ChatGPTって結局何?できることやアカウント作成手順、質問の仕方を解説

ChatGPTとは人工知能が人間の投げかけに対し、自然な回答や文章を生成するサービスです。しかし、結局ChatGPTはなにができるのか、きちんと把握できていない方も少なくないのではないでしょうか。

この記事ではChatGPTの特徴やできること、アカウント作成手順、質問の仕方などを詳しく解説します。

ChatGPTとは?

ChatGPTは人間の投げかけに対し、ChatGPTがそれに応じた返答や文章、表やコードなどを生成してくれるAIです。無料版と有料版があり、2023年5月現在、有料版は月20ドルで最新モデルであるGPT-4が利用可能。GPT-4は日本の医師国家試験の合格ラインを超えたとして話題になりました

大規模言語モデル(LLM)を用いた生成AI

ChatGPTを技術面から簡潔にまとめると「対話特化型の汎用性が高い大規模言語モデル(LLM)」です。大規模言語モデル(LLM)と従来の自然言語処理の違いは、以下の画像の通り。なお大規模言語モデル(LLM)の例として、GPT-3を従来の自然言語処理と比較しています。

たとえば「私は猫が好きだ」を英訳する場合、従来の自然言語処理ではテキストデータを事前学習したうえで、翻訳に特化したタスクを与える「ファインチューニング」が必要でした。しかしGPT-3に代表されるChatGPTの技術では、事前学習したテキストデータを与えるとファインチューニングの工程を飛ばして「”私が猫が好きだ”という文章を英訳してください」というプロンプトに対し、確率的に返答として続きそうなテキストを出力することが可能になりました。ChatGPTが翻訳にも要約にも、Excelの関数制作にも汎用的に使える最大の要因はこの「確率的に続きそうなテキストの出力」にあるのです

ChatGPTで使われている技術

ChatGPTで使われている技術には様々なものがありますが、とくにブレークスルーとなったのは「GPT-3」。この技術をベースに、OpenAIが「InstructGPT」の研究も強力に推し進めたことで、ChatGPTの高品質な受け答えが実現されています。

GPT-3

GPT-3は2020年に発表された自然言語技術処理モデルの1つ。ちなみに、その1つ前のバージョンである「【リンク:公式URL】GPT-2【/リンク:公式URL】 (https://github.com/openai/gpt-2)」は2019年にオープンソースで配布されています。

GPT-3の最大の特徴は、先にも述べた通り「確率的に続きそうなテキスト」の出力です。

GPT-3では、TransformerのDecoderというモデルが採用されています。大量のウェブページをクロールして得られたビッグデータをまず学習し、続けて「The capital of Germany」などの短い文書を与えます。正解は「is」であり、「Paris」や「Cat」をモデルが選択すると間違い。間違った選択肢を選んだらモデルにペナルティを与えるということを繰り返し、最終的に「The capital of Germany is Berlin」という文章を組み立てられるようになりました

InstructGPT

GPT-3には、出力される文章こそ自然ながら「人間の好みに合うアウトプットが得にくい」という問題がありました。GPT-3の学習元データは大量のWebページをクロールしたデータと言われており、そのなかには有害性の高いコンテンツや低品質ページも混在していたためです。

そこでOpenAIはRLHF(Reinforcement Learning from Human Feedback、人間のフィードバックを反映させた強化学習)という手法を取り入れ、2022年よりGPT-3の改良版である「InstructGPT」を提供開始。出力の精度はもちろん、回答の倫理面でも大きな改善が見られました。

ChatGPTはこの「InstructGPT」の延長線上にある技術と言え、いわば「対話特化型InstructGPT」のような存在です。

ChatGPTは何が画期的なの?

ここまでChatGPTの技術や画期性について触れてきましたが、それらをまとめると「3つの凄い点」が挙げられます。

圧倒的な汎用性

ChatGPTは日本語に対応しており、翻訳不要。さらに出力された文章が長すぎると感じた場合、「要約してください」と指示を出せばいいだけ。圧倒的な汎用性の高さが魅力となっています。自由に質問でき、なおかつその意図をChatGPTが汲み取ってくれるため、極めて広範な用途に使えます。文章生成からプログラミング、ビジネスプランの壁打ちから英語学習まで可能。ちなみにプロンプトを工夫すればノベルゲームとしてChatGPTを使ったり、トランプのブラックジャックなどもできたりします。

出力が人間の好みから外れる「アラインメント問題」を高度に解消

AIが人間の意図しない出力を行うことなどは「アラインメント問題」と呼ばれます。GPT-3の開発後、OpenAIは「InstructGPT」に取り組み、人間のフィードバック反映によってこの問題を高度に解消。

2023年現在、提供されているChatGPTは受け答えも丁寧であり、回答そのものにも適切なフィルタリングやモデレーションの仕組みを導入。暴力や犯罪を助長してしまう回答が出力される可能性もゼロではありませんが、そうした不快な回答は非常に高度にコントロールされています

チャットインターフェースの導入

ChatGPTは、ユーザーと人工知能との会話を、チャットボックスのなかで表示します。チャットボックスは、ユーザーが普段使っているメッセージアプリやSNSと同じような見た目や操作感を持っています。そのため、ユーザーが友人や家族とメッセージをやりとりするような感覚で楽しむことができます。

多くの人にとって、高度なAIモデルをローカル環境で動作させるのは技術的にもハード面でも難しいものです。高価なグラフィックボードなどが必要になってしまうケースも多く、なおかつ導入の難易度自体が高いためです。ChatGPTは極めて汎用的なAIモデルを、誰にとっても使いやすいシンプルなチャットインターフェースで導入したことが画期的であったと言えるでしょう

【実用面】非構造化データを活用しやすくなった

繰り返しにはなりますが、従来の自然言語処理では「翻訳モデル」「要約モデル」など用途ごとにファインチューニングを行う必要がありました。しかし、ChatGPTではファインチューニングなしでも与えられた情報を読み解き、「要約」「翻訳」「その文書の続きを作成する」など高度なアウトプットを生成できます。

この特性は、ビジネスシーンなどでも非常に役立ちます。たとえば「Slackでの膨大なやり取り」や「社内文書」など構造化されていない自然言語でのやり取りも、ChatGPTを介することで「要約」や「分類」などができます。

このほかにも、たとえば読みづらいプログラミングのコードも「各処理ごとにコメントを付けてください」などとすると、分かりやすく成形してコメントをつけてくれます。

ChatGPTの無料版への登録方法は以下の通りです。

まず、ChatGPTにアクセスします。

「Try ChatGPT」をクリックします

ChatGPTを初めて使う方は「Sign up」をクリックし、アカウント情報の登録を行います

メールアドレスを登録する場合は、①入力欄にメールアドレスを入力し、②「Continue」をクリック。その他に、「グーグルのアカウントでログインする」「マイクロソフトのアカウントでログインする」ことも可能

メールアドレスを登録するとパスワードの入力が求められます。①作成したパスワードを入力し、②「Continue」をクリック

登録したメールアドレス宛てに届いた確認メールを開き、「Verify email address」をクリックして認証を行います

認証後、自動的に登録ページに遷移するため、①氏名(First nameに名前、Last nameに苗字)・生年月日を入力し、②「Continue」をクリックします

続いて、携帯電話番号の登録を行います。①入力欄に電話番号を入力し、②「Send code」をクリック。携帯のSMSに認証コードが送信されます

携帯のSMSに届いた認証コード(6桁)を入力して設定完了です

ChatGPTへの質問の仕方と回答例

先述した通り、ChatGPTへの質問は、ChatGPTボックスに質問したい内容を入力するだけです。しかし、プロンプト(質問文)を工夫することで、より優れた回答を出力することが可能です。

回答例:フローチャート作成

ChatGPTを利用してフローチャートを作成することが可能。フローチャートとは、プロセスやアルゴリズムの流れを記号や矢印を用いて図解したチャートのこと。フローチャートを使うと、複雑なシステムや業務を視覚的に分かりやすく説明したり、全体像を把握したり、改善したりすることが可能です。

たとえば「アプリ開発のプロジェクトマネジメントの流れ」をフローチャートにまとめることが可能。以下のプロンプトでは「アプリ開発のプロジェクトマネジメントに必要な各フロー」自体も、ChatGPTに出力させています

出力されたMermaid記法のコードは、Mermaid記法のLive Editorで表示可能。プロジェクトの目標設定、タスク分解とスケジューリング、アサイン、コミュニケーション、品質管理と完了判断という流れが一目瞭然で分かりやすくなりました

フローチャート作成に関する詳しい解説は以下の記事を参考にしてください。

回答例:Markdown記法での出力

会社の広報資料やオウンドメディアの記事などを、コピー&ペーストですぐに使えるMarkdown記法として出力し、業務効率を上げることも可能です。

Markdown記法とは、簡単な記号を使って手軽にドキュメントを装飾できる方法で、文章の見出しや箇条書き、強調表示などが簡単にできます。Markdown記法で書かれた文章は、HTML形式に変換することができるため、Webページの作成に役立ちます。

「オトナライフ編集部がiPhoneの裏ワザに関する本を出す」という設定で広報資料を作成し、Markdown形式で出力してみました。見出しや太文字指定など適切なMarkdown記法で出力されています

なお、より詳細な解説は以下の記事を参考にしてください。

さまざまな目的で利用できるChatGPTですが、具体的なユースケースの一部を紹介します。

文章の要約

ChatGPTのユースケースは多くありますが、そのなかでもとくに文章の要約に適しています。ChatGPTは、長いテキストを短く簡潔に要約できます。これは、学術論文、ニュース記事、法律文書など、さまざまな種類のテキストで役立ちます。

たとえば、ChatGPTを使用して学術論文を要約したい場合、要約したい論文のテキストをChatGPTに渡すだけです。ChatGPTは、論文の要点を理解し、短く簡潔な要約を生成します。

Excelの関数作成

ChatGPTは、Excelの関数の作成にも使用できます。新しいExcelの関数作成はもちろん、既存のExcel関数のカスタマイズ、データの集計や分析を行うためのExcelの関数の作成、Excelの関数を使用してデータのパターンを特定などが可能。

データ集計などの際、関数そのものを知らなくても、ChatGPTに関数でどのような結果を出したいのか相談すれば、案を出力してくれます。

プログラミング

ChatGPTは、プログラミングに役立ちます。例えば、ユーザーがプログラミングの課題や問題、アイデアや要望などを入力する場合、ChatGPTはそれらに対応したコードやアルゴリズムを生成してくれます。初心者でも簡単なアプリケーションなどを作成することが可能で、もちろん専門的な会話もできます。

アイデア出し

ChatGPTはアイデア出しのアシスタントとしても有能。ユーザーがビジネスやプロジェクト、趣味や創作などの分野についてアイデアを求める場合、ChatGPTはそれらに対応したアイデアや提案を生成します。

たとえば、新しい製品やサービスのアイデア、マーケティング戦略のアイデア出しなど、ビジネスにも広く活用可能です。

勉強のサポート

ChatGPTについて、すでにSNSでは子どもの学習や英会話学習などに役立てているといった声が多く上がっています。

テストの出題範囲を学習させた上で、ランダムに問題を出してもらったり、ChatGPTを「先生」に見立てて学習範囲を教えてもらうことも可能。分からない問題は具体的に解説してもらうこともできます。

ChatGPTが社会に与える影響と政府、大学の見解

デジタル庁の見解

デジタル相の河野太郎氏は、具体的なスケジュールは未定ではあるものの、デジタル庁として「ChatGPT」を行政手続きで活用することを検討する意向を示しています。オープンAIは最新の言語モデル「GPT-4」が税控除額の計算を容易にすることを発表し、河野氏はこれを受けて行政の効率化ができるよう、国税電子申告・納税システム「e-Tax」にGPT-4を導入する考えを表明しました。

参考元:産経新聞

東京大学の見解

東京大学の太田邦史理事・副学長は、学内に向けて発表した文書のなかで、生成系AIの問題点を認識しつつも、利用禁止ではなく、「良い利用法や新技術、新しい法制度や社会・経済システムなどを見いだしていくべきだ」と指摘しています。

参考元:日経クロステック

武蔵野美術大学の見解

武蔵野美術大学の樺山祐和学長は、生成系人工知能(生成AI)の新技術を柔軟に活用し、また危惧される側面にも十分に配慮し、制作や研究に真摯に向き合ってもらいたいとのメッセージを発表しています。また大学の見解として、レポートや論文に、生成AIの回答をそのまま用いて提出すること、「自分の作品(自作)」として提出することを禁止としています。

参考元:武蔵野美術大学

まとめ

今回はChatGPTとは、いったい何なのか、どのようなことができるのかについて、具体的な例を提示して解説しました。ChatGPTは、誰にとっても使いやすいシンプルなチャットインターフェースで、会話をするように高度なアウトプットを生成できます。問題点も指摘されていますが、柔軟に活用することで、ビジネスやプログラミング、アイディアだしや勉強のサポートまで、アシスタントとして様々なシーンで大いに役立つでしょう。

※サムネイル画像(Image:Tada Images / Shutterstock.com

オトナライフ編集部
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