことが念押しされています(筆者撮影)

BluretoothはClassによって最大100mで接続できる場合も!

Bluetoothは基本的に1〜10m以内の近距離で無線接続するためのものですが、実は「Class」によっては10m以上離れていても接続できます。

Bluetoothの「Class」は電波の強度や出力電力を表しており、Class 1〜3までの3つが規定されています。

「Class 1」は最大通信距離100m/最大出力電力100mW、「Class 2」は最大10m/2.5mW、「Class 3」は最大1m/1mWとなっています。

ワイヤレスイヤホンや、パソコンのマウス・キーボードなら「Class 2」や「Class 3」で問題ありませんが、たとえば、アウトドアで離れた場所でスピーカーなどを使う場合は、「Class 1」が必要になるでしょう。

ちなみに、デスクトップパソコンにはBluetooth機能を持っていない機種も多いので、その場合はBluetoothアダプターを追加することでBluetooth対応のワイヤレスマウスやキーボードを利用できるようになります。

こちらは、パソコンのUBSに挿して使うBluetoothアダプター。Ver,4.0ですがClass 1対応で最大通信距離は100mになります(画像はAmazon公式サイトより引用)

まとめ

いかがでしょうか? 今回はBluetoothの規格について詳しく解説しましたが、バージョンやプロファイルによって性能や機能が大きく異なることがお分かりいただけたと思います。

とはいえ、現在発売されているBluetooth対応機器は、ほとんどがVer,4.0〜5.0以上に対応していますので、互換性はさほど気にしなくても大丈夫でしょう。

ただし、プロファイルについては多少気にしていないと失敗することもあります。たとえば、マイク付きのヘッドセットを買ったつもりなのに、よく見たら通話機能のプロファイルに対応していなかった、なんてこともあるのでご注意ください。

※サムネイル画像(Image:ymgerman / Shutterstock.com

すずきあきら
編集・ライター。パソコン通信時代からネットワークに接しWi-Fiやインターネット、SNSなどに精通。30年に渡って、パソコンやスマホ関連のムック本や雑誌記事を手がけてきた大ベテラン。最近は格安SIMなどのケータイ料金やアプリ、通信費全般の記事を執筆することが多い。

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