【Amazon】仮クレカ詐欺事件って何なの? 盲点を突いた犯人の手口を解説

Amazonの仮クレカ(Amazonテンポラリーカード)を利用した詐欺事件で逮捕者が出た。架空名義のクレカで100万円もの商品を騙し取ったとされているが、これはいったいどんな事件だったのか? 今回は、あまり知られていないAmazon仮クレカの盲点を突いた犯人の手口を解説しょう。

3万円まで即利用可能なAmazonテンポラリーカードとは?

(Image:Worawee Meepian / Shutterstock.com)

 2019年3月18日、埼玉県警は20歳の男を電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕した。この男は、Amazonで利用可能な仮クレジットカード「Amazonテンポラリーカード」を架空名義で登録したあと、仮クレカを使ってAmazonで買い物をし、50件以上計100万円相当の商品を購入&売却していたとみられている。
 ここまで読んでこの事件の全容を理解できた人は少ないだろう。まずは、三井住友カードが発行する「Amazonテンポラリーカード」について解説せねばなるまい。これは、Amazon Mastercardのクレカ申し込みページから必要事項を入力すると、たった3分で発行される利用可能枠3万円の仮クレジットカードのこと。仮クレカと言っても、実際にはAmazonテンポラリーカードの番号のみが発行される仕組みで、この仮クレカ番号はAmazonアカウントに自動登録されるため、すぐに3万円までの買い物ができる便利なシステムだ。ちなみに、本物のクレカ「Amazon Mastercard」は後日郵送されてくる。今回はこの仕組みを利用した詐欺というわけだ。

(Image:smbc-card.com)

Amazon公式の「Amazon Mastercard」を申し込むとき、「即時審査サービス」を利用すると、クレカ番号のみが通知され、即座にAmazonで3万円まで買い物ができる。犯人はここに目を付けた

利便性の高さが詐欺犯人のターゲットに!

(Image:amazon.co.jp)

 今回の詐欺事件は「Amazon Mastercard」の「即時審査サービス」を利用すると、クレカ番号のみが即座に通知され、Amazonで3万円までの買い物ができることに目を付けた犯行である。おそらく犯人は「もしかすると、架空名義で申し込んでも、名前や口座番号などが記入されていれば、仮クレカが発行されるのでは?」と考えて実行したのだろう。初回で成功した犯人は調子に乗って、これを50回もこれを繰り返したのだ。もちろん、賢明な読者ならこんなことをすれば、いずれ逮捕されることはわかっているので、実際に実行することはないはずだ。
 確かに「Amazonテンポラリーカード」は便利なサービスだが、審査の甘さにはちょっと驚かされる。クレジットカード会社にすれば100万円の被害は許容範囲なのかもしれないが、今後は何らかの対策が実施されるかもしれない。一部の犯罪者のせいで利便性が失われるとすれば誠に残念なことだ。

●三井住友カード「Amazonテンポラリーカード」は→こちら

文=塚本康裕/フリーライター

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