そのパソコンの買い替えちょっと待った! 動作が遅い原因はメモリ容量不足なだけかも!?

毎日、Chromeで大量のタブを開いてWebサイトを調べていると、パソコンの動作が極端に重くなってイライラすることがある。でも、それだけの理由でパソコンを買い替えるのならちょっと待った! もしかすると、動作が重い原因はメモリ容量が不足しているだけかもしれない。そこで今回は、Chromeのタブを開きすぎてパソコンの動作が重いときの対処方法を紹介しよう。

Chromeのタブの開きすぎでパソコンが重くなる?!

先日、筆者は知り合いから「最近パソコンがメチャ重いから買い替えたいと思っている」と相談を受けた。だが、その知り合いが使っているパソコンのスペックはさほど低くはなかったので、どんなときに動作が重いのか尋ねてみた。

すると、仕事上の調べものをするために、いつもChromeのタブを大量に開き、クラウドのGoogleドライブやメーラーなどのアプリを大量に起動しながら作業していたことが判明した。

タスクマネージャーで確認してみると、案の定メモリ使用量は98%を超えていた。つまり、知り合いのパソコンの動作が重い原因は、Chromeのタブを開きすぎによる“メモリ不足”だったのである……。

タスクマネージャーでメモリ使用率を確認すると98%以上! プロセスを確認すると、やっぱりChromeとメールなどのアプリが大量にメモリを消費していた

「パソコンの動作が重い」原因はいろいろある!

実はひと口に“Windowsパソコンの動作が重い”と言っても、OSの起動が遅い、CPUをフルに使うビデオ編集作業をしている、グラフィック性能が必要なゲームをしている、など、パソコンの使い方で対処方法は異なってくる。

まず、パソコンの起動が遅いときはWindowsをインストールしてあるHDD(Cドライブ)を高速なSSDに交換すると効果てきめんだ。その方法は→こちらで確認できる。

次に、HDDの使用率が高くて動作が遅いときは→こちらが参考になるだろう。

また、パソコンゲームの動作が厳しいときは、グラフィックボードを追加するなどの対処方法がある(デスクトップの場合)。

それでは、今回のようにメモリ不足で動作が重い場合は、いったいどうすればいいのだろうか……。

パソコンの起動が遅いときはHDDをSSDに換装すると、劇的に起動が速くなる。ただし、それなりのスキルが必要なのでパソコンに詳しくない人には難しいだろう

Chromeのメモリ使用率を抑える方法は?

Windowsパソコンでは、Chromeのタブを大量に開いたり、クラウドアプリなどをたくさん起動していると、メモリの使用量が多くなって動作が重くなってしまう。

そんな時は、まずChromeのメモリ使用率を抑える方法をいろいろ試してみよう。たとえば、不要なChromeの「拡張機能」をオフにしたり、「Reduce Memory」という無料アプリを使ってメモリを強制的に開放する方法が効果的だ。

詳しくは→こちらの記事を参考にしてほしい。

パソコンの動作が重くなったら「Reduce Memory」を使ってみよう。起動しておくだけでメモリの使用率が改善される優れもものだ

ソフトウェア的な対処方法では、全然、パソコンの動作が軽くならない場合は、やはり物理的にメモリを増すしかないだろう。

デスクトップパソコンなら簡単にメモリを増設できるし、ノートパソコンでも15.4インチの大型のものならメモリ増設用のスロットを備える機種も多い。

とくに物理メモリが4GB以下のパソコンは、8GBや16GBにメモリを増やすことで、かなり快適に動作するようになるはずだ。

ただし、Windows OSが64bitではなく「32bit」の場合は、4GB以上のメモリを増設しても4GBまでしか認識できないし、14インチ以下の小型モバイルノートはメモリを増設するスロットがない場合も多い。

こちら15.4インチの大型ノートパソコン「VAIO」のマザーボード。メモリスロットの空きがあるのを確認できた。ここにメモリを装着して物理的なメモリ容量を増やしてやれば、パソコンの動作は改善される

こちらがノートパソコンのメモリ。機種ごとに適合する規格は異なるので、自分で調べられない場合は、パソコンショップでメモリを探してもらおう。ショップによっては有料で増設作業をやってもらえる場合もある

どうしてCPU性能ではなくメモリ容量が重要なのか?

筆者のアドバイスを聞いた知人は「CPUじゃなくてメモリなんですか……?」と不思議そうな顔をしていた。

確かに、パソコンの性能(情報の処理能力)を決めるパーツは、頭脳ともいえる「CPU(中央演算処理装置)」である。

これに対し、HDDはデータを保存する倉庫の役割を持っており、このHDD内のデータのやり取りが遅い場合もパソコンの動作を遅くする。そのため、高速なSSDに交換することでも、パソコンの動作はかなり改善されるのだ。

そして、メモリはCPUとHDDの間で一時的にデータを記録し、両者を橋渡しする役割があるため、メモリはCPUがデータ処理をするための机に例えられることが多い。当然、机が広い(容量が大きい)ほうが作業効率がよくなるというわけだ。

もちろん、CPUの性能は高いほうがいいが、結局いくらCPUの性能が高くてもメモリ容量が少なければ、作業効率が上がらずCPUは本来の性能をまったく発揮できないのである。

筆者からすれば、5~6年に発売されたCore i3やi5を搭載するパソコンなら、Web閲覧や文書作成、写真処理をするには十分すぎる性能がある。それでも動作が重くなるのは、やはりメモリ容量不足ということになるだろう。

パソコンはHDDのデータをCPUで処理するが、その橋渡しをするのがメモリである。だが、最新の高性能CPUを搭載したパソコンでも、メモリ容量が足りないとデータのやり取りが滞ってしまう。そのため、パソコンが重くなってしまうのだ

今後、パソコンを買うならメモリは最低でも8GB以上に!

いかがだろうか? メモリの増設やCドライブをSSDに換装することができる知識やスキルのある人なら、そもそもパソコンの動作がそんなに重くなることもあるまい。

実は、筆者は10年前に自分で組み立てた「Core i5」のパソコンをメインパソコンとして使っている。しかも、OSは古い外部パーツを使い続けるために32bitにしているので、メモリは4GBしかない。

さすがに、Cドライブは1年前にSSDに換装したが、それでもWeb閲覧やWord、Photoshop程度の作業で、動作が重くて困るような場面はめったにない。最近困ったのはGoPro 10で撮影した5.3K動画の再生くらいだ。

もちろん、最近買った第10世代のCore i5でメモリ8GB搭載のMicrosoft「Surface Laptop Go」なら、5.3K動画も快適に再生できて快適だが、CPUが真価を発揮するのは動画をエンコードしたり、RAWデータ写真の現像するといったベビーな処理作業のときだけである。

オフィスワークで使うパソコンなら、CPUよりメモリ容量を重視してほしい。メモリは8GB以上ないとサクサクと動かない。また、HDDではなくSSD搭載モデルならOSの起動時間もかなり速くなるはずだ

結局、知人のノートパソコンは物理的なメモリ増設ができなかったので、新品に買い替えることになった。そこで筆者は、「CPUは古いCore i3とかCore i5で十分だから、メモリだけは8GB以上に増設してから注文しなさい」とアドバイスしておいた。

※サムネイル画像は(「写真AC」より引用)

文=すずきあきら/編集・ライター

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