楽天モバイル、iPhone不正購入被害の余波でキャリアサービスシェア拡大に黄信号?

楽天モバイルに逆風が吹き荒れている。先日、元ソフトバンク社員の一件でソフトバンクから提訴されたかと思えば、今度は4月に取扱いをスタートさせたばかりのiPhoneを不正購入される被害が発生していることが明らかとなった。どちらもまだ「楽天モバイルに非がある」と決まったわけではないのだが、イメージの悪化は避けられないことだろう。今回は、今後のシェア拡大を阻害する要因になるかもしれないこれらの問題について考えていきたい。

不正購入の被害にあった楽天モバイル

楽天モバイルの実店舗は全国に広がってきている。今後は24000局の郵便局店頭使った販売も

 5月10日、「楽天モバイルでiPhoneの不正購入が複数回発生している」という報道が飛び交った。SNSでは被害に遭った人の声も挙がっているといい、それらの報告によると「10万円以上する買った覚えのない端末を一度に何台も購入したことになっている」ようだ。
 この一件を受けて楽天モバイルは同日のうちに、「不正な製品購入の対策強化について」と題したお知らせを公開。「現在、不正な製品購入の対策を強化しており、複数台購入されているご注文の一部を出荷停止する等の措置を実施しております」と対策を行っていることを伝えた。加えて「当社から個人情報漏えい等が発生していることはございません」と、不正購入の原因が楽天モバイルの情報漏えいによるものではないこともアピールしている。

 しかし報道によれば、楽天モバイルの端末は楽天IDとパスワード・クレジットカード情報があれば本人確認無しにオンラインで購入できるため、どこかから漏れた個人情報等が悪用されなりすまし購入が起こった可能性も報じられていた。ネット上でも「『楽天モバイルで不正購入』というと楽天側が被害者のように見えるけど、むしろこれ加害…」と、暗に楽天モバイルの責任に言及するユーザーの声も聞こえてきた。

(Image:network.mobile.rakuten.co.jp)

楽天モバイルでも取扱いをはじめたばかりの新型iPhoneが狙われた

 楽天モバイルといえば、1年ほどで契約数300万回線を突破するなど飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続けているスマホキャリアだ。2021年に入ってからも「データ使用量1GBまで0円」という破格の従量制新プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」を打ち出したり、日本郵政等から出資を受けて全国の通信基地局整備を進め自社回線の普及に注力するなどサービスの品質向上に余念がなかった。
 しかしこの一件でこれまで積み上げてきた信頼にヒビが入ってしまうことは否めない。とくに、デジタル化の進む近年問題視され続けている「個人情報の漏えい」に関わる内容なだけに、不安視するユーザーが楽天モバイルから離れてしまう可能性も考えられるだろう。直接の責任はないかもしれないが、報道で「楽天モバイル」と「不正購入」の単語が並んでしまうと結び付けて考えてしまう人も出てくるのは仕方のないことだ。

 楽天モバイルは5月6日にも、ソフトバンクから「ソフトバンクから楽天モバイルに転職した社員が、5Gの秘密情報を不正に持ち出し通信網の整備に利用した」として10億円の賠償を求めて提訴されている。楽天モバイル側は「秘密情報を業務に使用した事実は確認されていない」として真っ向から反論しているが、訴えを起こされた時点で世間から疑惑の目を向けられてしまうこともありイメージダウンは必至だ。
 夏には自社回線の人口カバー率が96%という区切りを迎えるとしていた楽天モバイルだが、節目のタイミング目前でケチがついてしまった感だ。ここから名誉挽回をはたして“3大キャリア”のシェア争いに割って入ることができるだろうか。今後の楽天モバイルの浮き沈みにも注目していきたい。

※サムネイル画像(Image:network.mobile.rakuten.co.jp

オトナライフ編集部
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