「MVNO」と「MNO」の違いって何? 格安SIMへの乗り換えで覚えておきたい基礎用語

最近は、大手キャリアに比べ驚くほど月額利用料が安い「格安SIM」やahamo、povo2.0といった「格安プラン」が登場していますが、実際にスマホを乗り換えるときには「MVNO」「MNO」といった謎のカタカナ用語を見かけることがあります。どちらも似たような感じなので混乱すると思いますが、意外と重要な用語なのでここでしっかり覚えておきましょう。

「MNO」は自社回線を所有する“大手キャリア”のこと

「MNO(エムエヌオー)」は“Mobile Network Operator”の略で、日本語に訳すと「移動体通信事業者」となります。

MNOとは自社でモバイル通信回線設備を持つ通信事業者のことであり、具体的には大手携帯電話キャリアのドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの4社のことを指しています。

ちなみに、かつて楽天モバイルは格安SIMの事業を行っていましたが、2020年4月からは本格的にMNOサービスを開始しています。

また、auはUQ mobile、ソフトバンクはY!mobileというサブブランドもありますが、これについては話が少々ややこしいので、のちほど解説しましょう。

MNOはモバイル通信回線設備を自社で持っている通信事業者のこと。現在はドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの4社が該当する

「MVNO」はモバイル通信回線を持たない“格安SIM”のこと

「MVNO(エムブイエヌオー)」は“Mobile Virtual Network Operator”の略で、日本語では「仮想移動体通信事業者」と訳されています。

“仮想”とは自社でモバイル回線を持たず、大手キャリアのモバイル通信回線を借りているという意味で、“移動体”はスマホの意味になります。

つまり、MVNOとは“大手キャリアの回線を借りて携帯電話サービスを提供する格安SIM事業者”のことなのです。

格安SIMはIIJmio、OCN モバイル ONE、イオンモバイル、NUROモバイル、日本通信、BIGLOBEモバイル、J:COM MOBILE、y.u mobile、BIC SIM、mineo、LIBMO、QTmobileなど、日本全国にかなりの数の事業者が存在します。

格安SIMは、ドコモ回線を利用している事業者がほとんどですが、なかにはau回線やソフトバンク回線を選択できる場合もあります。

MVNOはいわゆる格安SIMのこと。自社回線や店舗を持たないため料金を安くすることができる。母体となる事業者はさまざまで、スーパー、ケーブルテレビ局、電力会社、家電量販店などがある

ドコモショップでは「エコノミーMVNO」という月額550円の格安SIMを販売している。これは同じNTTグループのOCN モバイル ONEが提供している新コースの500MB/月コースのことで、特別にドコモショップで申し込めるようになっている

ここまでの説明で、何となくMNO(大手キャリア)とMVNO(格安SIM)の違いはお分かりいただけたと思います。

しかし、ドコモは「ahamo(アハモ)」、au(KDDI)は「povo2.0(ポヴォ)」、ソフトバンクは「LINEMO(ラインモ)」という格安なプランを提供していますが、これはいったい何なのでしょうか?

ahamo、povo2.0、LINEMOは、いずれも店頭でのフルサービスを提供しない代わりに、月額料金を安くする「格安プラン」のブランド名になります。

価格は格安SIM並に安いのですが、いずれも自社回線を利用するためMVNOとは言えず、あくまでもMNOサービスの一種と考えてよいでしょう。

なお、現在ahamoはドコモショップでの有償サポート(3,300円)を受けることも可能となっています。

ahamo、povo2.0、LINEMOはあくまでも大手キャリアの格安プランという位置づけで、基本的に店頭でのサポートは受けられない。ahamoではドコモショップでも申し込めるが、あくまでも、Web申し込をサポートする有償サービスが受けられるだけだ

ドコモショップでは、ahamoやエコノミーMVNOなども扱っており、さまざまなサービスを選択できるようになっている(筆者撮影)

Y!mobileやUQ mobileは何なの?

ソフトバンクグループには「Y!moble(ワイモバイル)」、auには「UQ mobile(ユーキューモバイル)」というサブブランドがあります。

まず、Y!mobileはウィルコムとイーモバイルが合併して生まれた会社で、現在はソフトバンクグループの一部として営業しています。

Y!mobileはソフトバンク回線を利用しているので、MVNOではなくMNOという扱いになります。最近はソフトバンクと店舗を共有しているのをよく見かけますよね。

もちろん、ソフトバンクの格安プランLINEMOと違ってY!mobileは店頭で申し込みできるのが特徴です。

最近はソフトバンクとY!mobileの両方を扱うショップが増えている。ただし、LINEMOの申し込みはできない(筆者撮影)

また、UQ mobileのほうはUQコミュニケーションズというKDDIグループの会社が運営していますが、もともとWiMAXという独自回線を提供するMNOでした。

現在は、au回線を利用するサブブランドとして位置づけられており、こちらのサービスはMVNOという扱いになります。

最近、UQ mobileはauと店舗を共有している場合もありますが、格安プランのpovo2.0と違い、UQ mobileは店頭で申し込むことができます。

最近はauとUQ mobileの両方を扱うショップも見かけるようになった。ただし、povo2.0は申し込めない(筆者撮影)

まとめ

いかがでしょうか? 以前は大手キャリア(MNO)と格安SIM(MVNO)という分かりやすい構図でしたが、現在は大手キャリアも割安なサブブランドや格安プランを投入しているので、区別がつきにくくなっています。

今後、大手キャリアから格安SIMなどに乗り換えるときは、「MNO」や「MVNO」といった用語を覚えておくとスムーズでしょう。

なお、スマホの乗り換え時には「MNP(エムエヌピー)」という用語もよく出てきます。

これは“Mobile Number Portability”の略で、「携帯電話番号ポータビリティ」と訳されますが、今使っている電話番号を変えずにキャリアを乗り換えることですので、一緒に覚えておきましょう。

すずきあきら
編集・ライター。パソコン通信時代からネットワークに接しWi-Fiやインターネット、SNSなどに精通。30年に渡って、パソコンやスマホ関連のムック本や雑誌記事を手がけてきた大ベテラン。最近は格安SIMなどのケータイ料金やアプリ、通信費全般の記事を執筆することが多い。

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