【投資信託】中長期に適している投資信託は安定性を重視して買うべし

投資信託に限らず金融商品を買うときはできるだけ儲かるものを選ぼうとしがち。しかし中長期での資産形成に適している投資信託は、特に利回りよりも安定性を重視して選びたい。安定性を調べるにはどの指標を見ればよいか紹介しよう。

純資産と基準価額の推移が重要

(Image:Shutterstock.com)

 投資信託の安定性とはどういうことだろうか。価格の上下が少なく、ほとんど価格が変わらないという意味ではない。運用成績と純資産総額が右肩上がりになっているという意味である。投資信託の仕組みを思い出すとよく理解できだろう。

 投資信託は投資家からお金を集めて運用しているので、集めたお金の総額である「純資産総額」をまず確認したい。純資産総額が30億円以下の場合には規模が小さいので投資しない方がよいと聞いたことがあるかもしれない。この30億という数字だけでは不十分なことを知っておこう。加えて、過去から現在に向って規模が増加傾向にあることが重要だ。

 また、同時に確認したいのが1口あたりの価格を表す「基準価額」。基準価額も純資産と同じように増加傾向になるかどうかを確認したい。まず知っておきたいのは基準価額の値にはさほどの意味がないということ。購入時の1口あたりの単価なので、「いくらで購入できるか」でしかない。基準価額の値が大きいからといって、運用成績がよいという意味にはならないので、値の推移に注目する必要がある。

 もし基準価額が増加傾向にあるのであれば、そのファンドは運用成績を順調に上げてかつ、新規購入者も増えているので、安定して運用できているといえる。逆に、純資産総額が増加しているにも関わらず、基準価額が減少している場合、その投資信託は新規購入者が増えているものの、運用成績が低迷しているということが読み取れる。ちなみに、純資産総額が減少しているにも関わらず、基準価額が増加している場合には、解約する人が増えているので手を出さないのが無難だということがわかる。

 ここで気を付けたいのがインデックスファンドだ。インデックスファンドは、市場の値動きに連動するように設計されているファンド。市場の平均価格が下がれば純資産総額と基準価額が連動して下がるし、市場の平均価格が上がれば純資産総額と基準価額は連動して上がる。したがって、純資産総額と基準価額が上昇しているからといって安定しているという評価はできず、あくまで市場の平均価格が上がっているためでしかなく、長期でほったらかしで投資しておくとパフォーマンスが高くなるという傾向がある。したがって、インデックスファンドの場合は、購入時手数料や信託報酬といったコストが安くかつ、純資産総額を見て規模が大きいファンドを選択すれば失敗する可能性が低いだろう。

引用元:アセットマネジメントOne MHAM新興成長株オープン

純資産総額と基準価額は投資信託の目論見書で確認できる。重ね合わせのグラフ表示のものが多い。図では2012年頃を境に上昇基調にあるので購入検討の余地がある

引用元:アセットマネジメントOne MHAM株式インデックスファンド225

インデックスファンドの場合には、市場の値動きと連動している。そのため図のように基準価額と純資産の動き方に違いがあるからとって、投資対象から外してはいけない

引用元:アセットマネジメントOne MHAM豪ドル債券ファンド(毎月決算型)

図のように毎月分配金が発生するファンドはお得に見えるかもしれないが、とりわけ純資産総額と基準価額の推移をチェックする必要がある

引用元:アセットマネジメントOne MHAM豪ドル債券ファンド(毎月決算型)

毎月分配型ファンドの場合、基準価額と純資産総額が横ばいか下落傾向にあるなら手を出さない方がよい。なぜならこの下落は投資したお金が単純に払い戻されているだけ。このファンド自体が悪いものであるというわけではない

中長期で投資を行うのが基本の投資信託を買うときにはまず、純資産総額と基準価額の推移をチェックする癖を付けておきたい。もしインデックスファンドではないファンドで、純資産総額と基準価額が両方とも上昇傾向にあるファンドを見つけたらそのファンドはお宝ファンドかもしれない。

文=ぺったん総研/現役の金融マン

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